新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

炭酸ガスパックとは?②

皆さんこんにちは!いろはねです!

最近だいぶ過ごしやすい気候になってきましたね。

ついこの間まで夏だったのに…時が経つのは本当に早いです。

そしてちょうど、隣のお家の金木犀が満開です!

窓を開けるとふわっとお花の香りが漂ってきて、

毎年この時期はとても心地よい気持ちになっています。

秋は短いですが、密かに楽しみたいと思います。

 

さて、前回は炭酸ガスパックについてまとめました。

今回はその続きとして、

炭酸ガスパックの開発における重要なポイントについてまとめていきたいと思います。

まずは、前回の復習をしながら本題に入っていきたいと思います。

炭酸ガスは、皮膚へ吸収されることにより、

①血行促進

②新陳代謝UP

アミノ酸セラミドヒアルロン酸の産生促進

④バリア機能UP

⑤コラーゲン合成活性化による、毛穴やシワ改善

などの効果が期待でき、そのメカニズムについてお話をしたかと思います。

sawayaka0302.hatenablog.com

発生する炭酸ガスは、

重炭酸イオン、炭酸イオン、分子状二酸化炭素に分けられるのですが、

重炭酸イオンや炭酸イオンは、すぐに空気中へ放出されていってしまうため、

上記のような肌効果は期待できません。

対して分子状二酸化炭素は、水に溶けた二酸化炭素のことを指します。

水に溶けた状態の分子状二酸化炭素は、空気中に放出されることなく、

浸透圧の影響で皮膚に吸収され、血管へ送り届けられます。

以上のことから、基本的に炭酸ガスには空気中に放出されやすいという特徴があるため、

炭酸ガスを肌の上になるべく長時間とどめておくこと

炭酸ガスをいかに効率よく肌に浸透させるか

特にこの2つが炭酸ガスパックの開発において重要なポイントとなります。

これらをクリアするには一体どのような設計をする必要があるのでしょうか?

それは、剤型をジェルにすることです。

ジェルの良いところは、

・粘度がある為、泡が割れにくくそのまま残ってくれる

・水ベースで分子状二酸化炭素が存在しやすい

・垂れることなく肌の上に長時間乗せておける

ジェルタイプにすることで、これらの好条件が揃う為、

炭酸ガスパックの剤型は基本的にジェルタイプが多いのではないかと思います。

さらに、このジェルタイプにする技術がまた重要となります。

<ジェルタイプにおける重要な技術①>

持続的に炭酸ガスを発生させること

一般的に、

重曹クエン酸が組み合わされば化学反応によって炭酸ガスは簡単に発生します。

しかし、それではブクブクと泡ができては壊れ…

どんどん空気中に炭酸ガスが放出されていってしまいます。

そして反応が終われば炭酸ガスの発生は止まる。

炭酸ガスパックで、その反応がすぐに終わってしまうようでは、

パックの意味がなくなってしまいますね。

そこで特別な徐放性顆粒を使用することで、

塗布中に高濃度かつ持続的に炭酸ガスを発生させることができるのです。

この顆粒については企業秘密になりますが、

弊社はこの開発にとても苦労をしたと聞いております。

この顆粒の違いによって、

炭酸ガスパックの効果に大きな差が出てくるのではないでしょうか。

<ジェルタイプにおける重要な技術②>

炭酸ガスが発生しやすい最適なpH領域に調整する

炭酸ガスパックの効果を得るためには、

分子状二酸化炭素が効率よく発生することが必要不可欠です。

この分子状二酸化炭素、実はpH4~5の弱酸性領域で最も発生しやすいと言われています。

その為ジェルのpH領域を、

分子状二酸化炭素が発生しやすい最適な状態に調整することで、

高濃度かつ持続的に発生させることが可能になります。

前回もお話しましたが、市場にある炭酸ガスパックは主に、

・泡で出てくるタイプ

・薬剤とジェルを混ぜて塗布し、洗い流すタイプ

・薬剤とジェルを混ぜて塗布し、それが固まってはがれるタイプ

大きく分けて3種類あります。

泡で出てくるタイプはすでに炭酸ガスが発生した後に塗布するため、

あまり炭酸ガスの効果は得られないと思います。

薬剤とジェルを混ぜるタイプは、

ジェルタイプなので炭酸ガスをお肌の上にとどめておくことはできるので、

泡で出てくるタイプよりは効果を得ることはできそうです。

しかし、その炭酸ガスが高濃度で持続的に発生するかどうかはわかりません。

やはり、そこが市場の炭酸ガスパックとの差別化につながってくるのだなと思います。

 

上記の技術を搭載した炭酸ガスパックは、さらにこんな効果をもたらしてくれます。

※化粧品で謳うことができないものもあります

①小顔効果

肌の細胞の数は決まっているのですが、

炭酸ガスパでックには脂肪細胞を小さくすることができるというデータがあります。

細胞レベルに働きかける為、根本からリフトアップや小顔効果を得ることができます。

②創傷治癒

元々傷痕(ケロイド)をどうにかできないかという医療の現場から生まれたのが、

炭酸ガスパックです。

炭酸ガスパックには細胞全体に豊富な酸素を送り込むことができる為、

細胞機能が向上し、切り傷など皮膚の再生が必要なところに塗布すると、

傷の治りが早くなり、痕が残りにくく比較的綺麗に治るのだそうです。

③筋肉疲労除去

炭酸ガスは細胞のさらに奥の血管に吸収され、さらには筋肉にまで働きかけます。

よく炭酸泉などが腰痛や筋肉痛などに効果があるように、

炭酸ガスはスポーツ等でダメージを受けた筋肉の疲労を取ることもできます。

 

医療の現場から生まれた化粧品技術は、細胞の根本にまで働きかけ、

高い効果を与えてくれるイメージが強いです。

残念ながら薬事の関係で謳うことができないものもありますが、

実は…と知った上で使用すれば、

化粧品一つでエステや医療レベルの効果を得ることができてしまうのですね。

炭酸ガスのメカニズムも知れたところで、改めて炭酸ガスパックを使って

美肌ケアをしたい欲が高まったいろはね研究員なのでした。

 

最後までお読みいただきありがとうございます! 

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