新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

防腐剤フリーの秘密①

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

もうだいぶ暖かくなりましたね!というか暑いくらいでしょうか?

本格的に暖かくなってきて嬉しい限りです。

コロナの影響でまだまだ世間は大変ですが、近所へのお散歩であればじゃんじゃん行っても許されると思いますので、ぽかぽか陽気を大いに満喫したいと思います。

 

さて、前回は化粧品に必要不可欠な成分だけれど、表には出てこない、

縁の下の力持ち達にスポットライトを当て、まとめさせていただきました。

その時に防腐剤のお話も書かせていただきましたが、

今回はこの部分に関するとある秘密についてまとめていきたいと思います。

防腐剤がもちろん化粧品にとって必要不可欠な存在だというのは前回のお話。

しかし、最近当たり前のように見かける「防腐剤フリー」の化粧品。

化粧品にとって必要不可欠であるはずなのに、防腐剤フリーの化粧品もあるよね…?

疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

その秘密に迫ろう!というのが今回のテーマです。

それでは早速参りましょう。

 

〇一般的な防腐剤〇

まずは化粧品に使用されている一般的な防腐剤について、基本的な知識をまとめていきたいと思います。

パラベン

これは化粧品に最もよく使用される防腐剤です。

パラヒドロキシ安息香酸エステル(別名:パラオキシ安息香酸エステル)の総称で、

微生物・特にカビや酵母に対して効果的であるため、非常に重宝されています。

歴史も古く、約80年以上前から化粧品に使用されているのだそうです。

パラベンは、薬事法に基づいた化粧品基準によって、配合上限が1%(100gに対して1.0g)と定められています。

この基準に乗っ取り、私達化粧品技術者はパラベンを配合します。

パラベンの種類>

パラベンにはいくつか種類があり、一般的には

メチルパラベン」「エチルパラベン」「プロピルパラベン」「ブチルパラベン

などが使用されています。

実際、一種類でも十分と言われているのですが、

化粧品の剤型によっては複数のパラベンを組み合わせることによって相乗効果が得られ、より高い防腐効果を発揮することができる為、これだけ種類があります。

確かに市販されている化粧品の全成分を観察してみますと、1種類ではなく2種類以上のパラベンが使用されていることが多いように感じます。

しかし、なぜ化粧品の剤型によって複数のパラベンを組み合わせる必要があるのでしょうか?

化粧品を腐らせる菌も、生き物なので人間と同じように水・酸素・栄養素があれば生きることができます。

化粧品にも水が含まれているため、菌が非常に生きやすい環境となっているのです。

そこで重要になってくるのが、パラベンの性質ですね。

パラベンは基本的に水に溶ける性質を持ちます。

先程挙げた一般的なパラベンであれば、

メチルパラベン>エチルパラベン>プロピルパラベン>ブチルパラベン

という順に水に溶けやすいです。

この順は何から来ているのかと言いますと…

有機化合物の基本中の基本、炭化水素は炭素数によって化学名が決められていましたよね。

素数1から、メタン<エタン<プロパン<ブタン<・・・

そして、素数が多いほど油の性質が強くなり、油溶性が高まります。

例に、植物油からとれる脂肪酸は炭素数が12~18個と非常に多いです。

以上を踏まえ、素数の少ないメチルパラベンは水に溶けやすいということになるのですね。

だからこそ、パラベンは化粧品にピッタリの防腐剤なのです。

 

前置きが長くなってしまいましたが、

ここからやっとなぜ化粧品の剤型によって複数のパラベンを組み合わせる必要があるのでしょうか?の答えになります。

例えば防腐剤としてメチルパラベンを使いたい!となった時、

化粧水や美容液など水ベースの剤型は良いのですが、

クリームなど油性成分が多い剤型に関しては、少し工夫をしなければならなりません。

クリームは割合的に水より油の方が多い為、油ベース中に水が所々存在しているというイメージです。

つまり、この油の層をかいくぐり、水の中に入っていけるパラベンが必要になります。

そこで登場するのが、素数の多い(油の性質が強い)プロピルパラベンやブチルパラベンなのですね。

化粧品の剤型によってパラベンを複数組み合わせるのにはこのような理由があったのですね!

そういう意味で、改めて市販化粧品の全成分を観察すると面白いなと思います。

 

パラベンだけで長々とまとめてしまいました。

ということで、本題の防腐剤フリーの秘密については次回にしたいと思います。

今回もお読みくださりありがとうございます!

 

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