新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

研修記録~保湿成分の特性を肌で感じるー多価アルコール編ー~

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

だいぶ長い題名になってしまいましたが…

半年くらい前に同じような内容で、ブログを書いていました。

sawayaka0302.hatenablog.com

この時は製造現場でのことを書かせていただいたのですが、

また久しぶりに研修期間中のことについてまとめてさせていただきたいと思います。

今回はズバリ、「保湿成分の特性を肌で感じる」というお題です。

保湿成分と言えば、最近こんな記事も書きました。

sawayaka0302.hatenablog.com

保湿成分には大まかに種類があり、それによって保湿性能も異なるという内容でした。

化粧品によく用いられている保湿成分としては、「多価アルコール」が有名です。

この時は書きませんでしたが、多価アルコールはモイスチュアライザーに分類され、

自ら空気中の水分を集める性質を持つ保湿成分になります。

研修期間中は、一度座学で学んだ多価アルコールの特性を復習し、

それを実際に肌へ塗布し、その使用感の違いを特性と照らし合わせ、比較するという

楽しい勉強をさせていただきました。

 

〇多価アルコールとは?〇

多価アルコールについては何度か書いておりますが簡単にまとめておきましょう。

多価アルコールは、構造中にOH基(水酸基またはヒドロキシ基と呼ぶ)を2つ以上持つものを指します。

このOH基を持つ成分は水との結合力が高く、強い吸湿性と保水性を持つため、

化粧品によく配合されます。

OH基を2つ持つ多価アルコールのことを2価のアルコール、

OH基を3つ持つ多価アルコールのことを3価のアルコールと呼ぶこともあります。

 

〇比較した多価アルコール〇

グリセリン

②1,3-ブチレングリコール

③ジプロピレングリコール

④1,2-ペンタンジオール

⑤1,2-ヘキサンジオール

これら5種類の使用感を比較しました。

 

まずはこれらの使用感の特徴を調べました。

グリセリン

・肌に塗るとベタベタし、ドロッとした重たいテクスチャー

・しっとり感を与えることができる

・肌の水分と反応し、塗布時若干の熱を持つ。

(水和熱による反応。以前ブログ書きました!)

②1,3-ブチレングリコール(以下1,3-BGと表記)

・さらっとした使用感だが、多く配合するとべたつく

・保湿剤としてはべたつきが少なく、グリセリンに比べ軽い使用感

③ジプロピレングリコール(以下DPGと表記)

・1,3-BGに似たさらさらな使用感であるため、

代替として配合されることもある

・伸びや滑りを良くする目的で配合されることもある

・刺激を感じる人もいる

④1,2-ペンタンジオール(ベンチレングリコール)

・DPGや1,3-BGに似たさらさらな使用感

・DPGよりも刺激が強いと言われているため、使用頻度は少なめ

⑤1,2-ヘキサンジオール

 ・非常にさらっと、さっぱりとした使用感

・DPGや1,2-ペンタンジオールと同じく刺激が強いため、使用頻度は少なめ

 

事前に調べた使用感をもとに、実際自分の肌に塗布しました。

グリセリン3価のアルコール

塗布時:肌に引っかかるように伸びていく、重たいテクスチャー。厚みがある。

後肌:ベタベタ感が強い。かなりしっとり感が残る。

その他特徴:伸ばしている間にじんわりと温かさを感じた。

②1,3-ブチレングリコール(以下1,3-BGと表記) ⇒ 2価のアルコール

塗布時:さらさらとした感触。肌への伸びが非常に良い。少し厚みもある。

後肌:グリセリンほどではないが、少しべたつきが残る。

③ジプロピレングリコール(以下DPGと表記) ⇒ 2価のアルコール

塗布時:1,3-BGとほとんど同じテクスチャー。若干1,3-BGよりも軽い。

後肌:1,3-BGより後肌のべたつきは少ない。

④1,2-ペンタンジオール (ペンチレングリコール)⇒ 2価のアルコール

塗布時:DPGとほとんど同じテクスチャー。非常にさらっとしていて伸びやすい。

後肌:DPGとほとんど同じ。

⑤1,2-ヘキサンジオール 2価のアルコール

塗布時:DPG、1,2-ペンタンジオールとほとんど同じテクスチャー。

    非常にさらっとしていて伸びやすい。

後肌:べたつきはこの5つの中で最もないように感じた。

 

ということで、事前に調べた使用感と同じような結果となりました。

この5つの中ではグリセリン一つだけが突出して全く異なる使用感でした。

これは、保湿力のカギとなるOH基の数の違いによるものだと思いました。

他は全て2価のアルコールでしたので、そこまで大きな違いを感じませんでした。

感覚がまだまだ磨かれていないということもあると思いますが、このような経験の積み重ねが、化粧品開発には非常に重要であると学びました。

一つ一つの原料の特性を学び、それを実際に肌で感じて比較する。

このプロセスで学ぶことができ、非常に理解しやすかったです。

次回は今回書かせていただいた内容の続編!「糖類編」になります。

そして今回のブログが2020年最後のブログとなります!

今年も読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

来年も皆様にとって良い年になりますよう、陰ながら祈っております。

では!また2021年にお会いしましょう!

 

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