セラミド高配合コスメ!
皆さんこんにちは!いろはねです!
最近ドラックストアやCM、雑誌などで、
「セラミド高配合!」と謳っている
スキンケアアイテムをよく見かけるようになりましたね!
「セラミド」というワードを聞くだけで、とても保湿力高そう…
と期待も高まりますよね!
もうすでにお使いの方、これから使いたいなと興味をお持ちの方、たくさんいらっしゃると思います!
では実際、セラミドって何者?
今回はそれについてお話していきたいと思います!
<セラミドとは?>
これは過去記事の復習になります!
お肌の最も外側にいる「角質層」
角質層に欠かせない存在である「細胞間脂質」
その細胞間脂質の約40~65%を占めているのが「セラミド」になります!
もう少し化学的なお話をすると、セラミドは「スフィンゴ(糖)脂質」という特殊な脂質の1つです!
何が特殊なのか?と言いますと…
脂質なのに、構造中に水となじみやすい「親水基」を持っているのです!
この特殊な構造があるからこそ、お肌の中の水分と油分をバランス良く保持することができます!
セラミドはお肌の保湿とバリア機能にとっても重要な成分の1つなのです!
つまり、ヒトの肌に存在する成分なので、安全性という面で、化粧品原料としても
とても注目されています!
<セラミドの種類>
化粧品原料として使われているセラミドには、いくつか種類があります!
①植物セラミド
米、トウモロコシ、大豆、こんにゃく、ユズなどの植物から抽出したセラミドです。
②動物セラミド
馬などの動物の脳や脊髄などから抽出したセラミドです。
③ヒト型セラミド
微生物由来以外は全て化学合成で作られています。
ヒト型セラミドは、ヒトの肌に存在しているセラミドと同じ構造を持つと言われています。
④合成セラミド
分子構造をセラミドに似せた成分のことです。
「疑似セラミド」とも呼ばれ、これも化学合成によって作られています。
今のところ、セラミドはこのような分類となっていますが…
セラミド原料は日々進歩しており、様々なメーカーさんの技術が組み込まれ、
新たなものが産み出されています!
その背景には、セラミド原料の課題が絡んでいるのです…
実は、セラミド高配合の化粧品は今まで作るのが難しいとされてきました。
その理由は…
先ほど説明した通り、セラミドは細胞間脂質の主成分です。
ということは脂質(油)ですね!
なので、非常に水に溶けにくいのです。
また、普通の油よりもさらに溶けにくいとも言われ、特に化粧水や美容液などの処方に配合しにくいというデメリットがありました。
このような背景もあり、その問題を打破しようと様々なセラミド原料の開発がされてきたということなのです!
・水に溶けやすくなるよう、セラミドに糖を結合させたタイプ
・独自の技術を用いて、セラミドがすでに溶かされている水溶液タイプ
など、様々なセラミド原料が生み出されています。
原料開発技術の進歩はすさまじいですね…!
しかし…独自技術などを用いても、せいぜい1%くらいしか水に溶かすことができなかったり、ホモミキサーなどの物理的なエネルギーをさらに加えないと、確実に溶かすことはいまだに難しいとされています。
こんな背景を知ると、最近見かけるセラミド高配合化粧品がいかにすごいかがわかりますね!
しかし、それも本当に高配合なのか心配なところもあります…
今市場に出ているセラミド高配合化粧品をさらに超える、確実な高配合化粧品の開発を…
と夢が膨らみます!
それを開発したら真っ先に使いたい…!と思ったいろはね研究員なのでした。
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アルコールハンドジェルを作りたい!
皆さんこんにちは!いろはねです!
最近世界中で話題が絶えないコロナウイルス…
感染者の方が増えていくニュースを見ると心が痛みます…
一刻も早く終息することを願うばかりです…
感染を拡大させないためにも個人で体調管理、徹底しなければなりませんね!!
皆様もどうかお体には気をつけてお過ごしください…。
さて、この騒動でユーザーさんが入手困難になっているアイテムの一つが
「アルコール除菌系のアイテム」ですね…!
ウイルスも殺してくれるということで、喉から手が出る程欲しい方も多いはず…!
化粧品OEM会社として、除菌アイテムを必要としている方やお困りの方の力になりたい…!という一心で、アルコールハンドジェルを作ろう!というお話になりました。
初めての試みなので、ゴールへ向かうにはまず、基礎実験が必要ですね!
そういえば…ジェルと言えば…?
前回カルボマーの基礎実験をしたばかりでした!
前回の記事では、3種類の中和剤を用いてカルボマーのジェルを作成し、それぞれの粘度や質感などを比較しました。
今回はこれをさらに応用しまして…
”透明なジェルのまま、アルコールを何%まで配合することができるのか?”
基礎実験で作成した3種類のカルボマージェルを用いて、それぞれ検証してみました!
〇実験内容〇
目標:アルコール配合濃度60%以上の透明なジェルを目指しました!
実験方法:それぞれ量りこみした3種類のジェルを撹拌機にかけながら、10gずつアルコールを加えていき、その様子を観察しました!
〇結果〇
①アルギニン
アルギニンのジェル40gに対し、アルコール30g配合するところまでが限界でした。
結果、アルコール濃度約43%で完全に白く濁り、白い粒子のようなものを確認しました。
②水酸化Na
水酸化Naのジェル30gに対し、アルコール30g配合するところまでが限界でした。
結果、アルコール濃度50%で完全に白く濁りました。
③水酸化K
水酸化Kのジェル40gに対し、アルコール40g配合するところまでが限界でした。
結果、アルコール濃度50%で完全に白く濁りました。
しばらく放置していたら、濁りが取れて半透明にまで変化していたので、さらにアルコールを10g加えてみましたが、やはり白く濁ってしまいました…!悔しい!
※この写真だと、アルギニンがアルコール添加から少し時間が経過していた為、すでに白さが少し抜けています。アルコール添加直後は白く濁っていました!
(上部の写真参照)
全体を通して、アルコール濃度60%以上の目標に到達することはできませんでした…!
3種類の中和剤を用いたカルボマージェルでは、アルコール濃度が40~50%以上に差し掛かると透明感を保てなくなり、白く濁ってしまうことがこの実験で分かりました。
アルコール添加時は、少しずつ入れる度に白く濁り、しっかり分散されるとまた透明に戻る現象を繰り返し、それが限界に達すると白く濁ったまま戻らなくなるという傾向が見られました。
また、静置しておくと白さが抜けて透明感が戻るという現象も見られたので、試しに2日後の様子も見てみました!
2日経過するとかなり白さが抜けていますね!
しかし…完全に透明ではなかったことと、粘度がサラサラでジェルとは言えない状態だったので、この3種類の中和剤ではアルコールハンドジェルを作るのが難しいのだということも分かりました!
また、アルコールの殺菌効果は、40%あたりから現れ、70%で最大の効果を示すと言われています。
つまり、今回の結果は一応殺菌効果を示すことができるアルコール濃度に達していましたが、最低ラインなので、確実とは言えません。
市販のアルコール除菌ジェルの中和剤としてよく用いられるのは「トリエタノールアミン」と呼ばれる成分です。
アルギニンや水酸化Na、水酸化Kが中和剤としてあまり使われていないのは、アルコールを多く抱え込むことが難しいからである!ということを今回の基礎実験で知ることができました!
こうして基礎実験から多くのことを知ることができ、とても良い経験をさせていただいております!
カルボマーの中和剤も、どのようなアイテムを作るかによって変わってくるのですね…
うーん!奥深い!
また経験値が増えたいろはね研究員なのでした。
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カルボマーの基礎実験
皆さんこんにちは!いろはねです!
以前増粘剤について記事にしたと思いますが、カルボマーについては少ししか触れてませんでした!
最近私は、そのカルボマーを用いて基礎実験を行ったので、今回はそれについてまとめていきます!
カルボマーは正式名称「カルボキシビニルポリマー」で「水溶性高分子」です。
カルボマーは、アルカリ剤との中和反応によって粘度が高くなり、ジェル状に変化します。
このメカニズムを化学的に説明しますと…
①カルボマーは高分子なので、とっても大きい分子です。
②中和される前はそれがぐちゃぐちゃの塊になって存在しています。
③カルボマーにはカルボキシ基(-COOH)と呼ばれる官能基がついています。
④カルボキシ基とアルカリ剤である水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などが反応すると、H2O(水)が取れます。
⑤H2Oがぐちゃぐちゃの塊になったカルボマーの中へ入ります。
⑥ぐちゃぐちゃの構造が少し緩まることで、ジェル状に変化します。
という流れでカルボマーはぷるっとしたジェルを作ってくれるのです!
では、このカルボマーを使って実際にどのような実験をしたのでしょうか?
〇実験内容〇
・カルボマーを2%水溶液に調整
・カルボマー2%水溶液を0.5%配合
・pH調整は6.5を基準とする
この3つの条件は固定しました。
そして、ここからが本題です!
・アルギニン
・水酸化Na(以下NaOH)
・水酸化K(以下KOH)
これら3種類の中和剤を用いて、それぞれ①見た目(目視)、②感触、③粘度にどのような違いが現れるのかを検証してみました!
〇pH調整方法〇
カルボマーを撹拌機にかけながら、ビーカーの中にpHメーターを入れ、そこへ少しずつ中和剤を添加してメーターの数値を見ながら調整を行いました。
〇結果〇
①見た目(目視)
・透明度の高さ
KOH>NaOH>アルギニン
の順番で透明度が高かったです!
アルギニンは写真でもわかるように、少し濁っていますよね!
NaOHとKOHは写真だとわかりにくいのですが、目視ですとほんの少しNaOHの方が濁っていました!
・ジェルの様子
NaOHとKOHはどちらもツヤ感のあるジェルになりました!
しかし、アルギニンだけツヤはあまり無く、マット感の強いジェルになりました!
②感触
・アルギニン
肌へ伸ばした時の厚みとなめらかさ、なじませている時のヌルつきが一番強く感じました!しばらくヌルヌルした感触が続きました。
また、最も粘っこい印象で、みずみずしさはあまり感じられませんでした。
・NaOH
肌へ伸ばした時の軽さとみずみずしさが一番強いと感じました!
ヌルつきもありますが、アルギニン程長くは続かず、サラッとした感触でした。
・KOH
NaOHとそこまで違いはなかったのですが、みずみずしさはNaOHより少し劣っているように感じました。
なめらかさやヌルつきなどはNaOHよりほんの少し強いと感じました。
→アルギニンに関しては、しばらくヌルヌル感が残るので、しっとり感が欲しい時や、マッサージジェルなど滑りを必要とする化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
逆にNaOHとKOHはアルギニンに比べ、肌へ伸ばした瞬間のみずみずしさが特徴だったので、うるおい感重視の化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
③粘度
それぞれ温度を25℃に統一し、粘度計で粘度測定を行いました!
条件は、L4/12rpm/1分間としました。
・アルギニン→51925mPa
・NaOH→51874mPa
・KOH→51850mPa
という結果が出ました!
粘度の高い順に、アルギニン>NaOH>KOHですね!
アルギニンは感触の時点で最も粘っこさを感じた為、粘度計のでの数値にも影響がでたのではないかと考えられました!
NaOHとKOHの粘度はほぼ変わらない結果となったのですが、若干KOHの方が粘度が低いということが分かりました!
NaOHが最もみずみずしい感触であった為、粘度に関しても一番低い数値を出すかなと思っていたのですが、実際そうではなかったので、機械と人の感度の違いを改めて目の当たりにすることが出来ました。
全体を通して、今回の基礎実験で難しいなと感じたのは、pH調整でした…!
ジェルなので粘度が高く、それに影響されて、pHの数値が徐々に上がったり、中々変わらなかったり、急に上がったりするため、中和剤を入れるタイミングや量など、とても慎重に取り掛かりました…!
それでも失敗は何回かあり…
アルギニンは特にpHがなかなか上がらず、まだ入れても大丈夫かな…と油断して3滴くらい加えたところで急に数値が上がり、失敗してしまってやり直し!という場面もありました(笑)
ドタバタな基礎実験となりましたが…(笑)
興味深い結果を見ることができ、とても面白かったです!特に、感触の方ではそれぞれの違いを感じたのに対し、粘度計ではあまり数値に差がなかったことです!
どちらかのみのデータだけでは、意外と正確さが下がってしまうのでは?と思いました。
機械と人の力が合わさることでより幅広い評価ができるのだなということに気がつきました。
これからも色んな基礎実験がしたいいろはね研究員でした。
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エビデンスを取りに行きました!
皆さんこんにちは!いろはねです!
私はこの間、お客様の商品(クレンジングバーム)のエビデンスを取りに行ってきました!
今回はそれについて書かせていただきます!
(初めての体験でしたので、ドキドキしながら現場へ向かいました笑)
~今回のエビデンスの流れ~
①似た市販化粧品とエビデンスを取りたい化粧品を用意します。
②それらを被験者の肌に付けてもらいます。(私もやりました!)
→データを取りやすいように、それぞれ半顔ずつ使用法に沿って付けました。
③使用後の肌状態(スキンケアもしていないまっさらなお肌)を、特殊な機械で比較しました。
化粧品には必ず、お肌へどのような効果を与えてくれるのか、商品自体に記載されていますよね!
その効果の裏付けをするのが化粧品においてのエビデンスということになります!
これがあるだけで商品効果の信頼性も上がりますよね!
とここで、③で言っている特殊な機械ってどんなものだったのでしょうか?
今回機械は主に2つ使用しました!
1つ目はこちら!
いかにも高そうな機械ですよね…!
噂では3000万円くらいすると聞きました…
そ、そんなお高い機械に触れることが出来たなんて…!
この機械は「VISIA(ビシア)」と言います。
VISIAは3方向から顔の写真を撮ることができます。
顔の位置はそのままで、機械自体を動かして3方向から撮ります。
肌年齢、シミやシワの数、潜在シミ、毛穴の数や状態、10年後の肌などを解析し、写真としてデータを残すことができます。
今回は、特に毛穴の状態をズームし、しっかりとメイクが落ちているのか確認をしたりしました。
〇結果〇
市販コスメよりも、毛穴の中まで汚れがきれいに落ちていることを確認することができました!
これはクレンジングの最も重要なポイントですよね!
そして2つ目はこちら!
たくさんコードが付いていますね!
こちらは、4つの肌効果を数値化してデータに残すことができるとてもハイスペックな機械になります!
①赤色で囲まれているのは、「油分計」です!
先端に油取り紙のような特殊なフィルムがついており、それがお肌の油分量をキャッチする仕組みになっています!
計測する度にカシャッとフィルムを切り替えて使います!
被験者の中には、元々皮脂が出にくい肌質の方がいらっしゃって、油分を全く計測できないこともありました。そこで、本当に人の肌ってそれぞれ異なった性質を持つんだなということが知れて面白かったです!
〇結果〇
クレンジングは、メイクを落とすのと同時にお肌に必要な油分までも持っていってしまうリスクが考えられます。結果は、ある程度の油分が残っている状態。
つまり、しっかりうるおいも守ってくれているということが分かりました!
②黄色で囲まれているのは、「水分計」です!
こちらも先端にお肌の水分量を計測する特殊な媒体がついており、30~40回くらいお肌の色んな箇所にスタンプするような形で計測していきました!
〇結果〇
全体的に市販コスメよりも水分量が多いという結果が出ました!
メイクはしっかり落としてくれるのに、水分は逆に与えてくれるということと、無駄に洗い流していないということがわかりました!
③ピンク色で囲まれているのは、「弾性計」です!
これは測定時、吸盤のように肌を少し吸ってその抵抗力を弾力として数値化する計測機になります!
異なる箇所で7回計測しました。
〇結果〇
弾力も市販コスメより高い数値が出ました!
水分計において、お肌の水分量が高く出たことが弾力にもかなり影響したのではないかと考えられます!
④青色で囲まれているのは、「水分蒸散量を計測する機械」です!
被験者の方に寝てもらい、肌の上にこの機械の先端をピタッと乗せることで、自然と蒸発してくるお肌の水分の蒸散量を計測します。
実際には寝ることが出来なかったので、顔を傾けて計測しました(笑)
〇結果〇
蒸散量も市販コスメより少ない数値がでました!
お肌のバリア機能もしっかり残してくれているという確証を得ることができました!
ということで、今回計測したクレンジングバームの結果をまとめますと
クレンジング力は高く、油分水分は残しつつ、肌の弾力も上げ、乾燥しにくい
という素晴らしい結果が出ました!
化粧品のエビデンスについて実際に体験しながら学ぶことができ、非常に貴重な時間となりました。
ちなみにVISIAを使用した時、肌年齢も見ることができました…(笑)
一緒にいた皆さんは実年齢よりお若くてさすがだな…という傍ら
当の私はというと、実年齢より1歳上の肌年齢が出てしまいました…!
1歳だけなのでそこまで大差はないのですが(笑)
この結果を見て、自分磨きを頑張ろう!と思ったいろはね研究員なのでした。
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増粘剤比較してみた!~番外編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回は、増粘剤を2%水溶液にして比較実験を行った結果についてお話しました!
増粘剤には、調整方法によってさらに特異的な増粘を示すものもあります!
比較実験で使用した増粘剤の中に面白いものがいたので、その実験もやってみました!
今回はそれについてのお話をしていきます!
ということで、使用したのは「タマリンドガム」です!
タマリンドガムは、東南アジアに生息する巨大常緑樹であるタマリンドの種子を分離・精製した多糖類になります。
タマリンドの果実は古くからインドや東南アジアで家庭常備薬・調味料として利用されてきました。
果肉の甘酸っぱさを活かし、食品分野では清涼飲料水・ジャム・デザート・カレー・お菓子などに使用されています。
化粧品に使用しても安心安全な増粘剤です。
タマリンドガムの何が面白いのか!といいますと…
糖類やアルコール類と併用することで増粘・ゲル化するところです!
◎糖類・アルコール類の持つ脱水作用によってタマリンドガム分子が凝集する
◎水素結合によってネットワークを形成する
これら2つの化学反応によって、増粘とゲル化が起こるというメカニズムです。
今回は、化粧品によく用いられる、多価アルコールのグリセリンを用いてゲル化の様子を実際に見てみることにしました!
配合比率は、タマリンドガム1%、グリセリン30%、残りは精製水。
これを80℃くらいまで加熱し、室温まで冷却した状態を観察しました。
〇結果〇
前回、水溶液の時はとてもサラサラとしたトロミであったのに対し…
グリセリンと併用すると…
写真のように、手で持てるほどプルプルとした弾力のあるゲルに変化しました!
多価アルコールを加えるだけでこんなにも質感に変化が現れるのか!
化学反応のパワーってすごい!と改めて感動しました!
でも、こんなプルプルの質感って食品なら想像できるけど、化粧品の場合は…?
このプルプルな感触、どこかで触ったことがあるような…?
と思った時、以前美里先生とアシスタントのゆっきーさんと一緒に行った横浜中華街のとあるお土産屋さんで見た「こんにゃく石けん」を思い出しました!
そこで、実際にこんにゃく石けんの全成分を調べてみたところ、やはりタマリンドガムが配合されていました!
あの時はまだ、なぜこんなプルプルの質感が出せるのだろう?と謎に包まれたままだったので、それを実際に実験することができ、とてもスッキリしました!
増粘剤のお話はここでいったん終わりになりますが、
今や化粧品のニーズとしてテクスチャーは非常に重要です。
増粘剤もその調節に必要不可欠な存在となっています。
また、最近は保湿クリームなどの粘度調節にカルボマー(合成ポリマー)が配合された商品がたくさん市場に出ています。
化粧品原料の開発技術も発展し、ポリマー系の界面活性剤が流通し、乳化技術のノウハウがなくても、とても簡単に保湿クリームが作れる世の中になりました。
またそれが本当に簡単にクリームが作れてしまうのです!
しかもテクスチャーが良い!とても便利ですよね!
しかし!
もちろんカルボマーを使用しなくても保湿クリームはきちんと作ることができます!
その技術を習得してこそ化粧品技術者です!
そのお話についてはまたの機会にしたいと思います(^^)/
タマリンドガムのプルプルな質感が病みつきになりかけた、いろはね研究員でした。
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増粘剤比較してみた!~実験編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回は化粧品に用いられる増粘剤の知識編でした!
今回は、実験編になります!
ということで、早速本題に入りましょう!
実験には、以下7種類の増粘剤を使用しました!
①セロゲン(セルロースガム)
②アルギン酸ナトリウム
③エコーガムT(キサンタンガム)
④ケルデント(キサンタンガム)
⑤カラギーナン
⑥タマリンドガム
⑦グアーガム
これらをそれぞれ2%の水溶液に調整し、
1.色(見た目)2.粘度 3.肌に付けたときの感触 を比較しました!
〇結果〇
①セロゲン(セルロースガム)
1.淡黄色。
2.強め。ボテッとしていてゲルっぽい印象。形もはっきりめ。
3.厚みのある伸び広がり。後肌のべたつきはあまりなく、なじむと完全にサラサラ。
②アルギン酸ナトリウム
1.無色透明。非常に細かい繊維のようなものを確認。
2.ビーカーを傾けると垂れるくらいのトロミ。
撹拌してみるとネチャッとしており、割と重ため。
3.力を入れずに軽くスッと伸びる。後肌のペタペタ感が結構続く。
セロゲンよりはべたつきを感じた。
③エコーガムT(キサンタンガム)
1.半透明
2.静置時はビーカーを傾けても垂れないくらい硬さがあった。
撹拌すると非常に軽くなり、サラッとしたトロミになる。
3.軽くスッと伸びた。後肌のべたつきがダントツで一番であった。
べたつきの強さからなのか、少し膜感も感じた。
なじむと完全にサラサラになる。
④ケルデント(キサンタンガム)
1.半透明
2.エコーガムTと同様。
3.エコーガムTよりべたつきがほんの少しだけマイルドで膜感は感じなかった。
それ以外は同様の感触。
⑤カラギーナン
1.淡黄色。
2.①セロゲンと同じようにボテッとしたゲルのような状態。
しかしカラギーナンの方がボソボソとした印象。
セロゲンのような粘着感はあまりない。
3.最初ポロポロとゲルが砕かれて中々肌に伸びていかなかった。
後肌のべたつきはあまりなかった。
⑥タマリンドガム
1.無色透明
2.弱め。サラサラとしたトロミ。
3.非常に軽くスッと伸びた。トロミの中に少しみずみずしさも感じた。
後肌のべたつきは少しあったが、すぐにサラサラに変化した。
⑦グアーガム
1.淡黄色。
2.強め。かなりネチャッとしていた。セロゲンのようなボテッとした印象もあった。
3.厚みのある伸び広がり。カラギーナンのようなボソボソにはならなかった。
逆に、ネチャッとした感触が肌に密着しているように感じた。
べたつきはあまりなかった。
以上が私の感じた比較実験の結果になります!
見づらい書き方になってしまったかもしれません!(汗
この実験をしてまず最初に思ったのは、同じ増粘剤でもこんなに特徴が違うのか!ということです。
まだまだ比較実験の経験も少なく、見逃してしまっている特徴もあるかもしれません…
それは経験値を上げていくのみですね!
しかし、新米のいろはねでも、このように大きな違いを見ることが出来ました!
中でも特に面白かったのが、増粘剤の特性です!
今回はキサンタンガムで顕著に見られたのですが…
静置時は硬めの状態であったのに、撹拌するととてもサラサラなトロミに変化するのです!
これはなぜなのだろう?と調べると、増粘剤の特性に答えが隠されていました!
それは、「チキソトロピー性」という特性を持っているから。です!
チキソトロピー性とは、混ぜたり降ったり、力を加えることで粘度が下がり、
また時間の経過と共に元の粘度に戻るという現象のことです。
分かりやすい例は、ペンキですね!
ペンキは、塗る前によくかき混ぜることによって粘度を下げ、はけなどで塗りやすくしています。そして、塗った後に粘度が元に戻り、垂れずに乾燥するのです!
日常生活にもこうして化粧品につながる場面があるのですね!
今回の実験は2%水溶液、と濃いめの濃度で調整したため、ゲルっぽい状態のものが多い傾向にありました。
1%や0.5%など配合濃度を低くして比較してみたらまた違う結果が見れると思います!
増粘剤について大きな違いを見ることができたので、その特徴を活かすことと、化粧品の目指すテクスチャーに合わせて、その選択と配合量の選定をする技術が大切だなと思ったいろはね研究員なのでした。
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増粘剤比較してみた!~知識編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
この度新しく私のキャラクターをデザインしていただきました!
お忙しい中デザインしてくださった方々にお礼を申し上げます!
ありがとうございました!
じゃじゃん!とても私に似てまして…
こんな素敵なデザインをしてくださってとても嬉しいです!
これからはこの新しいいろはね研究員が日々のドタバタ奮闘記を引き続き載せていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!
さて、本題に入りましょう!
今回は「増粘剤」について色々と実験をしたので、それについて書かせていただきます!
種類もたくさんあるので、それらの特徴を知り、使いこなせるようになるべく、
使用感の比較実験を行いました!
…とその前に、
増粘剤とは何ぞや!というところをまずはまとめていきたいと思います!
しばし、お付き合いください…(笑)
増粘剤は主に、食品や化粧品、医薬品、工業製品などなど…
あらゆる分野に用いられています。
化粧品には「水系増粘剤」がよく用いられます。
これをさらに化学的に言うと「水溶性高分子」となります!
この水溶性高分子は、水に溶解することによって、液体の粘性を高める機能を持っています。
その中でも有名なのが…
カルボキシビニルポリマー、略して「カルボマー」です!
ほとんどの方がご存じだと思います。
このように水系増粘剤には、カルボマーのような化学合成のものから、
海藻や植物、微生物の発酵により生成された増粘剤などもあります!
また、増粘剤によってはトロミのある粘性を出すものから、プルッとしたゲル状の粘性を出すものもあり、それぞれの特徴が活かされる化粧品へと用いられています。
化粧品への主な使用目的として…
①使いやすさの向上
例えば、シャバシャバな化粧水よりも少しトロミがあった方が手からこぼれ落ちにくく、顔にもつけやすくなりますよね!
他には、高級感の演出として化粧水や美容液のトロミを出したり、シャンプーやボディーソープなどの泡持ちを維持する目的で使用されることもあります。
②保湿効果の向上
水系増粘剤(水溶性高分子)は、「高分子」と言うくらいなので、分子量がとても大きいです。非常に大きい分子の構造中にOH基(ヒドロキシ基)を多く持つことで、水に溶けやすい構造になっています。
そして、このOH基があればあるほど、水を多く保持することができるのです!
その為、一つの保湿素材として用いられます。
③製品の安定性向上
例えば、水に溶解しない成分として、油性成分や乳化剤、感触改良パウダー、顔料などがあります。安定性が悪い場合は、これらが凝集したりすることで分離が生じます。
そこで、増粘剤の粘性を利用し、これらが凝集しないよう、分散状態を固定することで製品の安定性を維持してくれるのです!
ということで、以上の三つが基本的に挙げられます。
ちなみに最近は、オールインワンジェルやクレンジングジェルなど、プルッとした感触の化粧品もたくさん出ていますよね!
そこにも!増粘剤が必要不可欠になるというわけです。
そんな増粘剤(水溶性高分子)ですが、かつてはカルボマーの登場により、一気に化粧品業界の処方設計が変わったそうです!
今やカルボマーは本当に様々な化粧品に用いられていますよね!
ここで他メーカーさんとの差別化をする為には、いかにカルボマーを使用せず処方を組めるかが腕の見せ所!というわけです。
弊社は食品にも使用されるような、肌にも比較的安全な増粘剤を用いることがほとんどである為、以下7種類の増粘剤で比較をすることにしました!
①セロゲン(セルロースガム)
②アルギン酸ナトリウム
③エコーガムT(キサンタンガム)
④ケルデント(キサンタンガム)
⑤カラギーナン
⑥タマリンドガム
⑦グアーガム
これらをそれぞれ2%の水溶液に調整し、
1.色(見た目) 2.粘度 3.肌に付けたときの感触を比較しました!
…とここでその結果を続けて書いていきたいところなのですが…
長くなってしまったので、次回に持ち越します!
参考HP
【水系増粘剤】化粧品に使われる水系増粘剤の目的と機能|水系増粘剤(水溶性高分子)|住友精化株式会社
【水系増粘剤】ゾルの配合理由、ゲルの配合理由|化粧品に水系増粘剤|住友精化株式会社
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