新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

クレンジングオイルは正直なのです

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

今回が2021年最後の記事になりますね!

(先程カレンダーを見て驚いたことは秘密にしておきましょう…)

またあっという間に一年が終わろうとしています。

毎年言っていますが、本当に毎日があっという間なんです。

このお仕事に就いてからもう丸2年が経ちましたが、まだまだ知らない事だらけです。

新しいことにチャレンジしたり、学んだり、毎日が新鮮です。

だからこそ、一年があっという間に感じるのでしょうね。

それだけ毎日が充実していたということでしょうか!素晴らしいことです!

そんな環境に置いていただけていることに日々感謝して、

来年も充実感のある一年にできたらいいなと思います。

 

「新しいことにチャレンジ」と言えば、

今クレンジングオイルを開発チームで手掛けているのですが、

これが中々に難しく、苦戦しておりまして…

実際、何に苦戦しているのかと言いますと…

①オイルの選定

②界面活性剤の選定

③相性の良いオイルと界面活性剤の組み合わせ

これが今私達が抱える大きな課題です。

なぜこれらがそんなにも難しいのでしょうか?

 

〇クレンジングオイルをイメージしてみよう〇

まず新しいものを開発する時は、

そのアイテムがどのように構成されているのかをイメージすることから始めます。

一般的なクレンジングオイルはだいたいこんなイメージ↓

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クレンジングオイルのイメージ

こうして見ますと非常にシンプルですよね。

要はオイルと界面活性剤でクレンジングオイルは完成してしまうということです。

実はこのシンプルさが逆に仇となり、開発は苦戦を強いられることになります。

クレンジングオイルはメイクを落とす目的で界面活性剤を配合している為、

乳化目的の乳液やクリームと異なりその配合量は多いです。

その為、これらの特徴がダイレクトにメイク落ちや使用感にも出ます。

また、クレンジングオイルって見た目が透き通っていますよね。

あれはただ単にオイルが透き通っているからとかの話ではなく、

オイルと界面活性剤の相性の良さが確立されているからこその状態なのです。

実はこれらの相性が悪いと濁ってしまったり、混ざり合わず分離してしまったりと

相性の悪さが正直に出てしまうのが、クレンジングオイルなのです。

だから「クレンジングオイルは正直」ということなのですね。

非常にシンプルなアイテムであればある程、開発は難しい…!

 

〇オイルと界面活性剤の相性試験〇

先程から何度も話に出てくる「相性」ですが、

これには界面活性剤のHLBが大きく関わってきます。

HLBとはHydrophilic-Lipophilic Balance=親水性親油性バランスの頭文字を取ったものです

その範囲は0から20まで。

HLBが低い界面活性剤は、油に馴染みやすい親油性

HLBが高い界面活性剤は、水に馴染みやすい親水性

という位置づけでした。

オイルと界面活性剤で構成されているクレンジングオイルですから、

これらの相性試験が開発をする上で非常に重要となります。

基剤となるオイルを選定し、そこからそれに合う界面活性剤を選定していくのです。

これが個人的には非常に難しい所なのではないかなと感じています。

<あまりにもHLBが低い界面活性剤を選定してしまうと…>

HLBが低い界面活性剤は構造的に脂肪酸のボリュームが大きい為、

原料自体固形のものがほとんどです。

オイルと共に加熱すれば一旦は溶けますが、

相性が悪ければ室温へ戻したとき白く濁ってしまったり、

白い塊が発生してしまったりすることがあります。

<あまりにもHLBが高い界面活性剤を選定してしまうと…>

逆にこちらは液状のものがほとんどですが、

あまりにもHLBの高い界面活性剤ですと、性質がオイルとかけ離れていますので、

完全に混ざり合わずうっすらと層ができて分離してしまうのですね。

どちらもクレンジングオイルとしては好ましくない状態ですよね。

 

〇市販品から読み解く〇

上記でHLBのお話をしましたが、実験を行っていて中々良い結果が出ないと、

結局何が最も正しいのかわからなくなってきてしまうのですね。

そうなった時は、世に出ているクレンジングオイルの傾向を見るに限ります。

化粧品開発者は普段から当たり前にされていることかもしれませんが、

意外と実験に没頭していると周りが見えなくなってしまうことがあるのです。

実際に市販品を見てみますと、使用されている界面活性剤のHLBは7~12辺りが多かったです。

つまり、極端なHLBの界面活性剤はクレンジングオイルに不向きなのだなということが読み取れるのですね。

ここからまた相性試験のスタートとなるのです。

早く良い結果が出せるように引き続き頑張るのみです!

 

クレンジングオイルの開発に携わっていて、

化粧品はトライ&エラーを幾度も繰り返して完成されている。

だからこその達成感なのだということ再確認しています。

市販のクレンジングオイルも技術者達の度重なる苦労が裏にあるのだろうな…!

と商品自体の見る目が変わったいろはね研究員なのでした。

 

最後までお読みいただきありがとうございます! 

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