新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

HLBはイメージ力が大切!

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

急に寒くなりましたので、どうか皆様、風邪などで体調を崩されませんように…!

 

さて!

前回、界面活性剤には親水性か疎水性かを判断するパラメータがあるとお伝えしました!それがHLBですね!

このHLBによって私達化粧品技術者はどのように界面活性剤を使い分けているのかを今回はまとめていきたいと思います!

 〇どのように使い分けているの?〇

以前ブログで、乳化の型には水中油型(O/W型)と油中水型(W/O型)があるとお伝えしました!

ちなみにそのブログはこちら↓ 

sawayaka0302.hatenablog.com 

このO/WとW/Oは、界面活性剤のHLBが大きく関わっているのです!

水中油型(O/W型)であれば、HLBが比較的高い界面活性剤を使用します!

基準としてはHLB値8~18の界面活性剤を選択します。

HLBが高い界面活性剤は水に溶けやすい性質を持つため、親水基を外側に疎水基を内側にして、油の粒子を閉じ込める型(O/W型)になります!

油中水型(W/O型)であれば、HLBが比較的低い界面活性剤を使用します!

基準としてはHLB値3~6の界面活性剤を選択します。

HLBが低い界面活性剤は油に溶けやすい性質を持つため、疎水基を外側に親水基を内側にして、水の粒子を閉じ込める型(W/O型)になります!

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左:高HLB値の界面活性剤使用  右:低HLB値の界面活性剤を使用

とは言っても、単純にO/W型の乳液を作りたい場合、HLBの高い界面活性剤のみを配合してしまっては上手く乳化はできません。

水と油の相反する物質同士を安定的につなぎとめ、上記イラストのような球状の微細なエマルジョン形成する為には、HLBの高い界面活性剤と低い界面活性剤の両方をバランス良く配合する必要があるのです!

つまり、ここが化粧品技術者の腕の見せ所というわけです!

 

〇HLBは頭の中でイメージ!〇

HLBは数値として判断するのが一般的だと思いますが、

私は界面活性剤の構造式から、親水性か疎水性かを判断するイメージ力も大切だと教わりました!

界面活性剤は、化学的には油性成分と水溶性成分を結合させて合成されています!

例えば…

ステアリン酸グリセリルという界面活性剤。

スキンケア化粧品をはじめ、様々なアイテムに使用される代表的な界面活性剤です!

この界面活性剤の構造は、油性成分がステアリン酸水溶性成分がグリセリンとなっています!

ステアリン酸は、脂肪酸です!

脂肪酸は動物油・植物油の主成分「トリグリセライド」からグリセリンを取り除いたもので、よく石鹸系・乳化系の処方に使用される重要な成分です!

グリセリンは、ほとんどの化粧品に配合されている水溶性の保湿成分になります!

 

では、ここからは少し化学的なお話に入ります!

ステアリン酸グリセリンの構造をもっと細かく見ていきますと…

 

ステアリン酸はイラストのように、18個の炭素(C)と末端に-COOHカルボキシ基と呼ばれる官能基がついた構造となっています!

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ステアリン酸の構造

このように、18個も炭素がついているので、油性成分としてはボリュームの大きい構造をしています!

 

グリセリンは、3個の炭素(C)と3個の水酸基(OH)がついた構造となっています!

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グリセリンの構造

水酸基(OH)は水と結合しやすいため、これを構造中に多く持つ成分は水溶性成分となります!

油性成分であるステアリン酸にはこの水酸基(OH)はついていないですよね!

 

このように、二つの成分をそれぞれ構造から比較すると、ステアリン酸の方が圧倒的にボリュームが大きいことがわかります!

そこで!こんなイメージができるわけですね!

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脳内イメージ!

つまり、ステアリン酸グリセリルは疎水性の界面活性剤となるのです!

そして、ステアリン酸グリセリルのHLBは3です!

ここで確実に疎水性ということがわかりましたね!

こんな感じで他の界面活性剤も親水性なのか、疎水性なのかをイメージすることを意識しています!

そして、このイメージができるようになれば、実際試作する際にとても役立つのです!

例えば、乳液に使用するオイルと界面活性剤の相性が良くないと上手く乳化しないことがあります。

O/W型であれば、上記のイラストのように、オイルの周りを界面活性剤が覆い、

球状のエマルションを形成しますよね!

しかし、オイルと界面活性剤の相性が悪ければ、それらが上手く結合せず、エマルションの形成がしにくい状態となってしまうためです。

そこで!

まずはオイルと界面活性剤の相性を見極める基礎実験を行うことが大切なのです!

前回のブログでも書いた通り、今や界面活性剤の種類は非常に多いです。

使用するオイルと相性の良い界面活性剤を見つけたら、

疎水基の方は固定し、親水基の方でHLBの調節をするのです!

これを上手く組み合わせることによって安定な乳液を作ることができるのです!

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ただ闇雲に乳液を作るのではなく、まずはオイルと界面活性剤の相性を見極めてから、先の工程に進むのが基本です!

化粧品技術者って化学の知識がないと…ではなく、結構イメージ力も必要なのです!

こんなこと、あまり丁寧に教えてもらえることってほとんどないと思います。

本当に自分って恵まれているなあ…泣!と思うのと、

この考えを忘れずに処方開発をしていきたい!と思ういろはね研究員なのでした。

 

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