新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

バームの基礎実験

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

最近朝晩はまだ少し肌寒い時もありますが、昼間はぽかぽかとした春の陽気に包まれて、晴れている日は気持ちが良いですね。

春の風物詩の一つと言えば、桜!これから次々と咲き始めるでしょう。

もう咲いているところもあるのでしょうか?

とってもとっても待ち遠しいです。

 

さて、皆さんは「バーム」と聞くと何が思い浮かびますか?

最近であればもう、ほとんどの方がクレンジングバームを思い浮かべるかもしれません。

ちなみに、バーム系コスメは他にもありますよね。

唇の乾燥を防ぎ、うるおいから守ってくれるリップバーム

髪のパサつきなどを防ぎ、ツヤとまとまりのある髪へと導くヘアバーム

液体が漏れる心配もなく、柔らかな香り立ちを表現してくれる練り香水

最近はマルチバームと呼ばれる、一つで顔&髪&ボディ&唇など様々な箇所の保湿ができてしまう優れものまで、非常に多くのアイテムがありますよね。

バーム系コスメの市場はこれからもっと賑わっていくのでしょうか?

最近は「バーム」という言葉、だいぶ浸透していますもんね。

そして、なんといってもバームの面白いところは、最初はガチッと固まっているのに、

肌へ塗布すると瞬時にトロッととろけてオイルのように軽く伸びていく、あの独特の感触。

そんな最近人気であるバームの基礎実験を少し前に行いましたので、

一体どのような実験を行ったのか、今回はそれについてまとめていきたいと思います!

 

〇バームとは?〇

毎回おなじみ、まずは基本的な知識から!

バーム、バーム…と口にはしていますが、一体どのようなものなのでしょうか?

バームは、オイルが主成分となり、水分はほとんど含んでいません。

このオイルが固形化され、軟膏のような状態になっている化粧品をバームとしているそうです。

主成分がオイルなので、効果としては皮膚の保護&柔軟、バリア機能を高めたりしてくれます。

上記でもお話しましたが、バームは常温では固形ですが、皮膚温によって瞬時にとろけて、瞬時に保湿&ケアできるところが大きな特徴です。

この独特な感触を叶えるのに最も重要となるのが、オイルを固形化する技術なのです。

 

〇オイルを固形化するには?〇

一般的には、ワセリンやシアバター、ミツロウなどの融点の高い成分を配合し、オイルを固形化しています。

ワセリンは、よく軟膏にも配合されている、石油由来の保湿剤です。

石油由来と言っても、石油から様々な不純物を取り除き、しっかりと精製された保湿剤なので、肌に悪影響を与える心配はありません。

特に、精製度が非常に高い白色ワセリンは薬局などに売っているほど、安全と言われています。

アバターは、西アフリカから中央アフリカに生息するシアの木の実から採取される植物性油脂です。

ミツロウは、ミツバチが巣を構成する材料として、働きバチの腹部にある分泌腺から分泌させるロウを精製したものを言います。

ワセリンは、融点が36~60℃

アバターは、融点が36~39℃

ミツロウは、融点が62~65℃

とされているので、どちらも常温では半固形~固形の状態で存在していることになります。

そのため、これらをある程度配合することによって、常温でサラサラな状態のオイルを固形化することができるのですね!

 

〇バームの基礎実験〇

ということで、本題に入ります。

上記で挙げた、一般的にオイルを固形化させる3種類の成分。

これらを実際どのくらい配合すればオイルが固まるのか、それは実験しなければわかりません。

あまりにも柔らかすぎてはバームとして意味がありませんし、硬すぎても上手くとろけていかず品質としてよろしくありません。

そしてなにより、温度で溶けるタイプのバームは温度耐性が命。

夏場の高温な環境下でも固形を維持できる状態に整えて最終製品にしなければなりません。

これらを見越して私たちは基礎実験を行います。

私が今回の実験に使用したのは「ミツロウ」でした。

実験方法は…

①オイルの中にミツロウを2%添加する。

②オイルを加熱し、ミツロウを溶かす。

③それを室温下に静置し、冷却。様子を見る。

④①~③をオイルがある程度固まる状態になるまで繰り返す。

⑤オイルがある程度固まるようになったら、さらに高温耐性試験も同時に進める。

⑥冷却して固めたものを、40℃の環境下へ数時間静置させる。

⑦取り出して観察する。

この時点で溶けていたり、柔らかくなっているようであれば、高温耐性が不足しているということなので、またミツロウを2%添加していく。

40℃の環境下でも溶けずにしっかりと硬さが維持できるようになれば、そこで試験終了。

この工程を踏むことによって、オイルを固形化させるために必要となるミツロウの配合量を導き出すことができ、これが安定的な処方開発へと繋がります。

今回の基礎実験では、最初サラサラだったオイルが固形化していく過程をしっかり観察することができました。

そして、オイルを固形化させることはそんなに容易ではない。

バームを作るだけでも様々なことを考え、実験を行っていく必要があることを知りました。

実験の裏側では、高温耐性試験の際に、おっ!今回は固まってる!

これなら大丈夫か?とビーカーを傾けるとドロッ…ととたんに固まっていたのが崩れておっとっと…

なんて危ないシーンもありました(笑)

 

今回は取り上げませんでしたが、最近はオイルを固形化させる技術として、もっと安定的なものが存在します。

ワセリンやシアバター、ミツロウなどを使用したバームは、温度によって溶ける仕組みですが、もう一つの技術はそうではないのです!

一体どんな技術なのでしょうか?

それはまた、他の記事でまとめたいと思っています。

 

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