安定性試験のリアル
皆さんこんにちは!いろはねです!
さて!今回は研究開発の裏側をチラッとお見せしたいと思います。
この間展示会に出展したこともあり、
ありがたいことにお客様から試作依頼を多くいただいておりまして、
私も日々試作に勤しんでおります。
化粧品の研究開発といえば、ビーカーやホモミキサーを使って様々な試作を行うイメージですが、もう一つ忘れてはいけないのが「安定性試験」です。
これも化粧品の研究開発者にとっては非常に重要なお仕事になります。
なぜそこまで安定性試験が重要なのでしょうか?
一番は、時間が経ってもその状態を維持し、ユーザーさんに安心してお使いいただける高品質な化粧品を提供する為ではないかと私は思います。
もちろん化粧品の安定性は法律に則って管理されておりますので、
それはまた後程お話いたします。
例えば、とっても使用感の良いクリームを試作することができた!
じゃあこれをお客様に試してもらって、高評価だったら早速商品化しよう!
…これではダメなのですね。
「クリーム」って聞こえは簡単だけれど、よくよく考えると中身は水と油、
それぞれ相反するもの同士を界面活性剤の力を使って混ぜ合わせていますよね。
ですので最初は綺麗に作ることができたとしても、時間が経つとそれらが分離してしまう可能性も大いにあるわけです。
だからこそ定期的に試作品の安定性を確認する必要がありますし、
法律によって定められた条件をクリアしたもののみ、商品化することができるのです。
化粧品は混ぜ物ですので、原料同士の相性が悪かったり、
配合比率が釣り合っていなかったり…
他にも様々な要因が重なると、継時で品質の劣化が起きてしまいます。
今までたくさんそういった検体を見てきましたので、
化粧品って結構繊細なものだなと私は思っています。
それではここで、安定性試験の基本的な知識を簡単におさらいしていきましょう。
過去にも詳しくまとめた記事がありますので、ぜひこちらもご覧ください。↓
〇安定性試験〇
基本的に化粧品の安定性は、3年以上の品質維持をすることが薬機法において定められています。
しかし、3年以上も試験を行い続けるのは時間やコストもかかります。。。
その為、あえて検体を様々な悪環境に投じ、その品質状態を加速させ、
3年以上の品質維持が可能かどうか、通常よりも早く結果が出るように試験を行っています。
これを一般的に「加速試験」と呼んでいます。
<加速試験>
代表的な加速試験は、40℃の環境下に検体を保管し品質状態を加速させる試験。
これであれば試験期間6ヵ月で3年間の品質維持を担保したことになり、
3年以上試験する必要がありません。
これでだいぶ試験期間は短縮できますが、企業によっては45℃で4か月、
50℃で3か月などさらに過酷な条件で試験を行うところもあるようです。
簡単に安定性試験について書かせていただきましたが、
私達が実際に行っているのは、室温(25℃)で3年間と40℃で6ヵ月、
この2つの手法で今まで安定性試験を行ってきました。
試験内容は、pHや比重・粘度測定、色やにおいの確認などが主です。
それぞれ作成日、翌日、一週間後、1か月後、2か月後…という風に定期的に検体の安定性を確認しています。
検体が多い日は下の写真のようにカゴいっぱいに詰めて一気に試験を行っています。
これが正直結構時間がかかる作業でして、半日時間を費やす日もあります。
計測している時はただひたすら集中!ですね。
試作品も、改良を重ねていくにつれてどんどん増えていきます。
それらを全てチェックするため、このようにかなりの量になるのですね。
安定性試験は先程も述べたように、期間が決められているため、その通りに試験を行う必要があります。
私は忘れっぽいので、PCのカレンダーには検体の名前がびっしり…!
中々リアルなお話になってきておりますね(笑)
最近嬉しいことに、新しい機械を導入していただき、安定性試験の幅が広がりました。
先程お話したように、今までは室温(25℃)&40℃の2つの環境下で検体を保管し、
安定性試験を行ってきていましたが、新たに45℃保管、5℃~40℃を行き来するサイクル試験も可能になりました。
45℃保管は4ヵ月、サイクル試験は10日間で結果を出すことができます。
また、最近流行りのバームなど、温度依存性の高い検体も安定性を見ることが可能になった為、安定性試験の幅が広がったことで、試作の幅も広がりました。
これからも高品質な化粧品開発を目指し、日々安定性試験も頑張っていきたいと思ったいろはね研究員なのでした。
最後までお読みいただきありがとうございます!
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください。↓
化粧品のOEM依頼等はぜひこちらへ!