研修記録~保湿成分の特性を肌で感じるー多価アルコール編ー~
皆さんこんにちは!いろはねです!
だいぶ長い題名になってしまいましたが…
半年くらい前に同じような内容で、ブログを書いていました。
この時は製造現場でのことを書かせていただいたのですが、
また久しぶりに研修期間中のことについてまとめてさせていただきたいと思います。
今回はズバリ、「保湿成分の特性を肌で感じる」というお題です。
保湿成分と言えば、最近こんな記事も書きました。
保湿成分には大まかに種類があり、それによって保湿性能も異なるという内容でした。
化粧品によく用いられている保湿成分としては、「多価アルコール」が有名です。
この時は書きませんでしたが、多価アルコールはモイスチュアライザーに分類され、
自ら空気中の水分を集める性質を持つ保湿成分になります。
研修期間中は、一度座学で学んだ多価アルコールの特性を復習し、
それを実際に肌へ塗布し、その使用感の違いを特性と照らし合わせ、比較するという
楽しい勉強をさせていただきました。
〇多価アルコールとは?〇
多価アルコールについては何度か書いておりますが簡単にまとめておきましょう。
多価アルコールは、構造中にOH基(水酸基またはヒドロキシ基と呼ぶ)を2つ以上持つものを指します。
このOH基を持つ成分は水との結合力が高く、強い吸湿性と保水性を持つため、
化粧品によく配合されます。
OH基を2つ持つ多価アルコールのことを2価のアルコール、
OH基を3つ持つ多価アルコールのことを3価のアルコールと呼ぶこともあります。
〇比較した多価アルコール〇
②1,3-ブチレングリコール
④1,2-ペンタンジオール
⑤1,2-ヘキサンジオール
これら5種類の使用感を比較しました。
まずはこれらの使用感の特徴を調べました。
・肌に塗るとベタベタし、ドロッとした重たいテクスチャー
・しっとり感を与えることができる
・肌の水分と反応し、塗布時若干の熱を持つ。
(水和熱による反応。以前ブログ書きました!)
②1,3-ブチレングリコール(以下1,3-BGと表記)
・さらっとした使用感だが、多く配合するとべたつく
・保湿剤としてはべたつきが少なく、グリセリンに比べ軽い使用感
③ジプロピレングリコール(以下DPGと表記)
・1,3-BGに似たさらさらな使用感であるため、
代替として配合されることもある
・伸びや滑りを良くする目的で配合されることもある
・刺激を感じる人もいる
④1,2-ペンタンジオール(ベンチレングリコール)
・DPGや1,3-BGに似たさらさらな使用感
・DPGよりも刺激が強いと言われているため、使用頻度は少なめ
⑤1,2-ヘキサンジオール
・非常にさらっと、さっぱりとした使用感
・DPGや1,2-ペンタンジオールと同じく刺激が強いため、使用頻度は少なめ
事前に調べた使用感をもとに、実際自分の肌に塗布しました。
①グリセリン ⇒ 3価のアルコール
塗布時:肌に引っかかるように伸びていく、重たいテクスチャー。厚みがある。
後肌:ベタベタ感が強い。かなりしっとり感が残る。
その他特徴:伸ばしている間にじんわりと温かさを感じた。
②1,3-ブチレングリコール(以下1,3-BGと表記) ⇒ 2価のアルコール
塗布時:さらさらとした感触。肌への伸びが非常に良い。少し厚みもある。
③ジプロピレングリコール(以下DPGと表記) ⇒ 2価のアルコール
塗布時:1,3-BGとほとんど同じテクスチャー。若干1,3-BGよりも軽い。
後肌:1,3-BGより後肌のべたつきは少ない。
④1,2-ペンタンジオール (ペンチレングリコール)⇒ 2価のアルコール
塗布時:DPGとほとんど同じテクスチャー。非常にさらっとしていて伸びやすい。
後肌:DPGとほとんど同じ。
⑤1,2-ヘキサンジオール ⇒ 2価のアルコール
塗布時:DPG、1,2-ペンタンジオールとほとんど同じテクスチャー。
非常にさらっとしていて伸びやすい。
後肌:べたつきはこの5つの中で最もないように感じた。
ということで、事前に調べた使用感と同じような結果となりました。
この5つの中ではグリセリン一つだけが突出して全く異なる使用感でした。
これは、保湿力のカギとなるOH基の数の違いによるものだと思いました。
他は全て2価のアルコールでしたので、そこまで大きな違いを感じませんでした。
感覚がまだまだ磨かれていないということもあると思いますが、このような経験の積み重ねが、化粧品開発には非常に重要であると学びました。
一つ一つの原料の特性を学び、それを実際に肌で感じて比較する。
このプロセスで学ぶことができ、非常に理解しやすかったです。
次回は今回書かせていただいた内容の続編!「糖類編」になります。
そして今回のブログが2020年最後のブログとなります!
今年も読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
来年も皆様にとって良い年になりますよう、陰ながら祈っております。
では!また2021年にお会いしましょう!
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ポリマーのミニ知識
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回は化粧品に配合される「保湿成分」について、復習もかねて簡単にまとめさせていただきました。
その中に出てきたヒアルロン酸を覚えていますでしょうか?
ヒアルロン酸は分子量が80~120万とされており、最大で200万という
非常に高分子な成分であるとお話をしたと思います。
そして、このような成分のことを「ポリマー」と呼ぶ、ということもチラッと出てきたと思います。
「ポリマー」という言葉は皆さん耳にされたことはあるでしょうか?
今回はこれについて簡単にまとめていきたいと思います。
今回も復習回になりますね。
〇ポリマー=高分子〇
ポリマーは「多数の原子が共有結合してできる巨大分子」という風に教わりました。
一般的には、分子量が1万以上あると高分子、つまり「ポリマー」と呼ばれます。
ポリマー ⇒ 高分子 ⇒ 重合度 ⇒ 分子量…というように、
ポリマーと聞いたら化粧品の技術者は頭の中でスッとこの関係性を頭に思い浮かべることが重要です。
ということは、分子量が80~120万であるヒアルロン酸は、ポリマーの一員
ということがよくわかりますよね。
ちなみに…
単一の分子は「モノマー」
分子量が一万以下の分子は「オリゴマー」と呼ばれています。
モノマーの「モノ」は、ギリシャ語の数字読みから来ているそうで、
1=モノ、2=ジ、3=トリ、4=テトラ…というように。
理系の方は聞いたことがある言葉かもしれません。
ですので、モノマーは単一の分子のことを指すのですね。
そして、ポリマーの「ポリ」はギリシャ語で「たくさん」という意味になります。
つまり、単一の分子(モノマー)がたくさん(ポリ)結合している = ポリマー
という表現になるのですね。
ふむふむ。語源を知ると覚えやすいです。
ちなみに、よく聞くポリ袋の材料である「ポリエチレン」も、「エチレン」という分子がたくさんつながっているのでこのような名前なのですね。
ところで…
「オリゴマー」の「オリゴ」という言葉、どこかで聞いたことはありませんか?
・・・・・「オリゴ糖」ですね!
このお話、とても面白いので少し書かせていただきます。
オリゴ糖といえば、健康に良いというイメージはありませんか?
オリゴ糖は、容易に消化・吸収されずに大腸まで届いて腸内環境を整える役割を担ってくれるそうです。
糖といえば、ブドウ糖(グルコース)などはよく聞いたことがあるかと思います。
これは糖の中でも単糖類という部類に入ります。
単糖類は、糖の最小単位とされ、これ以上分解できないものを指します。
その為、簡単に体内へ吸収されてエネルギーへと変換されることは良いのですが、
吸収されやすいがゆえに血糖値上昇などのリスクがあります。
それに比べてオリゴ糖は、10~30個の糖が結合した多糖類という部類に入ります。
つまり単糖よりも構造が大きいため、簡単に吸収されにくいのです。
吸収されずに腸まで届き、腸内環境の改善や、血糖値の上昇を抑える働きが得られるということで、健康志向の高い食品に重宝されているということなのですね。
こうやって考えると食品も化学的な分野と繋がっているなと感じます。
すみません。少しお話が脱線してしまいました。
結論何をお伝えしたかったのかといいますと、
ポリマーは非常に大きな分子ですので、肌にも浸透しにくいということなのですね。
一般的にどうしてもポリマーは肌に良くないというイメージがあったり、
ナチュラル志向な化粧品には特に合成ポリマーが嫌われがちですが、
肌への浸透性という意味では体内に入っていかないので、人体には影響しないのでは?というのが本音です。
そして実は、私達人間もポリマーのような存在なんです。
人間の皮膚や毛髪などを形作っているのはタンパク質ですよね。
タンパク質は、数万~数百万ものアミノ酸が繊維のように連なった構造をしています。
ですので、私たちはアミノ酸が高重合したポリマー、と表現しても良いのではないでしょうか。
化粧品原料の世界は幅広いですね!
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保湿成分の分類
皆さんこんにちは!いろはねです!
お鍋の美味しい季節がやってきましたね。(去年も言っていた気がします)
だいぶ空気も乾燥していますので、色々なウイルスに負けないようにしたいですね。
乾燥といえば、毎年この時期は保湿力の高いスキンケアを取り入れますよね。
私も夏場は使わないクリームをつけたり、パックをする回数も増えます。
ということで今回は、
化粧品によく使用されている保湿成分を復習も兼ねてまとめていきたいと思います。
「保湿」は化粧品に欠かせない素敵なワードですよね。
しかし保湿とは言っても、
みずみずしく水分を補いたいのか
それともしっとりとさせてうるおいを保ちたいのか
という風に、
「どのような保湿効果を与えたいのか?」という箇所が非常に重要です。
保湿成分には様々な機能を持つものが存在しています。
そして、その機能によって大きく分類されています。
では、どのように分類されているのでしょうか?
〇モイスチュアライザー〇
自ら空気中の水分を集める性質を持つ保湿成分を指します。
つまり、吸水性を持つ成分ということになります。
代表的なのは「砂糖」です。化学的に言えば「スクロース」ですね。
お料理する時を想像してみてほしいのですが、
保管しておいたお砂糖を取り出す時、ゴロッとした塊ができていることはありませんか?
あれは、砂糖自身が空気中の水分を集める性質があるために、湿ってくっついてしまうからなのですね。
身近な現象と結びつけるとイメージしやすいですね。
<メリット>
時間が経過しても、持続的に肌に水分を与えてくれます。
<デメリット>
空気中が乾燥している冬場などは、水分を集めることができなくなります。
そのため、肌から水分を吸収し、逆に乾燥を招いてしまいます。
〇ヒューメクタント〇
こちらは与えられた水分を構造中に保持する性質を持つ保湿成分です。
つまり、保水性を持つ成分ということになります。
代表的なのは、皆さんよくご存じの「ヒアルロン酸」です。
ヒアルロン酸は1gにつき6Lもの水分を保持することができるのもご存じの方が多いかと思います。
なぜこんなにも水分を保持することができるの!?純粋にすごいですよね。
というのはですね…ヒアルロン酸の構造に秘密が隠されています。
こちらはヒアルロン酸の構造式です。
参考HP:ヒアルロン酸とは | ファインケミカル | キユーピー
ヒアルロン酸の分子量は、80~120万とされています。最大で200万ほどです。
図の中の赤い丸で囲んだ箇所に注目していただくと、nの文字がありますよね。
このカッコに囲われているのが最小単位になります。最小の分子量は411だそうです。
例えば分子量が120万のヒアルロン酸であれば、赤丸で囲んだnは…
2900くらいになりますね!
つまり、カッコで囲われた分子が2900個ほどあるということになります。
かなり高分子なのではないでしょうか?
私たちはこのような成分を「ポリマー」とも呼んでいます。
では、今度は水色の丸で囲んだ箇所をご覧ください。
これは、ヒドロキシ基(-OH基)を丸で囲んでいるのですが、
この官能基は水と結合しやすい性質を持ちます。
詳しい説明は、以前グリセリンについてお話した際にまとめていますので、
ぜひそちらもご覧になってみてください。↓
つまり、ヒアルロン酸が持つ高い保水機能のミソは、
①分子量80~120万という高分子であること
②その高分子な構造中に、水と結合しやすいヒドロキシ基(-OH基)を多く保有していること
この2つの特徴を持つことによって、
ヒアルロン酸は水を与えられるとスポンジのように非常に多くの水分を抱え込むことができるのです。
<メリット>
非常に大量の水分を抱え込むことができます。
<デメリット>
自力で水分を集めることができないため、時間とともに保持していた水分が蒸発し、
乾燥してしまいます。
〇エモリエント〇
皮膚の外へ水分が蒸発しないよう保護してくれる成分です。
つまり、バリア機能を持つ成分ということになります。
このエモリエント効果は主に「油性成分」が持ちます。
特に乾燥が気になる冬場は、皮膚を保護している皮脂の分泌も低下しますので、
それを補う形で油性成分がたっぷり配合された保湿クリームを肌につけるのですね。
保湿クリームってだいたいスキンケアの最後につけるかと思います。
それは油性成分がエモリエント効果、つまり皮膚から水分が蒸発しないように保護する力を持つからなのですね。
<メリット>
皮膚表面を保護し、水分が蒸発しにくくなります。
<デメリット>
モイスチュアライザーやヒューメクタントのように、空気中の水分を集めたり、
構造中に水分を保持することはできません。
ということで、保湿成分のそれぞれの機能を簡単にまとめました。
「保湿」という共通点はありますが、保湿の仕方にそれぞれ異なる特徴を持っているということがわかりますよね。
化粧品の開発は、これらの性質を理解しつつバランスよく配合することが非常に重要
なのだということを学びました。
うるおい重視なのか、持続性重視なのか…具体的な保湿効果をイメージしてから、
保湿成分の選択をしていくということですね。
「化粧品は混ぜ物」という言葉がよくわかる分野だなと思いました。
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食品と化粧品
皆さんこんにちは!いろはねです!
今年も残り1ヵ月を切りましたね。
去年の自分からどれだけ変われたのかな?どれだけ成長できたのかな?
節目が近づくと、そんなことを考えます。
一年ってあっという間なんですが、日数としては365日あって、
一日一日を充実させて、無駄なく過ごすことができれば、
少なからず去年の自分よりは何かが変わっていると思うのです。
私も少し変われていれば良いなと思います。
とにかく日々の積み重ねあるのみですね。
お金も生きる上で大切ですが、私は最近時間を大切にしたいと思うようになりました!
では、本題に入りましょう。
前回は食品開発展へ行ったことついて書きましたが、
食品と化粧品って繋がりがあるなというところから、
もう少しこの辺りの知識を深めていきたいと思い、色々調べてみました。
今回はそれについてまとめていきたいと思います。
食品と化粧品につながるものと言えば…
〇植物油〇
化粧品に油分は欠かせない存在です。
皮膚のうるおいを保ってくれているのが「細胞間脂質」や「皮脂」
皮膚には水分だけではなく、油分も必要で、これらをバランスよく皮膚に与えてあげることが保湿する上で非常に重要となります。
化粧品に配合されるオイルは大きく分けて「合成油」と「植物油」がありますが、
食品と関わりがあるのは「植物油」の方になりますね。
ざっと挙げるだけでも、
シアバターやホホバオイル、アルガンオイル、オリーブオイル、ライスオイル、マカデミアナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ココナッツオイルなどなど…
ここに書いたらきりがないほど、非常に多くの植物油が化粧品に使用されています。
厳しい環境を生き抜く植物から得られるオイルは、様々な美容効果を有していることから、乳液やフェイスクリーム、クレンジング系、ヘアオイル、メイクアイテムなど多くの化粧品に配合されています。
特にナチュラルでオーガニック志向な化粧品アイテムの全成分表示を見ると、
〇〇オイルや○○油などと記載されていることが多く、
マストな原料となっているのだなと感じます。
上記の中だと食用によく用いられるのは、オリーブオイルが有名ですよね。
オリーブオイルは食用であれば、動脈硬化を防いだり、便通を良くしたり、
高い抗酸化作用を持っていたりと身体の内側から様々な良い影響を与えてくれるそうです。
化粧品の世界ではオリーブオイルのことを「オリーブ果実油」と呼んでいます。
主成分となるオレイン酸は、皮脂と似た成分で肌との相性が良く、
水分蒸散を防止したり、肌を柔軟にする効果があります。
また、ビタミンEやポリフェノールが豊富に含まれているので、抗酸化作用が高く、
シワやたるみ予防、美白効果が期待できます。
やはり、高い栄養価を持つ食品は、肌自体にも良い効果を与えてくれるのですね。
〇保湿剤〇
保湿剤と言えば、以前ブログでもまとめたグリセリンが代表的ですね。
実はグリセリンも食品に使用されているのです。
グリセリンは食品添加物として、甘味料、保存料、増粘安定剤などの用途として使われているそうです。
食品とは少し違いますが、歯磨き粉にも配合されているみたいですよ。
グリセリンって本当に万能だなと感動しました。
後はトレハロースやキシリトール、グルコースなどの糖類も食品では聞いたことがあると思いますが、化粧品でも保湿剤として使われることがあります。
〇増粘剤〇
増粘剤は、化粧水や美容液のとろみ演出、粘度の補助役、感触改良、安定性の向上、ジェル系アイテムによく使用されています。
増粘剤も合成から天然まで様々な原料があるのですが、食品と関わりが強いのは天然系の増粘剤です。
中でも多糖類と呼ばれる、単糖類が数個以上つながった高分子が食品と化粧品の両方に使用されています。
増粘剤については過去に記事にしているので、ご興味がある方はこちらもぜひ見てみてください。↓
食品に使われる多糖類は、ドレッシングやソースのとろみを出したり、ゼリー、プリン、アイスクリームなどの加工食品によく用いられていて、キー成分となっています。
ということで早速自宅の加工食品達を物色したところ、一発目に見つけちゃいました。
冷蔵庫にあったドレッシングをちらっと見ると、「キサンタンガム」の文字が。
これは微生物発酵によって得られる多糖類なのですが、化粧品の試作でもよーくお世話になっている増粘剤なのです。
このように、食品に使われている原料が化粧品にも使われていたら安心感がありますよね。
〇香料〇
良い香りのする化粧品は、使うだけで心地が良いものですよね。
さらには原料臭などをマスキングすることもできますので、品質向上にも繋がります。
香料は、
食品で言うと「フレーバー」
化粧品で言うと「フレグランス」
というくくりになりますね。
フレーバーは、ジュースやお菓子、加工食品など、主に風味を高めたりする目的で使用されます。
フレグランスは、香水や石鹸、シャンプー、柔軟剤などに使われています。
口の中で感じる香りと、鼻から直接感じる香りとでは全くアプローチは異なってきますが、同じ香料ということで関わりが強いかなと感じました。
各成分ごとに簡単にまとめてしまいましたが、それぞれかなり奥深い分野です。
私はこの業界に入ってから、化粧品はもちろん、食品の全成分表示も見るようになりました。
特にコンビニに売っている商品や加工食品は見てて面白いです。
こんな身近な食品にも化粧品と同じ成分が使われているんだ!
と新たな発見を日々しているいろはね研究員なのでした。
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展示会へ行ってきました
皆さんこんにちは!いろはねです!
先日、私は11月16日~18日まで東京ビッグサイトにて開催されていた、
「食品開発展」へ初めておじゃましてきました。
このご時世ということもあり、展示ブース全体が少し余裕のある印象でしたが、
人の出入りは想像よりも多く、各ブースの方々の熱いお話を聞くことができ、
とても良い刺激になりました。
ではなぜ化粧品関係の人間が、食品系の展示会へ行ったのでしょうか?
実は、化粧品と食品には色々とつながりがあるのです。
摂取すると身体に良いですよ!という食品や成分は、
肌にも良い効果を発揮してくれるという エビデンスデータがとってもたくさんあります。
例えばハチミツなんかはどうでしょう?
ハチミツの栄養価が高いことはほとんどの方がご存じかと思います。
ハチミツは、糖質以外にもビタミンやミネラル、アミノ酸などの非常に豊富な栄養素を含んでいますので、疲労回復や風邪予防などにも効果的とされています。
私も冬場は風邪予防のために、ハチミツレモンの飲み物を買って飲んだりします。
化粧品はというと…?
ハチミツコンセプトのアイテム、ドラックストアなどでもよく見かけますよね。
ハチミツは殺菌効果や抗炎症、保湿力が高いとされているので、スキンケア、ヘアケアメイクアイテムなどなど様々な化粧品に使用されています。
ただし、同じハチミツだとしても化粧品と食品で異なるのは、
化粧品の場合は必ず不純物を取り除き、精製された原料が使用されるということです。
他にも化粧品に使われるオイルや保湿剤、増粘剤、香料など…
様々な化粧品原料が食品と繋がりを持っています。
成分ではどうでしょうか?
例えば、ビタミン系なんかはわかりやすいかもしれません。
野菜や果物、肉などに含まれる栄養成分として有名なのがビタミン系ですね。
ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどなど様々なビタミンがあり、それぞれ効果効能が異なります。
これらは体内でも肌でもそれぞれ良い効果を発揮します。
肌への効果であれば、例えばビタミンCは美白!シミ予防!などなど。
しかし、ここで面白いのが同じ成分でも名前が異なるということ。
食品ではビタミン〇〇という表現ですが、化粧品の成分名は異なります。
・ビタミンA→レチノール
・ビタミンC→アルコルビン酸
・ビタミンE→トコフェロール
といった感じです。
ビタミンAは、ターンオーバーの正常化だったり、
ビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲン生成促進だったり、
ビタミンEは、抗酸化作用や細胞の柔軟化、血行促進だったり、
他にも様々な効果を肌に与えてくれるため、化粧品の効果成分として大きな存在となっています。
私達が日常的に必要としている、食品と化粧品。
時代の流れとともにそのニーズやスタイルも変化していっているわけで、
それに合わせた素材や原料など多種多様なものが日々開発されているのだなと思いました。
食品開発展では、原料自体を加工する粉砕機器や殺菌機器、
錠剤の表面をコーティングしてくっつきにくくする製法や原料、
加工品の質を向上してくれるような画期的な素材、
インスタ映えする色鮮やかな飲み物を作ることのできる天然色素、
天然物は安定的な供給が難しいことからバイオテクノロジーの技術によって生み出された香料、
腸内の環境を整える成分や眼精疲労に効く成分など新たな高機能成分、
後はやはりCBD関係のブースが多かったです。
CBDオイルを粉末状に加工して、チョコレートやグミなどに配合し、
気軽に摂取できるように加工しているところもあれば、
レモンやライムなどのさわやかな風味にして直接舌下からCBDの効果を吸収できるようにしたものなど、他メーカーとの差別化を図るために様々な工夫が施されていました。
体内に入る食品も、肌に触れる化粧品も、結局は人の体に関わる重要な存在で、
これらの関係性を展示会に行き、学ぶことができたいろはね研究員なのでした。
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グリセリンのおもしろ機能
皆さんこんにちは!いろはねです!
最近11月とは思えないほど昼間は暖かいですが、朝と夜は風が冷たく、
身体も冷えやすくなってきましたね。
ということで、今回はそんな肌寒い毎日にピッタリな話題にしました。
以前私はヒートテックがなぜ暖かいのかをブログ記事にまとめましたが、
その内容に少し似ているお話しです。
ちなみにその記事はこちら ↓
題名にも書いたグリセリンは、ほとんどの方が知っている成分かと思います。
化粧品には必ず配合されていると言っていいくらい、とっても代表的な成分です。
そんなグリセリンの効果として有名なのは、もちろん「保湿効果」なのですが…
実は他にも面白い効果を発揮してくれるということをご存じでしたか?
それはズバリ、「温感」です。
グリセリンで温感?一体どういうことなのでしょうか?
〇グリセリンの保湿機能〇
まずはグリセリンについて基本的なところに触れていきましょう。
グリセリンはグリセロールとも呼ばれ、アルコールの一種になります。
構造は、以下のようにOH基(水酸基またはヒドロキシ基と呼ぶ)を3つ持っています。
この、OH基を2つ以上持つアルコールは「多価アルコール」と呼ばれ、グリセリンもその内の一つです。
このOH基を構造中に持つ成分は、水の中に入るとマイナスの電荷を持つため、水と結合しやすいと言われています。
これはどういうことかと言いますと…
水の分子式は「H2O」ですよね。
このH2Oは、以下の図のように水の中で電気的に解離していると考えられています。
そのためOH基を持つ成分は水の中に入るとマイナスの電荷を持ち、水と結合しやすくなるということなのですね。
つまり、水に溶けやすく、空気中の水分を集めるため、高い吸湿性を持つということになります。
グリセリンも構造中にOH基を3つ保有しているので、水に溶けやすく、非常に吸湿性が高い保湿成分として、多くの化粧品に配合されているのですね。
〇グリセリンの温感はどこから?〇
さて、グリセリンの保湿機能を知ったところで、本題に入りましょう。
グリセリンは水と相性が良く、吸湿性の高い成分ということがわかりました。
グリセリンの温感は、この保湿効果が発揮されるときに現れるのです。
グリセリンの構造式をもう一度思い出していただいて…
グリセリンのOH基に水が結合することで、高い吸湿性を持つのでしたよね。
そう、この結合時に熱が発生するのです。
この反応を「水和熱」と呼びます。
ただ、水が多く配合されているアイテムでは、そちらとすでに反応しきってしまっているため、塗布時に温感は生じません。
温感を得ることができるのは、全成分表示の一番最初にグリセリンが表記されるような、グリセリンベースの化粧品になります。
よくあるのはホットクレンジングやマッサージジェルなどですね。
ホット○○というアイテムを見つけたら、全成分表示を見てみてください。
グリセリンが一番最初にいると思います。
これらのアイテムには水がほとんど配合されていないため、
塗布時に皮膚の水分とグリセリンが反応して水和熱が発生し、じんわりとした温感効果を得られるのです。
ドラックストアなどで販売されているただのグリセリンでも同様に温かさを感じることができますよ。
グリセリンについては美里先生のブログ記事がとても分かりやすいので、是非ご覧になってください。
このグリセリンの水和熱と、ヒートテックの吸湿発熱が似ているなと思い、今回この記事を書いてみました。
温感を得られる化粧品は、凝り固まった身体をほぐしたり、皮膚を柔らかくして毛穴に詰まった汚れを落としやすくしてくれるため、クレンジングなどにはもってこいですよね。
グリセリン特有の、じんわりポカポカする温感は、身体が冷える今の時期にはぴったりかもしれませんね。
グリセリンを化学的に見てみるとこんなに面白い現象も持っているのだなと、また一つ勉強になったいろはね研究員なのでした。
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界面活性剤の働き!
皆さんこんにちは!
最近とても乾燥してきましたね…
さらに毎日マスクをしているからなのか、お肌の調子がとてもイマイチないろはねです…
そんないろはねはある日こんな情報を入手しました!
化粧品業界ではとても話題になっているのではないでしょうか…?
それは、資生堂さんの「マキアージュ」からマスクに色移りしにくいBBクリームが発売するとのこと!
「マキアージュ」がマスクに色移りしにくいBBクリームを発売、資生堂の新技術を採用
このアイテムには、水や汗に強い性質を持つ疎水化処理粉末を油や界面活性剤に頼らず水に分散するという世界初の新技術が搭載されているとのこと!
疎水化処理されているのに、水にどうやって分散するのー!?
分離せずにどうやって安定化させてるのー!?
とはてながいっぱいになりました(笑)
とにかくこれは買わなければ…!と思ったいろはね研究員は、この新技術を見てふと界面活性剤のお勉強をしたときのことを思い出しました。
界面活性剤って、水と油を繋ぎとめる働きを持つというのは皆さんもよくご存じかと思います。
しかーし!実はそれ以外にもとっても重要な働きを担っているのです!
それについて今回は復習も兼ねてまとめていきたいと思います!
界面活性剤は「乳化」の他にどのような働きを持つのでしょうか!
①気泡
これは以前ブログに書きました!
界面活性剤が泡の膜に並び、気液界面を強化してくれるのと、
表面張力を弱めてくれるおかげで、泡が壊れにくくなるというお話でしたね!
②洗浄
洗剤を例に挙げましょう!
お皿に付着した頑固な油汚れや、洋服に付着した汗や皮脂などの汚れは、
もちろん水だけでは簡単に落とすことはできません。
そこで!界面活性剤の性質を利用するのです!
洗浄のイメージはこんな感じです!↓
お借りしたイメージ図:日本石鹸洗剤工業会 石けん洗剤知識 洗濯
界面活性剤は、親水基と疎水基を持つ特殊な構造をしていましたよね!
この疎水基部分が油汚れを取り囲むようにどんどん付着していきます!
最後には完全に油汚れを包み込むことで、洗浄することができるのです!
③溶解
乳液やクリームに配合されている界面活性剤は、乳化させるために配合されているのですが、
化粧水にも界面活性剤が配合されていることがあるのです!
化粧水は水ベースだし、乳化ではないよね…?と思いますよね!
化粧水には、香料や保湿効果を付与するための油性成分を配合する場合があります!
それらを「可溶化」させるために界面活性剤が必要になるのです!
例えば、砂糖は水に入れると溶けてなくなりますよね。
あれは砂糖自体が水に溶けやすい性質であるため、水と一体化したという意味合いになります!
対して香料などの油性成分はどうでしょうか?
油は性質上、水と一体化しないのは皆さんももうお分かりのはず!
そこへ界面活性剤が入ると、界面活性剤の疎水基部分と油性成分が一体化するため、水と一体化しない油性成分でも溶解させることが可能になるのです!
そして、界面活性剤はミセルと呼ばれる球状の集合体を形成し、完全に油性成分を包み込んでしまいます!
このように、水に溶けないはずの油性成分が溶け、しかも透明になって混ざる現象のことを「可溶化」と言うのです!
④分散
これが先程お話しした資生堂さんのBBクリームのお話にも繋がりますね。
界面活性剤は、メイクや日焼け止めに使用される粉体成分や色素などの個体状成分がダマにならないよう、均一に分散させる働きも持っています!
このような固形粒子を界面活性剤で表面処理することによって、界面活性剤が反発し合い、凝集しにくくなるのです!
さらにこの表面処理は、汗や水で簡単に落ちてしまわないように、疎水化処理を施されているものが多く、これにも油や界面活性剤が必要不可欠になります!
その常識を資生堂さんの新技術は見事に打ち破ったということですね…!
こうして改めてまとめると早く使ってみたくなります!
発売が待ち遠しいです!
ということで、代表的な界面活性剤の働きは以上でしょうか!
もちろんこれだけではなく、他にも界面活性剤には色々な働きがあります!
これだけの力を持つ界面活性剤の登場があったからこそ、
今非常に幅広い化粧品アイテムが流通するようになったのだなと思いました!
しかし資生堂さんの「界面活性剤に頼らない」というこのワード…
とんでもない技術だ…と私は思います。
界面活性剤が欠かせないこの業界で、あえて界面活性剤を使わず頼らず、従来のアイテムに近いもの、ましてやそれよりも良いものを生み出す…!
簡単には真似できない非常に高度な技術なのだなということを思い知ったいろはね研究員なのでした。
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