新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

防腐剤フリーの秘密②

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

今年のGWは昨年と同じお家時間を過ごすことになってしまいましたね…

私も楽しみにしていたフェスや東京へのお出かけは残念ですが諦めました。

後は、この世の中が普通の生活に戻るよう祈るしかありません。

しかし、お家でできる楽しいこともたくさんありますので、時間を無駄にせず過ごしたいと思います!

皆さんも楽しいお休みをお過ごしください!

 

さて、前回は化粧品に一般的に使用される防腐剤として、

まずはパラベンについてまとめさせていただきました。

今回はその続きになります。

②フェノキシエタノール 

グリコールエーテルの一種で、主にグラム陰性菌緑膿菌大腸菌など)に対して強い活性を示す為、パラベン同様よく配合されています。

フェノキシエタノールを単体で配合するというよりかは、これらの菌に効かない防腐剤があるため、それらと組み合わさることで、より高い防腐力を叶えることができます。

フェノキシエタノール薬事法に基づいた化粧品基準によって、配合上限が定められています。

1.粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの

2.粘膜に使用されることがない化粧品の内洗い流さないもの

3.粘膜に使用されることがある化粧品

上記のようなアイテムに対して、1%(100g中1.0g)と定められています。

 

③その他

これらはあまり配合されているのを見かけませんが列記しておきます。

・デヒドロ酢酸

水溶性のデヒドロ酢酸ナトリウムが挙げられます。

これはpHが低くなるほど(酸性度が高くなるほど)抗菌力が高くなる防腐剤です。

・安息香酸

水溶性の安息香酸ナトリウムが挙げられます。

食品や飲料の保存料・防腐剤としても使用されています。

こちらも酸性域で抗菌作用を示す特徴があります。

ソルビン酸

水溶性のソルビン酸カリウムが挙げられます。

食品や飲料の保存料・防腐剤としても使用されています。

こちらもpHが低くなるほど抗菌力が高くなる特徴があります。

サリチル酸

食品や飲料の保存料・防腐剤としても使用されています。

さらに、殺菌効果や抗炎症効果、古い角質除去効果を持つため、

ニキビに効果的とされ、様々なニキビケアアイテムに配合されています。

 

などなど…以上が化粧品に配合されている防腐剤です。

私はパラベンとフェノキシエタノールにしか触れたことがありませんでしたので、

これだけの種類を上手く組み合わせることで化粧品の防腐効果が成り立っているのだなと感心いたしました。

さて、化粧品に使用される一般的な防腐剤について知識を深めたところで、

本題である防腐剤フリーの秘密へと迫りましょう!

 

〇防腐剤フリーの秘密〇

防腐剤フリーの化粧品は、どのようにして防腐効果を付与しているのでしょうか?

実は…

化粧品の保湿剤としてよく配合されている多価アルコール」 

これらは、微生物の活動を抑制する働きがあると言われ、防腐力を持っているのです!

そんな防腐剤としても活用される多価アルコールは、

1,3-ブチレングリコール

ペンチレングリコール

1,2-ヘキサンジオール

プロパンジオール

カプリリルグリコール

エチルヘキシルグリセリン

などが挙げられます。

 

〇防腐のメカニズム〇

<グリコール類>

上記で挙げた、ブチレングリコールやペンチレングリコール、

カプリリルグリコールなどのグリコール類は、自分自身を溶解させることで微生物から水分を奪い取る機能を持ちます。

これにより、体内の水分を奪われた微生物は生きる機能を失い、死滅します。

 <アルコールの特性>

微生物の細胞膜は、細胞内の水分を守るため、油性であり、タンパク質で構成されているのですが、アルコールはこれを溶かす機能を持っています。

そして、前回パラベンのお話をした際に、炭素数が多いほど油性の性質が高くなるとお話しました。

上記で挙げた多価アルコール達は、炭素数が比較的多い成分になります。

(ペンチレングリコールは炭素数5、ヘキサンジオールは炭素数6…)

つまり、素数の多い多価アルコールは油性である微生物の細胞膜をより溶かしやすいのです。

これにより細胞膜を破壊された微生物は死滅し、防腐効果を得ることができるというわけです。

例えば、ペンチレングリコールと1,2-ヘキサンジオールまたはカプリリルグリコールを併用することによって相乗的に防腐効果を得ることができると言われています。

このように、保湿剤として多価アルコールをいくつか組み合わせて配合することによって、防腐効果も付与することができ、それにより防腐剤フリーを謳うことができるのです。

防腐剤フリーの化粧品を見つけたら全成分をぜひ見てみてください!

必ず上記で挙げたような多価アルコールがいくつか配合されているはずです。

 

ということで、防腐剤フリーの秘密が明かされたところですが、

これについては少し考えさせられるところがあります。

防腐剤と聞くとなんだか肌に悪そう…というイメージがどうしてもありますが、

防腐剤フリーが必ずしも肌にとって安全なのかというと、

実はそうとも言えないのが現実です。

上記で述べたように、多価アルコールはタンパク質でできた微生物の細胞膜を溶かすことによって防腐効果を持ちますが、

私達の皮膚細胞もタンパク質でできていますよね。

つまり、素数の大きい多価アルコールであればある程、皮膚刺激性が高いのです。

お肌が敏感な方はこの手の化粧品だと逆にピリピリと刺激を感じて使うことができないかもしれません。

さらに、パラベンやフェノキシエタノールは配合上限が1%でしたよね。

それに、実際配合するとしてもスキンケアであれば0.2~0.3%ほどの微量添加で十分効果を発揮してくれます。

対して、多価アルコールで防腐効果を付与するとなると、5~10%以上は配合する必要があるのです。

保湿効果の高い多価アルコールですが、あまりにも高配合であれば、使用感にも響きますし、先程述べたように皮膚刺激が心配です。

保湿効果と防腐力の両方も兼ね備えた万能な成分ですが、防腐剤フリーには様々なリスクがあったのですね。

肌に合う化粧品は本当に人それぞれなので、防腐剤フリーが決して「悪」というわけではありません。

個人個人の好みや肌状態を見て、慎重に化粧品を選んでいただきたいと思った、

いろはね研究員なのでした。

 

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