メイク落ちのメカニズム~クレンジングクリーム~
皆さんこんにちは!いろはねです!
毎年この時期になると言っていますが、暑い…暑いです…。
いつでもどこでも口ずさんでしまうほど、本当に暑いです。
汗で体はびしょびしょ、メイクはぐちゃぐちゃ…という毎日です(汗)
皆さんはいかがでしょうか?
とにかく暑い日は、帰宅後すぐにお風呂に入ってさっぱりしたくなりますよね。
そんな時、特にメイクをされる方に欠かせないのがクレンジングですね。
私達が普段何気なく使っているクレンジング。
そういえば一体どのようなメカニズムでメイクを落としてくれているのでしょうか?
今回はクレンジングクリームに焦点を当て、イラストにしながらまとめていきたいと思います。
〇クレンジングクリーム使用時の様子〇
まずはクレンジングクリームを実際に使用した時の様子を、写真と共に観察していきましょう。
これが後に化学的なメカニズムへとリンクすると、なるほど!と理解が深まります。
①ファンデーションを塗布した肌へクレンジングクリームを乗せた様子
クレンジングクリームは基本O/W型(水ベースに油が入っている状態)で設計されています。
そのため、最初はまだO/W型の状態となっています。
②クレンジングクリームをゆっくりなじませていった後の様子
クレンジングクリームをメイクとゆっくりなじませていくと、
だんだんクリームが重たくなっていくのですが、ある程度なじませていくとスッと軽くなるポイントがあります。
このタイミングで、白かったクリームもだんだんオイルのような透明な状態へと変化していくのです。
④③の状態に少しずつぬるま湯を足して馴染ませた時の様子
クレンジングの最後はぬるま湯でメイクを落としますよね。
③の状態に少しずつぬるま湯を足していくと、先程はオイルのように透明だったのが、白く乳化しました!
この様子を確認してから、しっかり洗浄していきますと…
ファンデーションが落ちてピカピカになりました!
クレンジングクリームの良いところは、ゆっくりマッサージしながら、メイクを落としてくれるところ。
そして、洗い上がりはつっぱらず、しっとりとした肌へと導いてくれるところですね。
〇化学的にイメージする〇
上記でいくつか気になる点がありましたね。
まず一つ目は、②で白いクリームがオイルのような透明な状態へと変化したこと。
この現象のことを「転相」と言います。
以前これについて詳しく書かせていただいておりますので、こちらもぜひチェックしてみてください。↓
sawayaka0302.hatenablog.com
それでは、もう一度「転相」についておさらいしていきましょう。
転相とは、エマルションの状態が逆転する現象のことを指します。
クレンジングクリームは、O/W型に設計されている為、転相することによってW/O型へと変化します。
つまり、最初水ベースだったエマルションが、油ベースのエマルションへと大きく変化するということなのですね。
だからオイルのような透明な状態へと変化したというわけなのです。
ではなぜ、転相が起きたのでしょうか?
これをイラスト化して解説していきます。
クレンジングクリームは絶妙なバランスでO/W型のエマルション状態を保っています。
それをメイクの付いた肌へなじませていくと…
①肌の熱で温められてクリームに含まれる一部の水分が蒸発していく
②メイクの油分もクリームに絡んでいく
これら2つの現象によって、クレンジングクリームのO/Wバランスが崩れ、徐々に油の割合が多くなっていきます。
そして、ある程度油の割合が多くなったところで、一気にくるっとO/WからW/Oにエマルションが変化するのです。
一度は重たくなった使用感が一気にスッと軽くなったのは、転相が起きていたからなのですね。
こうしてW/O型に転相したことで、油が外に来る為、油性のメイクをよくなじませることができます。
ここでクレンジング力が発揮されるということですね。
二つ目は、③で少しずつぬるま湯を足していき、オイル状から白く乳化したこと。
②と考え方は同じです。
ぬるま湯を足したことによって、クリーム中の水分量が優位になり、W/OからO/Wに再び転相します。
つまり、クレンジングクリームの初期状態に戻ったというわけです。
O/W型に再び転相したクレンジングは、今度は水となじみが良くなるため、すすぐと同時に肌から離れ、汚れが落ちていくのです。
この時エマルションの中には、先程油と一緒に絡んだメイク汚れも内包されているため、洗い流した後は何もないまっさらな状態になるのです。
つまり、クレンジングクリームを正しく使うには…
・転相を起こして、しっかりクレンジングとメイク汚れをなじませる
・少しずつのぬるま湯でまずは乳化させ、汚れをエマルションの中に閉じ込めてから洗い流す
この二つのポイントをクリアすれば、綺麗にメイクを落とすことができます。
私は少しせっかちなところがあるので、乳化の所は一気にぬるま湯で落としてしまっていたのですが、もう少し時間をかけてクレンジングをしようと反省しました(笑)
皆さんもぜひ、この方法で綺麗にメイクを落としてお肌を労りましょう!
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水系vs油系 香り立ちが良いのは?
皆さんこんにちは!いろはねです!
化粧品を使用した時、ふわっと良い香りがすると心が癒されますよね。
使用感の良さや機能性にプラスして、香りの良し悪しで化粧品を選ぶ!
という方も結構多いのではないでしょうか?
最近は無香料な化粧品も多い中、バラ系やシトラス系など香り付けはマスト!
というお客様ももちろん多くいらっしゃいます。
そのご要望にお応えするべく、私達化粧品技術者は試作現場において、
化粧水、乳液、クリーム、クレンジングなどなど…
様々な化粧品に香料を賦香しています。
私は大学の授業で香料そのものには触れていたのですが、
実際に現場で扱った際に、化粧品の剤型によって香り立ちがかなり異なることに衝撃を受けました。
ではなぜ、剤型によって香り立ちが異なるのでしょうか?
今回はそれについてまとめていきたいと思います!
〇香り立ちのメカニズム〇
皆さんもご存じ、香料には大きく種類がありましたよね。
花や果物などを圧搾、抽出、蒸留することによって得られる「天然香料」
人工的に香り成分を調合し、フルーティーな香りやフローラルな香りなどを作り出す「合成香料」
と分けられ、主に食品に付与する目的の香料を「フレーバー」
化粧品やトイレタリー製品に付与する目的の香料を「フレグランス」
と定義されていました。
そして、これら香料に含まれる香り物質(香気成分)はほとんどが揮発性であるため、私達はそれを鼻で感じ取り、匂いを察知することができるのですね。
この揮発性が高い順に、トップノート、ミドルノート、ベースノートと大きく分類され、これらのバランスによって香料は香りの印象が決まると言われています。
香水も付けたてと数時間後の香りって全く違いますよね。
それらを全て計算した上で、香りのプロ(調香師)は調合を行っています。
鼻の感度の良さはもちろん、膨大な香りの知識や経験とセンスが必要となる、
ある意味芸術的なお仕事とも言えるのかもしれません。
非常にかっこいいです!
〇水系と油系どちらが香り立ちが良い?〇
化粧品は水系と油系のタイプにも分けられますよね。
水系であれば、化粧水・美容液・乳液・オールインワンゲルなど。
油系であれば、クリーム・クレンジングバーム・美容オイルなど。
化粧品を塗布した時に香るのは、そこに配合されている香料が揮発することによって香りを感じているということになりますよね。
つまり、香り立ちの良さは揮発温度や速度なども非常に重要となってきます。
そして最終的に水と油、どちらの方が揮発性が高いのか?というお話になってくるのですが…もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんね!
答えは「水」です。
〇なぜ水の方が揮発性が高いのか?〇
①沸点の違い
水の沸点が100℃なのに対し、
油の沸点はよく使うサラダ油で約300~500℃とされています。
このように圧倒的に油の方が沸点が高い為、水系化粧品の方が香り立ちが良いのです。
②分子運動
「揮発」という言葉を化学的に読み解くと、答えが見えてきます。
まず根本的に考えると、液体から気体になることを「気化」と呼び、
①で述べた沸点による気化は「蒸発」、
常温で気化することを「揮発」としています。
確かに、机の上に垂れた水滴っていつの間にか消えていますよね。
水が沸騰することによって蒸発するのは湯気が目に見えてわかるのでイメージしやすいですが、常温でも気化するというのはよく考えると不思議な現象ですよね。
私達は普段温度を〇℃と表現しますが、化学的・理論的に定義すると、
「物質に含まれる分子運動の激しさを表す値」なのだそうです。
つまり、温度の高い沸騰した水は非常に分子運動が激しい状態=水は蒸発する。
沸点ほどではないですが、常温でも一部の分子は運動していて、
それによって水は沸騰しなくても徐々に気化するということなのですね。
この揮発のしやすさは液体によって異なり、それは分子同士の電気的(+や-)な力によって働く「分子間力」が関係しています。
この分子間力が大きいと液体中に分子が拘束される為、液体表面から飛び出しにくくなり、揮発性が低くなるというメカニズムなのだそうです。
この話から、水の分子は比較的分子間力が弱く分子運動しやすい。
そして、油の分子は比較的分子間力が強いのではないかなと思いました。
なぜかというと、水は電気を通しますが、油は電気を通さないからです。
水の中には分子になっていないイオンがバラバラに存在していて、それと反応し電気が通る。
しかし油は強い分子間力が働いてイオン性を持たないということなのではないでしょうか。
水の揮発性がここまで化学的だとは…初めて知りました。
全ての現象には化学が繋がっているのですね。
つまりこのように、水の方が揮発性が高い為、
例えば化粧水と美容オイルに同じ香料を同じ賦香率で配合すると、
香り立ちが全く異なります。本当にびっくりしますよ!
これらを考慮し、普段私達は油系の化粧品は水系よりも香料の配合量を少し多めに設定して試作を行っています。
香りは数値化できませんので、後は人の感性が頼りです。
お客様によって感じ方も大きく異なるため、香りは非常に面白い分野だなと改めて感じたいろはね研究員なのでした。
<参考HP>
・香料とは | 日本香料工業会 - Japan Flavor and Fragrance Materials Association -
・油は沸騰しない 発見!フードマネジメントな365日┃中村学園大学┃フード・マネジメント学科特設サイト (nakamura-u.ac.jp)
・「揮発」って何?身近な例とともに化学系学生ライターがわかりやすく解説 - Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン
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NMNって何?
皆さんこんにちは!いろはねです!
先週は雨続きの毎日でしたね。
気圧の変動に私もタジタジでした…
そこで、自律神経を整えるために、毎晩ゼラニウムとフランキンセンスのブレンドアロマを焚いて寝るようにしましたら、気圧の変動に伴う体調の変化が少なくなりました!
ゼラニウムには自律神経を整える効果が、フランキンセンスにはリラックス効果があると言われています。
そのおかげなのか、前までは頭痛で大変だったのが今はほとんどないのです。
アロマの力は計り知れないなと驚いた今日この頃です。
皆さんもアロマディヒューザーをお持ちであれば、ぜひ!やってみてください。
さて、本題に入りましょう。
少し前から化粧品業界でも話題になっている「NMN」という成分。
皆さんはご存じですか?
私は最近この成分を知ったのですが…
どうやら若返りができるだとか、老化防止してくれるだとか…
これらのワード、かなりインパクトがありますよね。
個人的に、本当にそんな都合の良い成分あるの?と疑ってしまうような…
そんなNMNですが、最近私の周りでもよく耳にするようになり、
実際に原料に触れて実験をするようにもなりましたので、自分で色々調べてみようと思いました!
今回はそれについてまとめていきたいと思います。
〇NMNとは?〇
「ニコチンアミドモノヌクレオチド」の略称です。
ビタミンB3群の中に含まれている物質のこと。
あらゆる生物の細胞に本来存在していて、体内で自然に生成されています。
しかし、老化と共にその生成能力は衰えていってしまいます。
その結果、様々な身体機能が低下していき、老化が始まっていくと言われています。
つまり、NMNは私たちの身体を若く健康に保つために機能してくれている物質ということなのですね。
最近は、NMNカプセルも販売されていて、アメリカや中国、日本の富裕層を中心に、老化を遅らせ、身体機能を若く保つことが期待できるサプリメントとして人気なのだそうです。
〇なぜ若返り成分と呼ばれているのか?〇
最近の研究では、遺伝子解析技術なども大きく進歩し、
その中で老化現象をコントロールする「長寿遺伝子」の存在が分かってきました。
長寿遺伝子(別名:サーチュイン遺伝子)とは、
老化の原因となる活性酸素を消したり、免疫細胞を正常化させる「サーチュイン」という酵素を作りだす遺伝子のことを指します。
この長寿遺伝子は全部で7種類あるのですが、これらは普段十分に機能しておらず、ほぼ眠ったような状態です。
せっかく体の中に備わっているのにほとんど機能していないなんて…
つまり、この長寿遺伝子を人為的に目覚めさせることができれば、老化現象のコントロール=若返りを実現することができるのではないか?!
という推論が立てられたわけなんですね。
そして、この推論を実現したのが、今回話題に挙げた「NMN」だったのです。
NMNは7種類全ての長寿遺伝子を目覚めさせる能力を持つため、
NMNを身体に補充してあげることによって、老化現象により衰えた臓器が蘇ったり、失いつつあるあらゆる身体の機能を補整する効果が得られるのではないかと考えられています。
〇本当に若返り効果はあるの?〇
マウスでの実験にはなりますが、かなりの老化抑制効果が見られたのだそうです。
実験結果としては、生後22か月(人間で言えば60歳)の年老いたマウスに一週間継続してNMNを飲ませたところ、生後6か月(人間では20歳)の身体に若返ったというデータがあるのです。
1週間でマイナス40歳…?
しかも細胞の活性化レベルも、年老いているはずなのに若いマウスと同じレベルに達していたというのです。
凄まじい抗老化効果ですね。
なぜここまで若返ることができたのでしょうか?
これには脳の視床下部が関わっています。
最新の研究で、視床下部は全身の組織に老化を止める強い指令を出すことが分かってきています。
しかし、この機能も歳を取ると共に弱まっていきます。
NMNはこの視床下部をも刺激し、全身の組織への指令を再び強くさせる可能性があることが分かってきたのだそうです。
この研究が進めば、年齢は重ねているけど見た目は若い、なんてことが現実になりつつあるのかもしれません。
ちなみに、今回のNMNについての記事は2015年1月4日にNHKで放送された番組、「NEXT WORLD ―私たちの未来―」を元にまとめさせていただきました。
見ることができる方はお時間がある時にぜひ!
遺伝子やヒトゲノム、医療技術の最前線をここで見ることができます。
NMN配合の化粧品も少しずつ増えてきているようですが、今はまだ、サプリメントで体内へ吸収させる形が主流なのかな?と思います。
そうするとどうしても他の臓器にNMNの効果が割り振られてしまい、肌への効果までは中々到達できないのかもしれません。
なので、化粧品に配合し、皮膚に直接浸透させることができれば、ダイレクトに老化現象で衰えた肌の機能をよみがえらせることができるのかもしれませんね!
そんな高い抗老化効果を持つNMN…これから美容業界ではどのように飛躍していくのでしょうか?
NMNってこんなにすごい成分だったのか…と同時に、遺伝子や抗老化研究の最前線にいる方々の努力によって、このような化粧品に繋がる革新的な成分が発見されているのだなと感動した、いろはね研究員なのでした。
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皮膚の成長因子って何?
皆さんこんにちは!いろはねです!
今回は肌の機能に関するお話をしていきたいと思います。
さて、肌の機能と言えば、皆さんは何を連想するでしょうか?
私は…
<表皮なら>
・外的刺激や異物から肌を守るバリア機能
・うるおい保持機能
・約28日間かけて細胞が生成、成長、アカとなって排出されていくターンオーバー
<真皮なら>
・肌のハリや弾力を司るコラーゲンやエラスチン
などなど…
こうして改めて見ると、皮膚は非常に緻密で精巧に作られており、
毎日休まず様々な機能を働かせて私たちの肌を健やかに保とうとしてくれています。
しかし、紫外線や摩擦などの外的刺激やストレス、加齢などが影響すると、
これらが上手く機能できなくなり、様々な肌悩みやトラブルを引き起こしてしまいます。
化粧品は肌を美しくする、というのが大前提ですが、
肌の構造&機能に絡めて定義しますと、肌の機能を手助けするアイテムとも言えるのではないでしょうか。
そして、この機能自体に働きかけるような成分があるのをご存じでしょうか?
それが、今回題名に掲げた「皮膚の成長因子=グロスファクター(GF)」です!
これは一体何ぞや!というのが今回の内容です。
それでは参りましょう。
<成長因子=グロスファクターとは?>
私達の体内で全ての細胞の増殖をコントロールする働きを持つたんぱく質の一種なのだそうです。
細胞成長因子、細胞増殖因子とも言われています。
そもそも私たちの体(細胞、骨、筋肉)は「ヒト成長ホルモン」というホルモンによって成長します。
しかし、このホルモンは思春期をピークに20代後半から急激に分泌が減少してしまうと言われています。
これにより、様々な老化現象が起きてしまうのですね。
そして、このヒト成長ホルモンを活性化する物質が成長因子なんだそうです。
<成長因子の種類>
成長因子にも様々な種類があるらしく、美肌へ導く代表的な成長因子は以下の4種類になります。
①EGF(ヒトオリゴペプチド-1)
Epidermal Growth Factorの略語。
「上皮細胞増殖因子」や「上皮細胞成長因子」とも呼ばれています。
表皮細胞の成長に重要な役割を担っている53個のアミノ酸から形成されるペプチドです。
つまり、主に表皮細胞に働きかける成長因子ということですね。
そして、表皮細胞の表面に存在するEGFRという受容体と結合することで、加齢ともに乱れてくるターンオーバーを正常化し、細胞の成長や増殖を促します。
これにより、ターンオーバーの乱れからくるシミやくすみ、ごわつき、たるみ、乾燥など様々な肌トラブルを改善する効果があります。
②FGF(ヒトオリゴペプチド-13)
Fibroblast Growth Factorの略語。
「繊維芽細胞成長因子」とも呼ばれています。
154個のアミノ酸から形成されるペプチドです。
主にハリや弾力を司る真皮に働きかける成長因子ですね。
繊維芽細胞を活性化し、増殖を促す為、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの生成を行い、肌の弾力を向上させたり維持させる効果があります。
③IGF(ヒトオリゴペプチド-21)
Insulin-Like Growth Factorの略語。
「インシュリン様成長因子」とも呼ばれています。
損傷を受けた細胞の再生を助け、新しい細胞を生み出してくれる成長因子です。
これによりコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成が促進される為、肌のハリを回復させ、たるみやシワの予防と解消に効果があるとされています。
④TGF(ヒトオリゴペプチド-14)
Transforming Growth Factorの略語。
「トランスフォーミング成長因子」とも呼ばれています。
繊維芽細胞において、コラーゲンとエラスチンを生成するのに必要な因子です。
コラーゲンやエラスチンの構造を強化したり、肌にうるおいを与えて弾力を高めたり、抗炎症作用もある為敏感肌の改善にも効果があると言われています。
以上が代表的な美肌成長因子です。
他にも非常に多くのペプチドが存在します。
これらは単体だけでもそれぞれ大きな効果を持ちますが、
組み合わせることにより相乗効果が加わる為、例えば美容液などにEGF、FGF、IGFの3種類を加えて表皮、真皮、損傷を受けた細胞、3ポイントに同時にアプローチできるよう設計することもあります。
美容成分と言えば、植物エキスなどをよく連想しますが、
成長因子もこのように細胞の機能自体に働きかける効果があるため、美肌効果が期待できますよね!
成長ホルモンは20代後半から急激に分泌が減少してしまうということに衝撃を受けた私もその領域に足を踏み入れました…
スキンケアの仕方を一から考えなければならないなと危機を感じたいろはね研究員なのでした。
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測りこみって大事!
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回はイラストも盛り込んで、乳化技術についてお話させていただきました。
あのイラスト…
作るのとても頑張りましたので、まだお読みになっていない方はぜひ(笑)
私のような素人でも時間をかければなんとか形にすることができたので、パソコンってすごいなと感動した次第です。
そして、プロのイラストレーターの方々をさらに尊敬しました!
さて、今回は私達化粧品技術者のお仕事としてメイン中のメインである、原料の測りこみについてお話していきたいと思います。
化粧品といえば、各商品の全成分表示を見ると非常に多くの成分が配合されていますよね。
水や保湿成分、オイル、界面活性剤、植物エキス、防腐剤…他にも色々と。
私たち化粧品技術者は、これら多くの成分を処方に組み込み、それに従って化粧品原料を測りこみ、試作品を作成していく、ということが日常茶飯事です。
その試作品の出来を社内で評価し、未来の化粧品が決まっていきますので、責任重大です。
だからこそ試作品を作るうえで「正確に化粧品原料を測りこむ」作業は、
気を抜けない非常に大切なお仕事です。
そんな大切な測りこみというお仕事に関して、実際私達がどのようなことに注意しているのかを今回はまとめていきたいと思います。
〇測りこみに大切な事〇
① 実測値を必ずメモ
これはもう初歩的なことなのですが、非常に重要です。
試作品を作成するときは、処方に実際に測りこむ数値を記載しています。
それに従って進めていくのですが、上記でも述べましたように化粧品には非常に多くの成分が配合されているため、一度の試作に測りこむ数は多い時で数十種類にも及びます。
それらを全て間違いなく正確に測る為には、写真のように実測値をメモすることが非常に重要となります。
(写真は左が測りこむ数値、右が実測値のメモになります)
②各原料のロットNo.を必ずメモ
各化粧品原料にももちろんロットNo.が記載されています。
なぜこれもメモをするのかと言いますと、
・測りこみのミスをゼロに
・完成後の状態に何かおかしな点があった場合にその原因を探しやすくなる
といったメリットがあるからですね。
特に二つ目に注目です。
例えば、何度か試作を重ねてきたアイテムで、全く同じ原料を使っているはずなのに今までと使用感が違う…香りが違う…粘度が違う…などのトラブルが生じてしまうことがたまにあるのですね。
この要因としては、
・購入日の古い原料を使用してしまった
・原料自体の保管状態が悪く変質してしまっていた
・同じ原料だけどメーカーによって精製度が異なることによる問題
など様々です。
万が一、試作品の品質がおかしい…となった時、各原料のロットNo.を控えておくことで、どの原料が影響しているのか、後に原因を探る際役立ちます。
試作品を提出する度に品質が異なる、なんてことになっては何が正しい使用感なのか比較することもできませんし、何より試される方々を不安な気持ちにさせてしまいます。
そうならないためにもこの工程を忘れてはいけませんね。
③水の配合量を正確に調整
試作時、粉末状や固形状の原料は加熱して溶かします。
その際、水物系(化粧水、美容液、乳液、クリーム(o/w))の場合は、加熱している間に水が蒸発していってしまうため、最終的に正確な配合量ではなくなってしまいます。
さらに加熱時間や加熱温度などの違いによって、水の蒸発量も毎回変わってきますので、試作する度に粘度や外見に違いが生じたり、最終的には製造現場で製造したものとビーカーワークで作ったものとで状態の差が出てしまったりします。
再現性を取るためにも、蒸発してしまった水を調節してあげる必要があるのですね。
どのようにして調整するかと言いますと…
①空のビーカーの重さを測っておく
②完成した試作品が、
空のビーカーの重さ+本来作ろうとしていたg数(例えば400gなら400g)になればOKです。
しかし、だいたいの場合水が蒸発してしまっているためこれより少ないはずです。
その足りないg数分水を足すことによって、処方通りの配合量に整えることができます。
これらが原料の測りこみをするときに意識しているポイントです。
ここまでしても私は間違えそうになってしまうことがあるため、
試作をするときは、間違いないよな…?とたまに時間を忘れてしまうくらい集中しているときもあります。
今回この内容をまとめたのは、この工程が自分の中で流れ作業にならないようにするためです!
間違いない品質の試作品、化粧品をお客様に提供できるよう、常に全集中ですね!
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クリーム作り~目に見えない世界のお話②~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回に続きまして、クリーム作りにおいて、目に見えない世界ではこんな現象が起こっているんだ!というお話をしていきたいと思います。
前回は、W/O、O/W型の復習と、乳化技術「転相乳化法」についてお話させていただきました。
今回は、ついに乳化技術の目に見えない部分をイメージ図化して、まとめていきます。
それでは参りましょう!
〇クリーム作り(続き)〇
<クリーム作りの手順~転相乳化法~>
①オイル(植物オイルやエステル油)+界面活性剤を加熱する。(油相)
②水相も加熱する。
③①をホモミキサーにかけながら、②を少しずつ添加していく。
④最後は手撹拌でゆっくり冷却。
という手順になります。
転相乳化法においては、特に③が非常に重要となる工程です。
つまり、ここからが本題です。
この先は③の工程をイメージ図と共にまとめていきたいと思います。
①でオイルと界面活性剤を加熱した際、溶けた界面活性剤は下のイラストのようにバラバラに存在しています。
そしてそこへ加熱した水相を少しずつ添加しますが、まだこの時はW/O型の状態です。
油相に水相が入ることによって、バラバラだった界面活性剤の親水基側が水粒子を守るように少しずつ配向していきます。
最初はまばらに配向していきますが、ホモミキサーの撹拌力によって徐々に水粒子の表面積が小さくなっていくため、界面活性剤はびっしり配向できるようになります。
水相を全て添加した時点で、油と水の割合は水の方が多い状態となっています。
また、この状態でホモミキサーをかけ続けていくと、さらに水粒子が小さくなっていきます。
そして、ある大きさまで小さくなると…
界面活性剤が水粒子の周りに配向することができなくなり、くるっと反転して逆に油を包むのです!
これが「転相」です。
そして、この転相が起こる温度が「転相温度」であり、
こうして高温時W/O型だったエマルションが冷却過程でO/W型へと大きく変化するのですね。
イメージ図化したように、エマルションの世界は目に見えませんが、
実際に転相した瞬間は見ることができるのですよ!
最初はW/O型で疎水的ですので、ぶるっとしていてゲルっぽい状態なのですが、
O/W型へと転相するとつるんとしたツヤのある状態へと大きく変化するため、
おっ!今転相したぞ!となるわけです。
つまり、クリーム作りは温度によって状態が変わっていくため、目を離さずじっと観察する必要があります。
目に見えない世界をこうしてイラストにすると、非常に乳化のメカニズムが分かりやすいですよね。
複雑で奥深い技術だからこそ、このようにイメージすることが非常に大切なのだということが学べたいろはね研究員なのでした。
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クリーム作り~目に見えない世界のお話①~
皆さんこんにちは!いろはねです!
もう完全に夏が到来しましたね!
外は気温が高く室内はエアコンガンガン…という生活が始まりました。
外と中での気温差、そして季節の変わり目、さらにはマスク生活を強いられる毎日…
皆様体調は崩されていませんか?
気候の変動に負けず、頑張りましょうね!
さて、今回はガラッと話題を変えまして、乳化のお話をしていきたいと思います。
乳化といえば、皆さんは乳液やクリームが思い浮かぶでしょうか。
肌を美しく保つために必要な水分と、バリア機能を高めるオイル成分をダブルで効率良く補給できることから、スキンケアには欠かせないアイテムとなっています。
乳化反応は肉眼で見ることのできない、ミクロな世界で繰り広げられています。
今回は、乳化アイテムの代表格であるクリームに焦点を当て、どのようにして完成していくのか、目に見えない世界をイメージ図に起こしていきたいと思います。
それでは参りましょう!
〇乳化技術について〇
乳化の世界は非常に複雑で、奥深い分野になります。
乳化自体はもう皆さんもご存じの通り、本来混じり合わない油と水の相反する成分同士を、界面活性剤によって繋ぎとめ、混ぜ合わせる反応のことです。
この乳化にもいくつか技術がありまして、私もまだまだ勉強中の領域です。
今回焦点を当てるのは「転相乳化法」という技術になります。
これは、エマルションが油中水(W/O)型から水中油(O/W)型に逆転する温度「転相温度」を利用して行う乳化技術です。
この技術は、非常に微細なエマルションの形成が可能で、それによる使用感や安定性の高さが特徴です。
<W/O型?O/W型?>
これは過去のブログにもまとめさせていただきました!
乳化にはエマルションタイプがいくつか存在し、それぞれが持つ特徴を活かして化粧品アイテムが作られています。
このように真逆なタイプなのです。
W/O型は、水をはじく油がベースとなっているため、ウォータープルーフの日焼け止めなどに活用されています。
O/W型は、ほとんどの乳液やクリームが該当します。
<転相?転相温度?>
近年よく乳化に使用される界面活性剤として、ノニオン界面活性剤(非イオン界面活性剤)が挙げられます。
これは、水に溶けた時にイオン化しない親水基を持ち、水の硬度や電解質の影響を受けにくい非常に使いやすい界面活性剤です。
中でも代表的なのが、酸化エチレン(エチレンオキサイド:EO)を付加させたタイプになります。
これの持つ特徴が、転相と深く関わっています。
それは何かと言いますと…
酸化エチレン型ノニオン界面活性剤のHLB(親水性・親油性バランス)は、温度によって大きく影響を受けます。
高温では親油性、低温では親水性を示すのです。
つまり、このタイプの界面活性剤を使用した乳化は、
加熱されたばかりの高温時 ⇒ W/O型
だんだん冷却していき、ある温度に達すると ⇒ O/W型
このように、温度の変化によってエマルション状態が逆転する現象を「転相」
その現象が起こる温度のことを「転相温度」と呼んでいます。
〇クリーム作り〇
さて、少し難しいお話が続きましたが、転相乳化法については理解できたでしょうか?
ここからいよいよ本題に入ります。
今度は、この乳化法をイラスト化していきながら話を進めてまいりましょう。
<クリーム作りの手順~転相乳化法~>
①オイル(植物オイルやエステル油)+界面活性剤を加熱する。(油相)
②水相も加熱する。
③①をホモミキサーにかけながら、②を少しずつ添加していく。
④最後は手撹拌でゆっくり冷却。
という手順になります。
ここでは③の工程が最も重要であり、目が離せないポイントになります!
この先の細かいお話は、次回にいたしましょう。
お楽しみに!
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