新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

トリートメントを作りたい!

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

最近私は、初めてトリートメントの試作をやらせていただきました。

今も試作は継続中なのですが、トリートメントはケアの対象が毛髪であるため、

また新たな知識として色々とお勉強をさせていただいております。

今回はそんなトリートメントについて、お勉強のために基本的な知識や、

試作をしてみて感じたことなどをまとめていきたいと思います。

 

〇トリートメントとは?〇

改めて、トリートメントとはどのようなアイテムなのでしょうか?

トリートメントは英語で「処置・治療・手当て」という意味なのだそうです。

毛髪は硬ケラチンであり、いわば死んだタンパク質ですので、

一度損傷してしまえば自身で修復をすることはできません。

つまり、早くケアをしなければどんどん損傷がひどくなっていってしまうのですね。

トリートメントはそんな損傷してしまった毛髪を補修してくれたり、

損傷の進行を抑制・防止する効果があります。

 

〇トリートメントに欠かせない成分〇

カチオン界面活性剤

カチオン界面活性剤は水に溶けるとプラスに帯電する性質を持つ界面活性剤です。

そしてケアをしたい毛髪表面は、マイナスの電気を帯びているためプラスのカチオン界面活性剤が吸着しやすいのですね。

それにより以下のような効果が期待できます。

帯電防止

カチオン界面活性剤がマイナスに帯電した毛髪に吸着することによって、

静電気で広がるのを防ぎ、しっとりとしたまとまりのある状態へと導いてくれます。

毛髪がマイナスに帯電して反発し合うのを、プラスのカチオン界面活性剤が打ち消すようなイメージですね。

指通りの改善

カチオン界面活性剤が、トリートメントに配合されている油分と共に毛髪に吸着してくれる為、お湯ですすいでもギシギシせずに滑らかな指通りを実現することができます。

他にも、

毛髪の柔軟性向上

殺菌効果

などが挙げられます。

つまり、トリートメントは乳化しているとはいえ、スキンケアの乳液やクリームとは少しテイストが異なるのです。

乳液やクリームも、実際毛髪に付けたらしっとりしそうなイメージですよね。

しかし、このカチオン界面活性剤が配合されていなければ、

毛髪には何も吸着せず、全てがお湯と共に流れていってしまい、

指通りの悪いギシギシの状態にしかなりません。

この電気的な力が、毛髪に様々な良い影響を与えてくれていたのですね!

高級アルコール

高級アルコールとは、炭素数が6個以上の1価(-OH基が一つついている)のアルコールのことを言います。

私達はよくこれを乳化補助剤として使用することが多いですが、

トリートメントにとってはあのトロッとした粘度を出すために必要不可欠な成分となっています。

高級アルコールは、カチオン界面活性剤と組み合わさることで、ゲルを形成します。

このゲルは層状の構造となっていて、これがどんどん幾重にも重なり特殊なネットワークを形成します。

このネットワークが粘度を上昇させてくれる為、液だれしにくく使用しやすいトロッとしたトリートメントを作ることができるのです。

油分

カチオン界面活性剤と高級アルコールの力でゲルが形成されるため、

スキンケアのクリームとは異なり、少ない油分でも乳化することが可能です。

トリートメントに配合される油分は、ゲルの中に乳化粒子として分散され、それが毛髪に吸着し、ツヤやうるおいを与えてくれます。

主にシリコーンや植物性のオイルを使用していることが多いのではないでしょうか。

参考HP:化粧品用語集 | ライブラリー | 日本化粧品技術者会 SCCJ (sccj-ifscc.com)

 

〇実際に試作をしてみて〇

今まで綺麗に真っ白に乳化する乳液やクリームを見てきていたため、

最初にトリートメントの試作をした時は、その様子を見て少し不安になってしまいました…(汗)

処方の関係上油分が少ないということもあり、

乳化しているはずなのに薄めた牛乳みたいな見た目だし、

水みたいにサラサラで粘度がないし、これはきちんと乳化できているのだろうか…?

ちゃんと粘度出るのかな…?と色々不安になってしまったのですね。

冷却していくことで、最終的に粘度も出て形にはなったのですが、

乳化したものって、もっと濃厚でツヤツヤしてなかったっけ…?

とまだ私の脳内は自信のない様子。

結果、この試作品を打ち合わせで報告した時に、

やっとこれで良いんだということを知ったのと同時に、

あまりにも私が乳化アイテムの常識にとらわれすぎていたのだなということに気がづきました。

スキンケアとヘアケアはケアしたいところが違うからこそ、

視点もガラッと変えて観察していかなければなければいけませんし、

市販品をよくイメージして比較することも大切だなと感じました。

しかし、実際試作したトリートメントを使用した時、しっかり指通りも良くて、

ギシギシとした感触を感じなかった時、私は非常に感動しました。

中身の技術や知識を知ってから試作をして、実際に使用すると感動が一段とアップしますね!

さらに良いものができるよう、試作を引き続き頑張りたいと思います!

 

最後までお読みいただきありがとうございます! 

いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください。↓

cosmetic-web.jp

cosmetic-web.jp

化粧品のOEM依頼等はぜひこちらへ!

es-cosme.com