カルボマーの基礎実験
皆さんこんにちは!いろはねです!
以前増粘剤について記事にしたと思いますが、カルボマーについては少ししか触れてませんでした!
最近私は、そのカルボマーを用いて基礎実験を行ったので、今回はそれについてまとめていきます!
カルボマーは正式名称「カルボキシビニルポリマー」で「水溶性高分子」です。
カルボマーは、アルカリ剤との中和反応によって粘度が高くなり、ジェル状に変化します。
このメカニズムを化学的に説明しますと…
①カルボマーは高分子なので、とっても大きい分子です。
②中和される前はそれがぐちゃぐちゃの塊になって存在しています。
③カルボマーにはカルボキシ基(-COOH)と呼ばれる官能基がついています。
④カルボキシ基とアルカリ剤である水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などが反応すると、H2O(水)が取れます。
⑤H2Oがぐちゃぐちゃの塊になったカルボマーの中へ入ります。
⑥ぐちゃぐちゃの構造が少し緩まることで、ジェル状に変化します。
という流れでカルボマーはぷるっとしたジェルを作ってくれるのです!
では、このカルボマーを使って実際にどのような実験をしたのでしょうか?
〇実験内容〇
・カルボマーを2%水溶液に調整
・カルボマー2%水溶液を0.5%配合
・pH調整は6.5を基準とする
この3つの条件は固定しました。
そして、ここからが本題です!
・アルギニン
・水酸化Na(以下NaOH)
・水酸化K(以下KOH)
これら3種類の中和剤を用いて、それぞれ①見た目(目視)、②感触、③粘度にどのような違いが現れるのかを検証してみました!
〇pH調整方法〇
カルボマーを撹拌機にかけながら、ビーカーの中にpHメーターを入れ、そこへ少しずつ中和剤を添加してメーターの数値を見ながら調整を行いました。
〇結果〇
①見た目(目視)
・透明度の高さ
KOH>NaOH>アルギニン
の順番で透明度が高かったです!
アルギニンは写真でもわかるように、少し濁っていますよね!
NaOHとKOHは写真だとわかりにくいのですが、目視ですとほんの少しNaOHの方が濁っていました!
・ジェルの様子
NaOHとKOHはどちらもツヤ感のあるジェルになりました!
しかし、アルギニンだけツヤはあまり無く、マット感の強いジェルになりました!
②感触
・アルギニン
肌へ伸ばした時の厚みとなめらかさ、なじませている時のヌルつきが一番強く感じました!しばらくヌルヌルした感触が続きました。
また、最も粘っこい印象で、みずみずしさはあまり感じられませんでした。
・NaOH
肌へ伸ばした時の軽さとみずみずしさが一番強いと感じました!
ヌルつきもありますが、アルギニン程長くは続かず、サラッとした感触でした。
・KOH
NaOHとそこまで違いはなかったのですが、みずみずしさはNaOHより少し劣っているように感じました。
なめらかさやヌルつきなどはNaOHよりほんの少し強いと感じました。
→アルギニンに関しては、しばらくヌルヌル感が残るので、しっとり感が欲しい時や、マッサージジェルなど滑りを必要とする化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
逆にNaOHとKOHはアルギニンに比べ、肌へ伸ばした瞬間のみずみずしさが特徴だったので、うるおい感重視の化粧品に適しているのではないかな?と思いました!
③粘度
それぞれ温度を25℃に統一し、粘度計で粘度測定を行いました!
条件は、L4/12rpm/1分間としました。
・アルギニン→51925mPa
・NaOH→51874mPa
・KOH→51850mPa
という結果が出ました!
粘度の高い順に、アルギニン>NaOH>KOHですね!
アルギニンは感触の時点で最も粘っこさを感じた為、粘度計のでの数値にも影響がでたのではないかと考えられました!
NaOHとKOHの粘度はほぼ変わらない結果となったのですが、若干KOHの方が粘度が低いということが分かりました!
NaOHが最もみずみずしい感触であった為、粘度に関しても一番低い数値を出すかなと思っていたのですが、実際そうではなかったので、機械と人の感度の違いを改めて目の当たりにすることが出来ました。
全体を通して、今回の基礎実験で難しいなと感じたのは、pH調整でした…!
ジェルなので粘度が高く、それに影響されて、pHの数値が徐々に上がったり、中々変わらなかったり、急に上がったりするため、中和剤を入れるタイミングや量など、とても慎重に取り掛かりました…!
それでも失敗は何回かあり…
アルギニンは特にpHがなかなか上がらず、まだ入れても大丈夫かな…と油断して3滴くらい加えたところで急に数値が上がり、失敗してしまってやり直し!という場面もありました(笑)
ドタバタな基礎実験となりましたが…(笑)
興味深い結果を見ることができ、とても面白かったです!特に、感触の方ではそれぞれの違いを感じたのに対し、粘度計ではあまり数値に差がなかったことです!
どちらかのみのデータだけでは、意外と正確さが下がってしまうのでは?と思いました。
機械と人の力が合わさることでより幅広い評価ができるのだなということに気がつきました。
これからも色んな基礎実験がしたいいろはね研究員でした。
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください!↓
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