pHの謎②
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回はpHの謎と題しまして、温泉水には酸性やアルカリ性があるけれど、触れても肌が火傷してしまったりしないよね?これはなぜなのだろう?
という話題から、まずはpHについて復習をするため、基本的なことについてまとめさせていただきました。
詳細はこちらをぜひご覧になってください。↓
そしてついに今回は、本題であるpHの謎に迫ります。
前回も最後の方に書かせていただきましたが、温泉水以外にも日常生活でお世話になっている酸性やアルカリ性のアイテムがありましたね。
酸性・・・レモン、お酢など
アルカリ性・・・石けん水、洗剤など
これらのpHも、
レモンは約2.0、お酢は約2.7
石けん水は約9~11、台所用洗剤は約6.0~8.0、衣類用洗剤は約8.0~11.0
というように、数値的に見ればけっこう酸性、アルカリ性ですよね。
普段口にしたり、肌に触れたりしますが、特に影響はありませんよね。
では逆に、肌に触れてしまっては危険だと言われているのは、
酸性・・・塩酸、硫酸など
これらは濃い溶液であれば、
極端に酸性はpH1、アルカリ性はpH12くらいになります。
おや…?
これ、pH1.2の酸性温泉やpH11以上のアルカリ性温泉とそんなに差がないような…
ということはつまり、pHの数値が高い低いだけで肌に影響が出るわけではないということなのでしょうか?
そうなんです!
皆さんは、「強酸」「弱酸」「強アルカリ」「弱アルカリ」という言葉をどこかで耳にされたことはありませんか?
これらが実は、pHの謎を解く大きなキーワードとなっているのです。
一体どういう意味なのでしょうか?
それではここからまた、化学的なお話に入っていきます。
(恥ずかしながら、私はこの辺りもよく混乱してしまうので、この場をお借りして、改めてお勉強です)
〇強酸・弱酸&強アルカリ・弱アルカリの違いとは?〇
これには「電離度」というものが大きく関わっています。
まず、水に溶けるとプラスのイオン(陽イオン)、マイナスのイオン(陰イオン)に分かれ、電気を流す物質のことを「電解質」と呼びます。
そしてこの電解質が、水溶液中で電離する割合のことを「電離度」としています。
※電離・・・電解質がプラスのイオン(陽イオン)とマイナスのイオン(陰イオン)に分かれること
※電離度は、水溶液の濃度や温度によって変わります。
そして、この電離度が濃度によらずほぼ1に近い値になる酸のことを強酸と言います。
例として塩酸(HCL)を挙げましょう。
塩酸の化学反応式は下記のようになります。
塩酸のような強酸は、ほぼ完全に電離しイオンに変化します。
そのため、反応式は→の表記になります。
逆に、水溶液中でごく一部しか電離せず、電離度が1より極めて小さい酸のことを弱酸と言います。
例としてお酢の主成分である酢酸(CH3COOH)を挙げましょう。
酢酸の化学反応式は下記のようになります。
弱酸は、電離度がかなり小さいので、イオンになりにくく、別れたイオンが再びくっつくことがあります。
そのため弱酸の反応式は⇄の表記になります。
ということで、電離度の大きさによって強酸と弱酸に分けられるということだったのですね。
これは強アルカリ・弱アルカリも同様です。
ちなみに、pHは溶液中の水素イオン濃度のことでしたよね。
つまり、上記で示した化学反応が実際に水溶液中で起こり、水素イオン(H⁺)が発生し、その濃度がpH値として出ているということだったのですね。
さらに理解が深まりました!
そして、電離度についてはこんな一覧表を見つけました。
この表を見ますと、上記で説明した電離度の違いが一目でわかります。
やはり、強酸と強アルカリは電離度が1に近く、
弱酸と弱アルカリは電離度がかなり小さい数値となっています。
こうして比較すると、強と弱で10倍、100倍も電離度に差がありますよね。
たとえpH(水素イオン濃度)が同じだったとしても、この電離度が10倍、100倍も異なることで、刺激が出るor出ないが決まってくるということなのですね。
さらに強酸・強アルカリは、水溶液中で完全にイオン化するわけですから、反応性が高いということが言えます。
この反応性の高さが、肌へ影響を与える要因なのではないかと考えられます。
つまり、肌に害のない酸性やアルカリ性のものは、すべて弱酸や弱アルカリの部類に入るということですね!
あれ…?温泉水は?
と思った方!温泉水は少し見方が違います。
温泉水は長い時間をかけて鉱石から溶け出したマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分を豊富に含んでいます。
これらに反応して、pHが極端な数値となるのです。
なので、温泉水もpHがどんなに高くても低くても、肌への刺激は少ないということになりますよね。
〇pHの謎…その答えとは?〇
化学的で難しいことばかりでしたので、最後に結論をまとめたいと思います。
①pHの高い・低いが肌へ刺激を与えるわけではない。
③電離度の違いが、強酸・弱酸、強アルカリ・弱アルカリを分ける。
④強酸・強アルカリは水溶液中で完全にイオン化し、電離度はだいたい1。
⑤弱酸・弱アルカリは水溶液中で完全にイオン化はせず、電離度は極めて低い。(強酸・強アルカリの約1/10~約1/100)
⑤電離度の高い強酸、強アルカリは水溶液中で完全にイオン化するため、反応性が高く、肌へ大きな刺激を与える。
⑥日常生活で害のない酸性やアルカリ性のアイテムは、弱酸や弱アルカリの部類であるため、肌への刺激は少ない。
⑦温泉水のpHは、豊富に含まれるミネラル物質に反応して出ていた為、肌への刺激は少ない。
よって、危険な酸性&アルカリ性物質は含まれているわけではない。
以上です!
pHは化粧品の品質を維持するためにも必要不可欠な項目です。
その根幹に触れ、謎も解決することができ、すっきりしたいろはね研究員なのでした。
参考HP:
強酸と弱酸まとめ・見分け方 | 理系ラボ (rikeilabo.com)
5分でわかる!「強酸」と「 弱酸」の違いを元家庭教師が解説 - Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン (study-z.net)
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください!↓
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