カルボマーの基礎実験
皆さんこんにちは!いろはねです!
以前増粘剤について記事にしたと思いますが、カルボマーについては少ししか触れてませんでした!
最近私は、そのカルボマーを用いて基礎実験を行ったので、今回はそれについてまとめていきます!
カルボマーは正式名称「カルボキシビニルポリマー」で「水溶性高分子」です。
カルボマーは、アルカリ剤との中和反応によって粘度が高くなり、ジェル状に変化します。
このメカニズムを化学的に説明しますと…
①カルボマーは高分子なので、とっても大きい分子です。
②中和される前はそれがぐちゃぐちゃの塊になって存在しています。
③カルボマーにはカルボキシ基(-COOH)と呼ばれる官能基がついています。
④カルボキシ基とアルカリ剤である水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などが反応すると、H2O(水)が取れます。
⑤H2Oがぐちゃぐちゃの塊になったカルボマーの中へ入ります。
⑥ぐちゃぐちゃの構造が少し緩まることで、ジェル状に変化します。
という流れでカルボマーはぷるっとしたジェルを作ってくれるのです!
では、このカルボマーを使って実際にどのような実験をしたのでしょうか?
〇実験内容〇
・カルボマーを2%水溶液に調整
・カルボマー2%水溶液を0.5%配合
・pH調整は6.5を基準とする
この3つの条件は固定しました。
そして、ここからが本題です!
・アルギニン
・水酸化Na(以下NaOH)
・水酸化K(以下KOH)
これら3種類の中和剤を用いて、それぞれ①見た目(目視)、②感触、③粘度にどのような違いが現れるのかを検証してみました!
〇pH調整方法〇
カルボマーを撹拌機にかけながら、ビーカーの中にpHメーターを入れ、そこへ少しずつ中和剤を添加してメーターの数値を見ながら調整を行いました。
〇結果〇
①見た目(目視)
・透明度の高さ
KOH>NaOH>アルギニン
の順番で透明度が高かったです!
アルギニンは写真でもわかるように、少し濁っていますよね!
NaOHとKOHは写真だとわかりにくいのですが、目視ですとほんの少しNaOHの方が濁っていました!
・ジェルの様子
NaOHとKOHはどちらもツヤ感のあるジェルになりました!
しかし、アルギニンだけツヤはあまり無く、マット感の強いジェルになりました!
②感触
・アルギニン
肌へ伸ばした時の厚みとなめらかさ、なじませている時のヌルつきが一番強く感じました!しばらくヌルヌルした感触が続きました。
また、最も粘っこい印象で、みずみずしさはあまり感じられませんでした。
・NaOH
肌へ伸ばした時の軽さとみずみずしさが一番強いと感じました!
ヌルつきもありますが、アルギニン程長くは続かず、サラッとした感触でした。
・KOH
NaOHとそこまで違いはなかったのですが、みずみずしさはNaOHより少し劣っているように感じました。
なめらかさやヌルつきなどはNaOHよりほんの少し強いと感じました。
→アルギニンに関しては、しばらくヌルヌル感が残るので、しっとり感が欲しい時や、マッサージジェルなど滑りを必要とする化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
逆にNaOHとKOHはアルギニンに比べ、肌へ伸ばした瞬間のみずみずしさが特徴だったので、うるおい感重視の化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
③粘度
それぞれ温度を25℃に統一し、粘度計で粘度測定を行いました!
条件は、L4/12rpm/1分間としました。
・アルギニン→51925mPa
・NaOH→51874mPa
・KOH→51850mPa
という結果が出ました!
粘度の高い順に、アルギニン>NaOH>KOHですね!
アルギニンは感触の時点で最も粘っこさを感じた為、粘度計のでの数値にも影響がでたのではないかと考えられました!
NaOHとKOHの粘度はほぼ変わらない結果となったのですが、若干KOHの方が粘度が低いということが分かりました!
NaOHが最もみずみずしい感触であった為、粘度に関しても一番低い数値を出すかなと思っていたのですが、実際そうではなかったので、機械と人の感度の違いを改めて目の当たりにすることが出来ました。
全体を通して、今回の基礎実験で難しいなと感じたのは、pH調整でした…!
ジェルなので粘度が高く、それに影響されて、pHの数値が徐々に上がったり、中々変わらなかったり、急に上がったりするため、中和剤を入れるタイミングや量など、とても慎重に取り掛かりました…!
それでも失敗は何回かあり…
アルギニンは特にpHがなかなか上がらず、まだ入れても大丈夫かな…と油断して3滴くらい加えたところで急に数値が上がり、失敗してしまってやり直し!という場面もありました(笑)
ドタバタな基礎実験となりましたが…(笑)
興味深い結果を見ることができ、とても面白かったです!特に、感触の方ではそれぞれの違いを感じたのに対し、粘度計ではあまり数値に差がなかったことです!
どちらかのみのデータだけでは、意外と正確さが下がってしまうのでは?と思いました。
機械と人の力が合わさることでより幅広い評価ができるのだなということに気がつきました。
これからも色んな基礎実験がしたいいろはね研究員でした。
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エビデンスを取りに行きました!
皆さんこんにちは!いろはねです!
私はこの間、お客様の商品(クレンジングバーム)のエビデンスを取りに行ってきました!
今回はそれについて書かせていただきます!
(初めての体験でしたので、ドキドキしながら現場へ向かいました笑)
~今回のエビデンスの流れ~
①似た市販化粧品とエビデンスを取りたい化粧品を用意します。
②それらを被験者の肌に付けてもらいます。(私もやりました!)
→データを取りやすいように、それぞれ半顔ずつ使用法に沿って付けました。
③使用後の肌状態(スキンケアもしていないまっさらなお肌)を、特殊な機械で比較しました。
化粧品には必ず、お肌へどのような効果を与えてくれるのか、商品自体に記載されていますよね!
その効果の裏付けをするのが化粧品においてのエビデンスということになります!
これがあるだけで商品効果の信頼性も上がりますよね!
とここで、③で言っている特殊な機械ってどんなものだったのでしょうか?
今回機械は主に2つ使用しました!
1つ目はこちら!
いかにも高そうな機械ですよね…!
噂では3000万円くらいすると聞きました…
そ、そんなお高い機械に触れることが出来たなんて…!
この機械は「VISIA(ビシア)」と言います。
VISIAは3方向から顔の写真を撮ることができます。
顔の位置はそのままで、機械自体を動かして3方向から撮ります。
肌年齢、シミやシワの数、潜在シミ、毛穴の数や状態、10年後の肌などを解析し、写真としてデータを残すことができます。
今回は、特に毛穴の状態をズームし、しっかりとメイクが落ちているのか確認をしたりしました。
〇結果〇
市販コスメよりも、毛穴の中まで汚れがきれいに落ちていることを確認することができました!
これはクレンジングの最も重要なポイントですよね!
そして2つ目はこちら!
たくさんコードが付いていますね!
こちらは、4つの肌効果を数値化してデータに残すことができるとてもハイスペックな機械になります!
①赤色で囲まれているのは、「油分計」です!
先端に油取り紙のような特殊なフィルムがついており、それがお肌の油分量をキャッチする仕組みになっています!
計測する度にカシャッとフィルムを切り替えて使います!
被験者の中には、元々皮脂が出にくい肌質の方がいらっしゃって、油分を全く計測できないこともありました。そこで、本当に人の肌ってそれぞれ異なった性質を持つんだなということが知れて面白かったです!
〇結果〇
クレンジングは、メイクを落とすのと同時にお肌に必要な油分までも持っていってしまうリスクが考えられます。結果は、ある程度の油分が残っている状態。
つまり、しっかりうるおいも守ってくれているということが分かりました!
②黄色で囲まれているのは、「水分計」です!
こちらも先端にお肌の水分量を計測する特殊な媒体がついており、30~40回くらいお肌の色んな箇所にスタンプするような形で計測していきました!
〇結果〇
全体的に市販コスメよりも水分量が多いという結果が出ました!
メイクはしっかり落としてくれるのに、水分は逆に与えてくれるということと、無駄に洗い流していないということがわかりました!
③ピンク色で囲まれているのは、「弾性計」です!
これは測定時、吸盤のように肌を少し吸ってその抵抗力を弾力として数値化する計測機になります!
異なる箇所で7回計測しました。
〇結果〇
弾力も市販コスメより高い数値が出ました!
水分計において、お肌の水分量が高く出たことが弾力にもかなり影響したのではないかと考えられます!
④青色で囲まれているのは、「水分蒸散量を計測する機械」です!
被験者の方に寝てもらい、肌の上にこの機械の先端をピタッと乗せることで、自然と蒸発してくるお肌の水分の蒸散量を計測します。
実際には寝ることが出来なかったので、顔を傾けて計測しました(笑)
〇結果〇
蒸散量も市販コスメより少ない数値がでました!
お肌のバリア機能もしっかり残してくれているという確証を得ることができました!
ということで、今回計測したクレンジングバームの結果をまとめますと
クレンジング力は高く、油分水分は残しつつ、肌の弾力も上げ、乾燥しにくい
という素晴らしい結果が出ました!
化粧品のエビデンスについて実際に体験しながら学ぶことができ、非常に貴重な時間となりました。
ちなみにVISIAを使用した時、肌年齢も見ることができました…(笑)
一緒にいた皆さんは実年齢よりお若くてさすがだな…という傍ら
当の私はというと、実年齢より1歳上の肌年齢が出てしまいました…!
1歳だけなのでそこまで大差はないのですが(笑)
この結果を見て、自分磨きを頑張ろう!と思ったいろはね研究員なのでした。
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増粘剤比較してみた!~番外編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回は、増粘剤を2%水溶液にして比較実験を行った結果についてお話しました!
増粘剤には、調整方法によってさらに特異的な増粘を示すものもあります!
比較実験で使用した増粘剤の中に面白いものがいたので、その実験もやってみました!
今回はそれについてのお話をしていきます!
ということで、使用したのは「タマリンドガム」です!
タマリンドガムは、東南アジアに生息する巨大常緑樹であるタマリンドの種子を分離・精製した多糖類になります。
タマリンドの果実は古くからインドや東南アジアで家庭常備薬・調味料として利用されてきました。
果肉の甘酸っぱさを活かし、食品分野では清涼飲料水・ジャム・デザート・カレー・お菓子などに使用されています。
化粧品に使用しても安心安全な増粘剤です。
タマリンドガムの何が面白いのか!といいますと…
糖類やアルコール類と併用することで増粘・ゲル化するところです!
◎糖類・アルコール類の持つ脱水作用によってタマリンドガム分子が凝集する
◎水素結合によってネットワークを形成する
これら2つの化学反応によって、増粘とゲル化が起こるというメカニズムです。
今回は、化粧品によく用いられる、多価アルコールのグリセリンを用いてゲル化の様子を実際に見てみることにしました!
配合比率は、タマリンドガム1%、グリセリン30%、残りは精製水。
これを80℃くらいまで加熱し、室温まで冷却した状態を観察しました。
〇結果〇
前回、水溶液の時はとてもサラサラとしたトロミであったのに対し…
グリセリンと併用すると…
写真のように、手で持てるほどプルプルとした弾力のあるゲルに変化しました!
多価アルコールを加えるだけでこんなにも質感に変化が現れるのか!
化学反応のパワーってすごい!と改めて感動しました!
でも、こんなプルプルの質感って食品なら想像できるけど、化粧品の場合は…?
このプルプルな感触、どこかで触ったことがあるような…?
と思った時、以前美里先生とアシスタントのゆっきーさんと一緒に行った横浜中華街のとあるお土産屋さんで見た「こんにゃく石けん」を思い出しました!
そこで、実際にこんにゃく石けんの全成分を調べてみたところ、やはりタマリンドガムが配合されていました!
あの時はまだ、なぜこんなプルプルの質感が出せるのだろう?と謎に包まれたままだったので、それを実際に実験することができ、とてもスッキリしました!
増粘剤のお話はここでいったん終わりになりますが、
今や化粧品のニーズとしてテクスチャーは非常に重要です。
増粘剤もその調節に必要不可欠な存在となっています。
また、最近は保湿クリームなどの粘度調節にカルボマー(合成ポリマー)が配合された商品がたくさん市場に出ています。
化粧品原料の開発技術も発展し、ポリマー系の界面活性剤が流通し、乳化技術のノウハウがなくても、とても簡単に保湿クリームが作れる世の中になりました。
またそれが本当に簡単にクリームが作れてしまうのです!
しかもテクスチャーが良い!とても便利ですよね!
しかし!
もちろんカルボマーを使用しなくても保湿クリームはきちんと作ることができます!
その技術を習得してこそ化粧品技術者です!
そのお話についてはまたの機会にしたいと思います(^^)/
タマリンドガムのプルプルな質感が病みつきになりかけた、いろはね研究員でした。
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増粘剤比較してみた!~実験編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回は化粧品に用いられる増粘剤の知識編でした!
今回は、実験編になります!
ということで、早速本題に入りましょう!
実験には、以下7種類の増粘剤を使用しました!
①セロゲン(セルロースガム)
②アルギン酸ナトリウム
③エコーガムT(キサンタンガム)
④ケルデント(キサンタンガム)
⑤カラギーナン
⑥タマリンドガム
⑦グアーガム
これらをそれぞれ2%の水溶液に調整し、
1.色(見た目)2.粘度 3.肌に付けたときの感触 を比較しました!
〇結果〇
①セロゲン(セルロースガム)
1.淡黄色。
2.強め。ボテッとしていてゲルっぽい印象。形もはっきりめ。
3.厚みのある伸び広がり。後肌のべたつきはあまりなく、なじむと完全にサラサラ。
②アルギン酸ナトリウム
1.無色透明。非常に細かい繊維のようなものを確認。
2.ビーカーを傾けると垂れるくらいのトロミ。
撹拌してみるとネチャッとしており、割と重ため。
3.力を入れずに軽くスッと伸びる。後肌のペタペタ感が結構続く。
セロゲンよりはべたつきを感じた。
③エコーガムT(キサンタンガム)
1.半透明
2.静置時はビーカーを傾けても垂れないくらい硬さがあった。
撹拌すると非常に軽くなり、サラッとしたトロミになる。
3.軽くスッと伸びた。後肌のべたつきがダントツで一番であった。
べたつきの強さからなのか、少し膜感も感じた。
なじむと完全にサラサラになる。
④ケルデント(キサンタンガム)
1.半透明
2.エコーガムTと同様。
3.エコーガムTよりべたつきがほんの少しだけマイルドで膜感は感じなかった。
それ以外は同様の感触。
⑤カラギーナン
1.淡黄色。
2.①セロゲンと同じようにボテッとしたゲルのような状態。
しかしカラギーナンの方がボソボソとした印象。
セロゲンのような粘着感はあまりない。
3.最初ポロポロとゲルが砕かれて中々肌に伸びていかなかった。
後肌のべたつきはあまりなかった。
⑥タマリンドガム
1.無色透明
2.弱め。サラサラとしたトロミ。
3.非常に軽くスッと伸びた。トロミの中に少しみずみずしさも感じた。
後肌のべたつきは少しあったが、すぐにサラサラに変化した。
⑦グアーガム
1.淡黄色。
2.強め。かなりネチャッとしていた。セロゲンのようなボテッとした印象もあった。
3.厚みのある伸び広がり。カラギーナンのようなボソボソにはならなかった。
逆に、ネチャッとした感触が肌に密着しているように感じた。
べたつきはあまりなかった。
以上が私の感じた比較実験の結果になります!
見づらい書き方になってしまったかもしれません!(汗
この実験をしてまず最初に思ったのは、同じ増粘剤でもこんなに特徴が違うのか!ということです。
まだまだ比較実験の経験も少なく、見逃してしまっている特徴もあるかもしれません…
それは経験値を上げていくのみですね!
しかし、新米のいろはねでも、このように大きな違いを見ることが出来ました!
中でも特に面白かったのが、増粘剤の特性です!
今回はキサンタンガムで顕著に見られたのですが…
静置時は硬めの状態であったのに、撹拌するととてもサラサラなトロミに変化するのです!
これはなぜなのだろう?と調べると、増粘剤の特性に答えが隠されていました!
それは、「チキソトロピー性」という特性を持っているから。です!
チキソトロピー性とは、混ぜたり降ったり、力を加えることで粘度が下がり、
また時間の経過と共に元の粘度に戻るという現象のことです。
分かりやすい例は、ペンキですね!
ペンキは、塗る前によくかき混ぜることによって粘度を下げ、はけなどで塗りやすくしています。そして、塗った後に粘度が元に戻り、垂れずに乾燥するのです!
日常生活にもこうして化粧品につながる場面があるのですね!
今回の実験は2%水溶液、と濃いめの濃度で調整したため、ゲルっぽい状態のものが多い傾向にありました。
1%や0.5%など配合濃度を低くして比較してみたらまた違う結果が見れると思います!
増粘剤について大きな違いを見ることができたので、その特徴を活かすことと、化粧品の目指すテクスチャーに合わせて、その選択と配合量の選定をする技術が大切だなと思ったいろはね研究員なのでした。
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増粘剤比較してみた!~知識編~
皆さんこんにちは!いろはねです!
この度新しく私のキャラクターをデザインしていただきました!
お忙しい中デザインしてくださった方々にお礼を申し上げます!
ありがとうございました!
じゃじゃん!とても私に似てまして…
こんな素敵なデザインをしてくださってとても嬉しいです!
これからはこの新しいいろはね研究員が日々のドタバタ奮闘記を引き続き載せていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!
さて、本題に入りましょう!
今回は「増粘剤」について色々と実験をしたので、それについて書かせていただきます!
種類もたくさんあるので、それらの特徴を知り、使いこなせるようになるべく、
使用感の比較実験を行いました!
…とその前に、
増粘剤とは何ぞや!というところをまずはまとめていきたいと思います!
しばし、お付き合いください…(笑)
増粘剤は主に、食品や化粧品、医薬品、工業製品などなど…
あらゆる分野に用いられています。
化粧品には「水系増粘剤」がよく用いられます。
これをさらに化学的に言うと「水溶性高分子」となります!
この水溶性高分子は、水に溶解することによって、液体の粘性を高める機能を持っています。
その中でも有名なのが…
カルボキシビニルポリマー、略して「カルボマー」です!
ほとんどの方がご存じだと思います。
このように水系増粘剤には、カルボマーのような化学合成のものから、
海藻や植物、微生物の発酵により生成された増粘剤などもあります!
また、増粘剤によってはトロミのある粘性を出すものから、プルッとしたゲル状の粘性を出すものもあり、それぞれの特徴が活かされる化粧品へと用いられています。
化粧品への主な使用目的として…
①使いやすさの向上
例えば、シャバシャバな化粧水よりも少しトロミがあった方が手からこぼれ落ちにくく、顔にもつけやすくなりますよね!
他には、高級感の演出として化粧水や美容液のトロミを出したり、シャンプーやボディーソープなどの泡持ちを維持する目的で使用されることもあります。
②保湿効果の向上
水系増粘剤(水溶性高分子)は、「高分子」と言うくらいなので、分子量がとても大きいです。非常に大きい分子の構造中にOH基(ヒドロキシ基)を多く持つことで、水に溶けやすい構造になっています。
そして、このOH基があればあるほど、水を多く保持することができるのです!
その為、一つの保湿素材として用いられます。
③製品の安定性向上
例えば、水に溶解しない成分として、油性成分や乳化剤、感触改良パウダー、顔料などがあります。安定性が悪い場合は、これらが凝集したりすることで分離が生じます。
そこで、増粘剤の粘性を利用し、これらが凝集しないよう、分散状態を固定することで製品の安定性を維持してくれるのです!
ということで、以上の三つが基本的に挙げられます。
ちなみに最近は、オールインワンジェルやクレンジングジェルなど、プルッとした感触の化粧品もたくさん出ていますよね!
そこにも!増粘剤が必要不可欠になるというわけです。
そんな増粘剤(水溶性高分子)ですが、かつてはカルボマーの登場により、一気に化粧品業界の処方設計が変わったそうです!
今やカルボマーは本当に様々な化粧品に用いられていますよね!
ここで他メーカーさんとの差別化をする為には、いかにカルボマーを使用せず処方を組めるかが腕の見せ所!というわけです。
弊社は食品にも使用されるような、肌にも比較的安全な増粘剤を用いることがほとんどである為、以下7種類の増粘剤で比較をすることにしました!
①セロゲン(セルロースガム)
②アルギン酸ナトリウム
③エコーガムT(キサンタンガム)
④ケルデント(キサンタンガム)
⑤カラギーナン
⑥タマリンドガム
⑦グアーガム
これらをそれぞれ2%の水溶液に調整し、
1.色(見た目) 2.粘度 3.肌に付けたときの感触を比較しました!
…とここでその結果を続けて書いていきたいところなのですが…
長くなってしまったので、次回に持ち越します!
参考HP
【水系増粘剤】化粧品に使われる水系増粘剤の目的と機能|水系増粘剤(水溶性高分子)|住友精化株式会社
【水系増粘剤】ゾルの配合理由、ゲルの配合理由|化粧品に水系増粘剤|住友精化株式会社
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リポソームって何?
皆さんこんにちは!いろはねです!
この間私は「リポソーム」について学んだのですが…
その技術のすごさに感動したので、何がすごいのか!
今回はそれについてお話していきたいと思います!
リポソームを知るには、まずお肌の構造をおさらいする必要があります!
それでは…行きましょう!
私たちのお肌のうるおいを保つ層として、角質層があります。
そしてそのうるおい保持の鍵となるのが、細胞間脂質です。
細胞間脂質をさらに細かく見ると、脂質二重膜という構造をとっています。
この脂質二重膜は、リン脂質をメインに、水分と脂質(セラミドなど)がミルフィーユ状に重なった状態になっています。
この構造をとることができるのは、リン脂質のおかげなのです!
なぜかというと、リン脂質は界面活性剤のように親水基と疎水基を併せ持つ、両親媒性物質になります。
なのでお肌の中で水分と脂質を同じ空間にとどめておくことができるのです。
ここで、この脂質二重膜とリポソームが関わってくることになります!
<リポソームとは>
角質層の脂質二重膜と同様の構造を持つ、カプセル状のナノ粒子です。
お肌の話と繋がりましたね~!
ナノ粒子と言われるくらいなので、大きさは100nm~200nmと言われています。
では…
なぜリポソームは脂質二重膜と同じ構造を持ち、カプセル型になるのでしょうか?
それは、リン脂質に秘密があります!
ちなみにリン脂質とは、大豆や卵黄由来の「レシチン」の代表的な成分になります。
リン脂質は親水基と疎水基の両方を持つ為、その特殊な構造から、水中に入ると自然に並び、それが幾重にも重なって球体になる性質を持つのです!
その性質を利用したのがリポソームになります!
そして、ここからがリポソームの腕の見せ所…
①リポソームは非常に浸透力が高い
②美容成分を効率良く肌内部に届けることができる
これらのメリットがあります!
①リポソームは非常に浸透力が高い
あ!ナノサイズの粒子だから、お肌に浸透しやすいのか!
と思った方もいらっしゃるかもしれません…
これも一理あるのですが…
一番の理由は、「脂質二重膜と同じ構造を持つから」です!
先ほどお話した角質層と同じ構造を持つため、
お肌はリポソームをはじくことなく簡単に受け入れてくれるのです!
②美容成分を効率良く肌内部に届けることができる
リポソームが水中でカプセル型になることと、①の浸透性の高さから、
肌のバリア機能によって浸透しにくい水性成分などをリポソームに内包することで、
容易に肌内部に届けることができるのです!
また、リン脂質が幾重にも重なったカプセルがリポソームになるので、
その膜と膜の間にも美容成分を内包することも可能です!
さらに、持続的に美容成分を肌内部に放出し続けることが可能になります。
元々リポソームは、医療の現場で使われている技術になります。
それが「DDS=ドラックデリバリーシステム」
病気の原因が潜む臓器に向かって外部から薬剤を届けられるシステムです。
カプセル内に入っている薬剤を肌に塗布すると、それが肌内部に浸透していき、血中へと入り、目的の臓器に到達し治療ができます。
もちろん医療の分野になりますので、確実にその目的地に向かって薬剤が届けられるという保証がなければいけません。
その為、カプセルが血管にまで浸透し、それが壊れる時間や薬剤が届けられるタイミングなど全て緻密に計算されています。
な、なんて高度な技術なのでしょう…!!
それが化粧品技術にも応用されているということなのですね!
さらに感動したのは、実際にリポソーム技術が搭載された美容液を触ったときです。
浸透性がとても高いとは聞いていましたが、本当にあっという間にお肌に入るんです。
そして、時間が経ってもお肌が乾きません。
うるおいが長時間持続され、しかも表面ではなく、
肌の内側から潤っているような安心感があります。
これはもうやみつきです!!
リポソームのお勉強がとても面白かったので、
もっと詳しく勉強して、リポソームに詳しくなろう!
と思ったいろはね研究員なのでした。
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化粧品開発展2020!-in 東京-
皆さんこんにちは!いろはねです!
今回初めて、幕張メッセにおいて開催された「化粧品開発展」に美里先生と、先輩研究員と一緒に行ってきました!
それについて書いていきたいと思います!
1月20日~22日の3日間開催されていたのですが、私は21日に参戦しました!
「化粧品開発展-COSME Tech-」とは、化粧品の原料、OEM、容器、パッケージ、研究機器などなど…化粧品の研究や企画開発に必要不可欠な、ありとあらゆる製品が集まる非常に大きな展示会です!
新米技術者のいろはねに、もってこいのイベントです!
ブログ用に会場の様子を1,2枚写真に収めようと思っていたのに…
たくさんのキラキラとしたブースに目はキョロキョロ…(笑)
すっかり忘れてしまいました(笑)すみません、言い訳です…
ということで、公式サイトの画像をお借りします…!
とても一日では回り切れないほど、本当に多くのメーカーさんがブースを展開していらっしゃいました!
新しい技術や新しい原料…メーカーさんそれぞれの化粧品に対する熱意が伝わる現場で、非常に良い刺激になりました!
限られた時間ではありましたが、その中で美里先生・先輩研究員と共にお世話になっているお客様のブースへご挨拶に行き、少しお話ができたのも嬉しかったです!
お忙しい中ありがとうございました…!
上記の画像を見ると化粧品開発展は今年で10回目、国際は8回目、美容・健康食品に至っては3回目、とそれぞれ開催回数が違うことが分かります。
つまり、年々美容や化粧品業界の注目度や規模が大きくなってきたということですね!
美里先生のブログにも書いてあった通り、2020年は東京オリンピックも開催されるということで、色んな所に海外の方々がいらっしゃり、とても賑わっていました!
日本の化粧品技術が海外の方々に注目されているということも実際に見ることができました。
化粧品開発展を回って私は、質の高い化粧品、中身で勝負できる化粧品を将来作りたいと思いました。
美容・化粧品業界の規模の大きさを目の当たりにし、この中で差別化を図るにはどうしたら良いのか?そんなことも少し考えました。
これだけ技術が進歩している中で、あれもこれもすごい!良い!と吸収することも大切ですが、一番はその中で自分の目指すものに合う技術を見極められる技術者になりたいと思いました。
それにしても…本当に様々な化粧品が展示されていて、特殊なテイストの目を引くブースがあったりと、化粧品メーカーさんの努力とユーモアを感じるとても楽しい展示会でした!
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