新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

クレンジングバームの今

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

今、近所の桜が満開です!週末はカメラを片手に近所を徘徊しておりました。

きっととても怪しかったことでしょう…

カメラのフォルダがピンクでいっぱいになると幸せな気持ちになります。

年度が変わり、心も心機一転!

新たな一年間のスタート、張り切っていきましょう!

 

さて前回は、バームの基礎実験についてまとめさせていただきました。

バームを作る為には、オイルを固形化する必要があり、一般的にはワセリンやミツロウ、シアバターを使います。

しかし、そうではない技術もあると最後の方に書かせていただきました。

今回は、その技術とクレンジングバームを絡めてまとめていきたいと思います。

 

皆さんはクレンジングバーム、使ったことはありますか?

 

私は何度かあるのですが、非常に面白い使用感ですよね!

最初はガチっと固まっているのに、手に取って伸ばすとトロッととろけて肌に馴染んでいく…

最初に使ったとき、これは面白い!と感動したのを覚えています。

また、クレンジングオイル並みにメイク落ちもスピーディーで、とても良いんですよね。

でも、後肌はそこまで突っ張らず、しっとり。

特に美容部員時代はメイクが非常に濃かった為、重宝しておりました。

今はデュオさんに始まり、大手コスメブランドさんのクレンジングバームなど、ドラックストアにまで、色々な種類が出ていますよね。

もはやクレンジングバームは一つのカテゴリーとして、化粧品業界にかなり浸透しているなと感じます。

そんな最近よく見かけるクレンジングバームですが、全成分を見ますと、一つの共通点があるのです。

そこにオイルを固形化させているもう一つの技術が隠されていました。

 

〇今のクレンジングバーム〇

全成分表示の共通点は、ズバリポリエチレンです。

これがオイルを固形化するために必要不可欠な成分となっています。

皆さんもぜひ、クレンジングバームをお手に取った時は全成分を確認してみてください。

ポリエチレンは、プラスチックの中の一つを指します。

ナフサと呼ばれる原油から作られ、加工しやすい特長を持っている為、日本の全プラスチック生産量のうち約25%を占めているのだそうです。

これが化粧品に…?と驚きますよね。

このポリエチレンはオイルに溶解すると、冷却される過程で架橋構造を形成し、

オイルを固形化します。

自分でイメージ図を作ってみました。拙いイラストですが…

f:id:sawayaka0302:20210327095920p:plain

オイル固形化イメージ図

このイラストを踏まえてもう一度整理しますと…

※このイラストはあくまでイメージです。

ポリエチレンが配合されたタイプのクレンジングバームは、

単純に温度の下降によってオイルを固形化させるワセリンやミツロウなどとは異なり、溶解されて一度バラバラになったポリエチレンのポリマー同士が冷却の過程で連結され、架橋構造を形成することによって、オイルを固形化するということだったのですね。

この特殊な構造をしているからこそ、スパチュラで取った時のあのサクサクッとした独特の感触が生まれるのですね。

つまり、一般的なワセリンやミツロウタイプのバームは温度によって溶けて肌に伸びていきますが、ポリエチレンタイプは塗布時の圧力によって架橋構造が崩れて伸びていくというメカニズムなのです。

 

ちなみにこれ、よーく考えますと、ポリエチレンタイプは温度によって固まっているわけではないので、高温耐性も高いということに気が付いたでしょうか?

ワセリンやミツロウタイプは、バームの温度がこれらの融点に達してしまうとドロッと溶けて柔らかくなってしまう欠点があります。

しかし、ポリエチレンタイプはそうではなく、過酷な温度にも耐えられる設計になっているのですね。

さすがにあまりにもポリエチレンの配合量が少なければ、架橋構造がうまく形成できずにゆるゆるの状態になってしまいますが。

このバーム技術については、歴史も交えて専門的にまとめられている、美里さんのブログが非常に参考になりますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください!

 

cosmetic-web.jp

 

 

今回話題にしたポリエチレンは、

環境に悪いということも一部界隈では言われていますが、

こうして見ると、バーム界においては革新的な存在となっているのではないでしょうか?

色々な意見や情報が世の中飛び交っていますが、機能性重視なユーザーさんもいれば、

ナチュラル志向なユーザーさんもいます。

それぞれのニーズにどう当てはめて化粧品開発をしていくのかというのも非常に重要ですよね。

ユーザーさんが化粧品に求めるニーズは、今非常に高く、多様化しているように思います。

クレンジングバームはそういう意味でも今のユーザーさんのニーズにグッと刺さる、

画期的なアイテムだったからこそ、一つのカテゴリーとして確立されるほどにまで存在が大きくなったのかなと思いました!

化粧品開発はそういう意味でも奥深いお仕事だなと日々感じている、いろはね研究員なのでした。

 

いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください!↓

cosmetic-web.jp

cosmetic-web.jp

化粧品のOEM依頼等はぜひこちらへ。

es-cosme.com

最後までお読みいただきありがとうございます!

ブログランキングにも参加しています。

下のバナーをクリックしてくださると嬉しいです。


スキンケアランキング

にほんブログ村 美容ブログへ
にほんブログ村