マスキングの難しさ
皆さんこんにちは!いろはねです!
さて、今回の話題は「マスキング」についてです。
化粧品において、香りは重要な要素の一つですよね。
敏感肌向けやナチュラル志向な化粧品ブランドは無香料を謳っているものの、
デパコスブランドは、効果やテクスチャーはもちろんのこと、
香りにもかなりこだわって商品開発がされているように感じます。
ユーザーの皆様も肌に塗布した瞬間、ふわっと香る心地よい香りを基準に化粧品を選ぶ、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私たち化粧品OEMの技術者は、
例えばお客様からクリームにバラの香りをつけてほしいというご要望をいただいたら、
バラ精油やバラのような香りの合成香料をクリームへ添加し、
塗布した瞬間ふわっと香るように配合量の調整を行っています。
これがとっても難しく、実際香りの微調整だけで何度も試作をすることが多々あります…!
〇化粧品に香りをつける目的〇
ぶっちゃけたお話をしますと、香りってほんの少ししか配合しないし、
別にスキンケアをする上で、肌に直接効果があるわけではないし…
絶対に必要かと言われると、無くても良い存在なんですよね。
無香料の化粧品が世の中にたくさんあるのはそういうことです。
しかし、それでも香りをつけてほしいというお声をたくさんいただきます。
また、化粧品の口コミや宣伝などでも、「心地よい香りが…」などと
香りについて大きく取り上げられていることって結構ありますよね。
では、なぜそこまで化粧品に香りをつけることが重要視されているのでしょうか?
①使用時の心地よさの演出
香りは、脳や心に働きかける力があると言われています。
食欲をそそる香り、忘れていた遠い記憶を思い出す懐かしい香り、
森林浴で心が浄化されたり、思えば様々な力を私達にもたらしていますよね。
化粧品は主に皮膚や毛髪を健やかに保つために必要とされているため、
使用感や美容効果が最も重要視されるところですが、
そこへ香りがプラスされることにより、外側だけではなく、心に作用し、
内側からのケアが可能になります。
ストレスは肌に悪影響と言うように、化粧品を使って「良い香りで癒されるな…」と
心のケアに繋がることで、より美しい肌を手に入れることができますよね!
②ブランドイメージ
香りが与える印象って強いですよね。
例えば、柑橘系はエネルギッシュで若々しいイメージ、
ハーブ系は自然や癒しの力を彷彿とさせるような香りですし、
フローラル系は女性的なイメージです。
そんな香りのイメージを利用することもあります。
例えばメンズ向けブランドであれば、ウッディな香りやスパイシーな香りを中心に演出したり、オーガニックメインのブランドであれば、ハーブ系の香りでナチュラルさを演出したり…
コンセプトがはっきりしているブランドは香りにも特徴があるように感じます。
③配合されている化粧品原料特有の「基剤臭」をカバーすること
これが最も重要なポイントだと思います。
原料によっては、元から独特の臭いであったり、継時変化で発生してしまったり、
香りをつけなければ不快に感じてしまう臭いがあります。
スキンケアは特に顔に付けるものなので、香りには敏感になりますよね。
あまりにも基剤臭が強ければ、使いたくない…と思ってしまうのも無理はありません。
それを上手くカバーする方法が、「マスキング」なのです。
〇マスキングとは?〇
覆う、かぶせる、隠すという意味になります。
手法としては、
①基剤臭のするベースに香料を賦香することでその臭いをカバーするパターン
②不快な臭いに似た香料で不快な臭いをカバーするパターン
などがあります。
上記でもお話した通り、私達がよく取る手法は①ですね。
②は、香りを知り尽くしたプロでなければ非常に難しいと思います。
香りは、非常に多くの「香気成分」と呼ばれるにおい分子が複雑に組み合わさることによって構成されています。
それらは、量やバランスがほんの少しでも異なると全く別の香りになってしまうほど非常に繊細です。
つまり②は、不快な臭いの香気成分がどのように構成されているのかをまず分析し、
さらにそれとほとんど同じもので構成されたマスキング用の香料を作り、
それが本当に効果があるのかを繰り返し試して初めて実現することができるのですね。
そう考えるとマスキング一つとっても非常に難しいことがわかります。
私もよく香料を賦香しますが、どこか香りとベースが別物でまとまりがない…
と感じることが多々あります。
また、人によって感じる、感じないが異なりますので、自分では上手くできたぞ!
と思ってもお客様にとってはもっと強く&弱くしてほしい…もっとこうしてほしい…
となることもしばしば。
ですので、その分達成感が非常にあります!
そして時々デパコスの高価な化粧品に触れると、非常にバランスが良く、
まとまりのある香りだなぁと感動します。
デパコスは基剤臭のするベースに合わせて上手くマスキングできる香料を綿密に開発しているはずですので、そこにもコストをかけているから高価。
ということなのでしょう。
今回まとめてみて改めて香りの分野は非常に奥深いなと痛感したいろはね研究員なのでした。
最後までお読みいただきありがとうございます!
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください。↓
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