バームの基礎実験
皆さんこんにちは!いろはねです!
最近朝晩はまだ少し肌寒い時もありますが、昼間はぽかぽかとした春の陽気に包まれて、晴れている日は気持ちが良いですね。
春の風物詩の一つと言えば、桜!これから次々と咲き始めるでしょう。
もう咲いているところもあるのでしょうか?
とってもとっても待ち遠しいです。
さて、皆さんは「バーム」と聞くと何が思い浮かびますか?
最近であればもう、ほとんどの方がクレンジングバームを思い浮かべるかもしれません。
ちなみに、バーム系コスメは他にもありますよね。
唇の乾燥を防ぎ、うるおいから守ってくれるリップバーム
髪のパサつきなどを防ぎ、ツヤとまとまりのある髪へと導くヘアバーム
液体が漏れる心配もなく、柔らかな香り立ちを表現してくれる練り香水
最近はマルチバームと呼ばれる、一つで顔&髪&ボディ&唇など様々な箇所の保湿ができてしまう優れものまで、非常に多くのアイテムがありますよね。
バーム系コスメの市場はこれからもっと賑わっていくのでしょうか?
最近は「バーム」という言葉、だいぶ浸透していますもんね。
そして、なんといってもバームの面白いところは、最初はガチッと固まっているのに、
肌へ塗布すると瞬時にトロッととろけてオイルのように軽く伸びていく、あの独特の感触。
そんな最近人気であるバームの基礎実験を少し前に行いましたので、
一体どのような実験を行ったのか、今回はそれについてまとめていきたいと思います!
〇バームとは?〇
毎回おなじみ、まずは基本的な知識から!
バーム、バーム…と口にはしていますが、一体どのようなものなのでしょうか?
バームは、オイルが主成分となり、水分はほとんど含んでいません。
このオイルが固形化され、軟膏のような状態になっている化粧品を「バーム」としているそうです。
主成分がオイルなので、効果としては皮膚の保護&柔軟、バリア機能を高めたりしてくれます。
上記でもお話しましたが、バームは常温では固形ですが、皮膚温によって瞬時にとろけて、瞬時に保湿&ケアできるところが大きな特徴です。
この独特な感触を叶えるのに最も重要となるのが、オイルを固形化する技術なのです。
〇オイルを固形化するには?〇
一般的には、ワセリンやシアバター、ミツロウなどの融点の高い成分を配合し、オイルを固形化しています。
ワセリンは、よく軟膏にも配合されている、石油由来の保湿剤です。
石油由来と言っても、石油から様々な不純物を取り除き、しっかりと精製された保湿剤なので、肌に悪影響を与える心配はありません。
特に、精製度が非常に高い白色ワセリンは薬局などに売っているほど、安全と言われています。
シアバターは、西アフリカから中央アフリカに生息するシアの木の実から採取される植物性油脂です。
ミツロウは、ミツバチが巣を構成する材料として、働きバチの腹部にある分泌腺から分泌させるロウを精製したものを言います。
ワセリンは、融点が36~60℃
シアバターは、融点が36~39℃
ミツロウは、融点が62~65℃
とされているので、どちらも常温では半固形~固形の状態で存在していることになります。
そのため、これらをある程度配合することによって、常温でサラサラな状態のオイルを固形化することができるのですね!
〇バームの基礎実験〇
ということで、本題に入ります。
上記で挙げた、一般的にオイルを固形化させる3種類の成分。
これらを実際どのくらい配合すればオイルが固まるのか、それは実験しなければわかりません。
あまりにも柔らかすぎてはバームとして意味がありませんし、硬すぎても上手くとろけていかず品質としてよろしくありません。
そしてなにより、温度で溶けるタイプのバームは温度耐性が命。
夏場の高温な環境下でも固形を維持できる状態に整えて最終製品にしなければなりません。
これらを見越して私たちは基礎実験を行います。
私が今回の実験に使用したのは「ミツロウ」でした。
実験方法は…
①オイルの中にミツロウを2%添加する。
②オイルを加熱し、ミツロウを溶かす。
③それを室温下に静置し、冷却。様子を見る。
④①~③をオイルがある程度固まる状態になるまで繰り返す。
⑤オイルがある程度固まるようになったら、さらに高温耐性試験も同時に進める。
⑥冷却して固めたものを、40℃の環境下へ数時間静置させる。
⑦取り出して観察する。
この時点で溶けていたり、柔らかくなっているようであれば、高温耐性が不足しているということなので、またミツロウを2%添加していく。
40℃の環境下でも溶けずにしっかりと硬さが維持できるようになれば、そこで試験終了。
この工程を踏むことによって、オイルを固形化させるために必要となるミツロウの配合量を導き出すことができ、これが安定的な処方開発へと繋がります。
今回の基礎実験では、最初サラサラだったオイルが固形化していく過程をしっかり観察することができました。
そして、オイルを固形化させることはそんなに容易ではない。
バームを作るだけでも様々なことを考え、実験を行っていく必要があることを知りました。
実験の裏側では、高温耐性試験の際に、おっ!今回は固まってる!
これなら大丈夫か?とビーカーを傾けるとドロッ…ととたんに固まっていたのが崩れておっとっと…
なんて危ないシーンもありました(笑)
今回は取り上げませんでしたが、最近はオイルを固形化させる技術として、もっと安定的なものが存在します。
ワセリンやシアバター、ミツロウなどを使用したバームは、温度によって溶ける仕組みですが、もう一つの技術はそうではないのです!
一体どんな技術なのでしょうか?
それはまた、他の記事でまとめたいと思っています。
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pHの謎②
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回はpHの謎と題しまして、温泉水には酸性やアルカリ性があるけれど、触れても肌が火傷してしまったりしないよね?これはなぜなのだろう?
という話題から、まずはpHについて復習をするため、基本的なことについてまとめさせていただきました。
詳細はこちらをぜひご覧になってください。↓
そしてついに今回は、本題であるpHの謎に迫ります。
前回も最後の方に書かせていただきましたが、温泉水以外にも日常生活でお世話になっている酸性やアルカリ性のアイテムがありましたね。
酸性・・・レモン、お酢など
アルカリ性・・・石けん水、洗剤など
これらのpHも、
レモンは約2.0、お酢は約2.7
石けん水は約9~11、台所用洗剤は約6.0~8.0、衣類用洗剤は約8.0~11.0
というように、数値的に見ればけっこう酸性、アルカリ性ですよね。
普段口にしたり、肌に触れたりしますが、特に影響はありませんよね。
では逆に、肌に触れてしまっては危険だと言われているのは、
酸性・・・塩酸、硫酸など
これらは濃い溶液であれば、
極端に酸性はpH1、アルカリ性はpH12くらいになります。
おや…?
これ、pH1.2の酸性温泉やpH11以上のアルカリ性温泉とそんなに差がないような…
ということはつまり、pHの数値が高い低いだけで肌に影響が出るわけではないということなのでしょうか?
そうなんです!
皆さんは、「強酸」「弱酸」「強アルカリ」「弱アルカリ」という言葉をどこかで耳にされたことはありませんか?
これらが実は、pHの謎を解く大きなキーワードとなっているのです。
一体どういう意味なのでしょうか?
それではここからまた、化学的なお話に入っていきます。
(恥ずかしながら、私はこの辺りもよく混乱してしまうので、この場をお借りして、改めてお勉強です)
〇強酸・弱酸&強アルカリ・弱アルカリの違いとは?〇
これには「電離度」というものが大きく関わっています。
まず、水に溶けるとプラスのイオン(陽イオン)、マイナスのイオン(陰イオン)に分かれ、電気を流す物質のことを「電解質」と呼びます。
そしてこの電解質が、水溶液中で電離する割合のことを「電離度」としています。
※電離・・・電解質がプラスのイオン(陽イオン)とマイナスのイオン(陰イオン)に分かれること
※電離度は、水溶液の濃度や温度によって変わります。
そして、この電離度が濃度によらずほぼ1に近い値になる酸のことを強酸と言います。
例として塩酸(HCL)を挙げましょう。
塩酸の化学反応式は下記のようになります。
塩酸のような強酸は、ほぼ完全に電離しイオンに変化します。
そのため、反応式は→の表記になります。
逆に、水溶液中でごく一部しか電離せず、電離度が1より極めて小さい酸のことを弱酸と言います。
例としてお酢の主成分である酢酸(CH3COOH)を挙げましょう。
酢酸の化学反応式は下記のようになります。
弱酸は、電離度がかなり小さいので、イオンになりにくく、別れたイオンが再びくっつくことがあります。
そのため弱酸の反応式は⇄の表記になります。
ということで、電離度の大きさによって強酸と弱酸に分けられるということだったのですね。
これは強アルカリ・弱アルカリも同様です。
ちなみに、pHは溶液中の水素イオン濃度のことでしたよね。
つまり、上記で示した化学反応が実際に水溶液中で起こり、水素イオン(H⁺)が発生し、その濃度がpH値として出ているということだったのですね。
さらに理解が深まりました!
そして、電離度についてはこんな一覧表を見つけました。
この表を見ますと、上記で説明した電離度の違いが一目でわかります。
やはり、強酸と強アルカリは電離度が1に近く、
弱酸と弱アルカリは電離度がかなり小さい数値となっています。
こうして比較すると、強と弱で10倍、100倍も電離度に差がありますよね。
たとえpH(水素イオン濃度)が同じだったとしても、この電離度が10倍、100倍も異なることで、刺激が出るor出ないが決まってくるということなのですね。
さらに強酸・強アルカリは、水溶液中で完全にイオン化するわけですから、反応性が高いということが言えます。
この反応性の高さが、肌へ影響を与える要因なのではないかと考えられます。
つまり、肌に害のない酸性やアルカリ性のものは、すべて弱酸や弱アルカリの部類に入るということですね!
あれ…?温泉水は?
と思った方!温泉水は少し見方が違います。
温泉水は長い時間をかけて鉱石から溶け出したマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分を豊富に含んでいます。
これらに反応して、pHが極端な数値となるのです。
なので、温泉水もpHがどんなに高くても低くても、肌への刺激は少ないということになりますよね。
〇pHの謎…その答えとは?〇
化学的で難しいことばかりでしたので、最後に結論をまとめたいと思います。
①pHの高い・低いが肌へ刺激を与えるわけではない。
③電離度の違いが、強酸・弱酸、強アルカリ・弱アルカリを分ける。
④強酸・強アルカリは水溶液中で完全にイオン化し、電離度はだいたい1。
⑤弱酸・弱アルカリは水溶液中で完全にイオン化はせず、電離度は極めて低い。(強酸・強アルカリの約1/10~約1/100)
⑤電離度の高い強酸、強アルカリは水溶液中で完全にイオン化するため、反応性が高く、肌へ大きな刺激を与える。
⑥日常生活で害のない酸性やアルカリ性のアイテムは、弱酸や弱アルカリの部類であるため、肌への刺激は少ない。
⑦温泉水のpHは、豊富に含まれるミネラル物質に反応して出ていた為、肌への刺激は少ない。
よって、危険な酸性&アルカリ性物質は含まれているわけではない。
以上です!
pHは化粧品の品質を維持するためにも必要不可欠な項目です。
その根幹に触れ、謎も解決することができ、すっきりしたいろはね研究員なのでした。
参考HP:
強酸と弱酸まとめ・見分け方 | 理系ラボ (rikeilabo.com)
5分でわかる!「強酸」と「 弱酸」の違いを元家庭教師が解説 - Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン (study-z.net)
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pHの謎①
皆さんこんにちは!いろはねです!
3月に入り、春の陽気に移り変わりつつありますね。
早くぽかぽかとした毎日を過ごしたいものです!
しかし、強風が吹き荒れる春先はホコリや花粉、PM2.5などが飛び交うので、
肌荒れに注意したい今日この頃です。
そういう点ではマスク生活もあながち悪くないのかもしれません。
さて、今回は題名の通り「pH」について、化学的なお話をしていきたいと思います。
私はお恥ずかしながら、この手の話になるとよく混乱してしまうのですが…
化粧品技術者として一人前になるためにはこの分野も知っていて当たり前!
この場をお借りして、しっかりと頭にインプットしたいと思います。
では、なぜこのような話題にしたのかと言いますと、
前回のブログで私は温泉水についてまとめさせていただきました。
日本にはアルカリ性や酸性の温泉が数多く存在し、肌や身体に様々な良い効果をもたらしてくれると。
温泉水もアルカリ性であれば平均7.5~10以上、酸性であれば平均2未満~6未満でしたね。
アルカリ性、酸性と言えば、皆さんも過去に化学の授業で、
水酸化ナトリウムは触ると肌が溶けるから危ないよ!
硫酸は肌が火傷するから危ないよ!と言われてきませんでしたか?
そう、pHが高いもの(アルカリ性)、低いもの(酸性)は危険だと教わったはず。
温泉水もそこだけ見れば、pH10以上や2未満なんてかなり極端な数値ですし、
今までの概念であれば、肌が溶けたり大やけどしてしまう危険な数値ですよね!?
でも、温泉水は大丈夫なんだよなぁ。
今までは何気なく入っていた温泉ですが、
温泉水コスメの開発において色々経験したことで、この謎が非常に引っかかりました。
この部分とリンクさせてまとめたいなと思い、今回このような話題になりました。
それでは早速参りましょう。
〇pHとは?〇
まずはしっかりと頭にインプットするため、復習も兼ねて基本的なことから色々と調べました。
pHのことは皆さん「ピーエイチ」?それとも「ペーハー」?どちらで読まれますか?
これを答えると年齢とかがだいたいわかってしまいそうですね…(笑)
…すみません。それはさておき。
pHとは、溶液中の水素イオン濃度の量を表してくれています。
一般的に数値は1~14までで、真ん中の7が「中性」とされています。
つまり、pHが7より小さいと「酸性」、7より大きいと「アルカリ性」となります。
そして、水素イオンとは【H̟⁺】のことです。
これは、純粋な水「H2O」が下記の式のようにイオンに分かれた際に発生するのだそうです。
参考URL:pHはなぜ測定するの? | 鈴研株式会社 (suzuken-ltd.co.jp)
このように、純粋な水の中には水素イオン「H⁺」と水酸化物イオン「OH̠⁻」が同じ量存在していて、この二つのバランスが等しい状態であればpH7の中性を示します。
だから水は中性なのですね。
つまり、水素イオン「H⁺」と水酸化物イオン「OH⁻」のどちらかが多くなったり少なくなったりすることで、酸性なのか、アルカリ性なのかがわかるのですね。
イメージとしては…
上の図のように、
水素イオン「H⁺」が多ければ、pHは低くなり、酸性
水酸化物イオン「OH⁻」が多ければ、pHは高くなり、アルカリ性
ということになります。
参考URL:pHとは | 日本水処理工業株式会社 (mizu-shori.com)
よし、pHについてまとまってきたぞ…!
そして、ここからさらに化学的なお話に入ります。
一つ目のイラストに、10000000分の1モル/Lという表記があると思いますが、
これも非常に重要です。
この「モル」については、説明すると私が混乱しかねないので、ここでは割愛させていただきます…ご了承ください。
「モル」は濃度を表す単位とだけ、ここでは言わせていただきます。
10000000分の1モル/Lについてですが、
正確には、純粋な水1Lの中には、1atm(大気圧)・25℃の時、
水素イオンが10000000分の1モル存在しているということなのだそうです。
でも、この10000000ってものすごく読みづらいですよね。
なので、この数字を「107」(10を7回掛ける、10の7乗という意味)と書き換え、107分の1モル/Lとし、この7を使ってpH7と表現するのです。
ということは、pH1であれば水素イオン濃度は101分の1モルということになりますよね。
つまり、pHの水素イオン濃度は10の乗数によって数値が算出されているということになりますね。
pH〇の、〇の部分はただの数字なのに、そこにこんな深い意味があったんですね。
非常に良い復習になりました。
ここまでまとめればpHは大丈夫でしょう!
〇pHの謎〇
pHの基本的な知識を得たところで、本題であるpHの謎に迫りましょう。
温泉水以外にも酸性とアルカリ性の一般的な物といえば…
酸性・・・レモン、お酢など
アルカリ性・・・石けん水、洗剤など
でしょうか?
これらのpHも確か…
レモンはpHが約2.0、お酢は約2.7
石けん水は約9~11、台所用洗剤は約6.0~8.0、衣類用洗剤は約8.0~11.0
このように、温泉水だけではなく、私達が普段口にしたり、触れているものでさえ、
pHが両極端なものは存在します。
でも、私達には特になーんにも害はありませんよね?
ましてや非常にお世話になっているアイテムばかりです。
ここがやっぱり不思議なところ。
どうやらphの数値だけで肌に影響があると決めつけてしまうのは間違いということですね。その答えとは一体…?
これについては次回にしたいと思います。
今週もお読みいただきありがとうございました!
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温泉水からの挑戦状③
皆さんこんにちは!いろはねです!
最近は暖かくなったり、寒くなったり気温差が激しく、
体調を崩される方も多いのではないでしょうか…?
私もダウンしてしまった日がありました。
また、花粉も飛び始めましたので油断できませんよね…。
季節の変わり目は気候に体調が左右されやすいですが、皆様もどうかご自愛くださいませ。
それでは本題へ参りましょう。
前回はまさに温泉水からの挑戦状…
化粧品開発におけるpHや塩の影響についてお話をしました。
その続きとしまして、今回は、どのようにしてその試練に立ち向かったのかをまとめていきたいと思います。
まず、前回の内容を簡単にまとめますと…
①温泉水を使ったフェイスマスクを作りたい。
②一般的なフェイスマスクには、カルボマーと呼ばれる中和反応によりジェル状に変化する成分が配合されている。
③温泉水には、アルカリ性や酸性の泉質があり、カルボマーの中和反応に影響を与えてしまう。
④温泉水には、塩分が豊富に含まれていることがあり、ジェル状になったカルボマーはその塩分に反応し、シャバシャバになってしまう。
⑤温泉水配合のフェイスマスクにはカルボマーが使えない…。
※カルボマーには様々な種類があり、塩に強いタイプもあるのですが、それを使用しても温泉水のパワーに勝てず断念したという次第です。
ということでカルボマーが使えなくなった今、他の増粘剤を用いてとろみを付与するしかありません。
つまり、温泉水のpHに影響されず、塩にも強い増粘剤を探す必要がありました。
そこでまず最初に登場するのが…「セルロース系のポリマー」です。
特に「ヒドロキシエチルセルロース(通称:HEC)」と呼ばれる成分は、
植物の細胞膜の主成分である「セルロース」から作られ、そこに酸化エチレン(エチレンオキシド)を結合して水溶性にした、イオン性を持たないノニオン性多糖類です。
そのため、塩や金属イオンなどの影響を受けにくく、温泉水に対抗できるのではないかということで、選出されました。
これは希望が持てますね!
まずはこれを温泉水フェイスマスクに配合してみました。
結果は、ダメでした…。
原料資料より、〇%配合で粘度はこのくらいというデータがありましたので、フェイスマスクには〇%配合し、粘度はだいたいこのくらいになるはずだ!と予測をし、実験を行いました。
しかし、粘度は予測していた数値よりも低くなり、ヒドロキシエチルセルロースも温泉水の影響を受けてしまうということがわかりました。
つ、強すぎる…温泉水…
ここであきらめてはいけません!他にもまだ希望はあります。
それが「天然系のポリマー」です。
天然系ポリマーと言えば…
〇キサンタンガム:でんぷんや糖類を微生物発酵させて得られる
〇タマリンドガム:インドや東南アジアに生育するタマリンドの種子を分離精製して得られる
〇グアーガム:マメ科のグァーという植物の種子の胚乳部から得られる
などですね。
これらはカルボマーのように化学反応は必要なく、とろみを付与することができます。
この時点でpHの問題はクリアできそうですよね。
後は塩に強いかどうかですが…これは一から基礎実験が必要です。
これらの天然ポリマーを一つ一つ温泉水に配合し、粘度に影響が出るかどうか実験を行いました。
このように肝となる成分同士のみをシンプルに組み合わせて様子を観察するのが
基礎実験の大切なポイントですよね。
これ以下はノウハウになってしまうので、詳しいことは割愛させていただきますが…
この基礎実験を行った結果、温泉水にも影響されず、しっかりと粘度を保つことのできた天然ポリマーがありました!
早速それを配合し、フェイスマスクの試作を行います。
一般的なカルボマーではなく、天然ポリマーを配合するということですから、配合量や使用感の調節にも苦戦しました。
天然ポリマーは食品にも使用されていますので、とろみ以前に、ゼリーのようなブルブルとした粘度になってしまったり、配合量が多すぎてポリマーカスが発生してしまったり、ぬるぬる感が強くなってしまったり…
そんな課題もコツコツクリアしながら、フェイスマスクの開発は進んでいきました。
まさにドタバタ奮闘記です(笑)
あとは、とろみなど安定性の維持ができるかどうか経過観察をしつつ、
試作品としてお客様に提出します。
数々の実験を経た結果、見事温泉水からの挑戦状に打ち勝つことができました!
こういう地道な実験が、結果につながる瞬間は化粧品開発における醍醐味の一つだと思います!
温泉水コスメって、響きが良く、効果もありそうですし、
ある程度流通していてもおかしくない商材なのですが、有名なのは化粧水ミストなどの水ベース商品がほとんどですよね。
一般的にカルボマーが配合されているクリームや乳液、フェイスマスク、ジェル製品はあまり見たことがありません。
その謎が今回色々と実験を行ってみて解けた気がします。
そしてこのような色々な壁が立ちはだかれば、その分私の経験値にも繋がります。
温泉水からの挑戦状はなかなかハードでしたが、この挑戦によって新たな発見ができたのでは!?とワクワクもした、いろはね研究員なのでした。
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温泉水からの挑戦状②
皆さんこんにちは!いろはねです!
2月も後半に入り、少しずつ春の陽気がやってきていますね!
桜の開花が待ち遠しいです。
さて、前回は温泉水が肌に与えてくれる効果を簡単にまとめました。
ミネラルが豊富に含まれていることと、pHの違いによって肌効果は異なりましたね。
温泉水はとても素晴らしい効果を私たちにもたらしてくれます。
この力を化粧品にも取り入れたい…!
しかし、温泉水はとある試練を私達に与えてきました。
果たしてそれはどのような試練だったのでしょうか?
それについて今回はまとめていきたいと思います。
〇温泉水からの試練①〇
それはズバリ、温泉水のpH値ですね。
前回のブログで温泉水は酸性・中性・アルカリ性に分けられると書きました。
私達が今回の化粧品開発に使用したのはpH値が9以上のアルカリ性温泉水で、これをベースとしたスキンケアシリーズを作りたいというお話でした。
温泉水の力をふんだんに使ったスキンケア…しかもシリーズ。
これは私達も気合いが入ります!
そして、試作を色々と進めていく中で最も苦戦をしたのがフェイスマスクでした。
なぜかと言いますと…
一般的なフェイスマスクは、とろみを付与し、不織布に均一に美容液を浸しておく必要があります。
それには「カルボキシビニルポリマー」略して「カルボマー」と呼ばれる水溶性高分子が必要不可欠です。
この成分は、アルカリ剤との中和反応によって粘度が高くなり、ジェル状に変化する性質を持ちます。
(変化のメカニズムは以前まとめておりますのでご参考までに!↓)
普段カルボマーを使用する時は、まず精製水で溶解し、そこへアルカリ剤として水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などを添加し、ジェル状にしているのですが…
もうお気づきでしょうか?
今回使用している温泉水ってアルカリ性でしたよね…?
つまり、ベースが精製水ではなくアルカリ性の温泉水であるため、NaOHやKOHを添加する前に温泉水と中和してしまうのです。
私はこの現象を実際に経験することができました。
いつも精製水でカルボマーを溶解する時は、まだサラサラな状態なのですが、
温泉水でカルボマーを溶解すると、そこですでに中和され、アルカリ剤を入れなくても本当にジェル状になってしまい、驚きました。
しかし、温泉水は不純物のないアルカリ剤とは異なり、他にもミネラルや非常に様々な成分を含んでいます。
その為、一見カルボマーがジェル状に変化したとしても、純粋な化学反応(中和反応)が起きているわけではないので、後に一部分のpHが乱れ、ゲル化して塊が生じてしまったりと、安定的ではなくなってしまうみたいなのです。(これも実際の経験)
これでは品質に影響が出てしまいますね。
ということで、温泉水のpHにより、カルボマーでとろみを付与するという道は閉ざされてしまったのです。
最初に一般的なフェイスマスクにはとろみの付与にカルボマーが必須だということをお伝えしました。
カルボマーを使用せず、どのようにしてとろみの付与をすればよいか?
これが温泉水から与えられた一つ目の試練でした。
〇温泉水からの試練②〇
次に、温泉水に含まれる塩ですね。
こちらも前回のブログで温泉水には、泉質という種類があると書きました。
中でも「塩化物泉」は塩分が豊富に含まれており、それが肌に付着することによって、肌表面に薄い膜を張り、水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいを保ってくれるという効果がありましたね。
この塩分が実はカルボマーの天敵となってしまうのです。
カルボマーのジェルは、塩分によってジェル状になった構造が崩され、とたんにシャバシャバの粘度になってしまうという欠点を持っています。
面白いのは、ただのカルボマージェルを汗をかいた皮膚に塗布すると、汗の塩分に反応し、タラーっと水のように溶けて垂れていってしまいます。
つまり、温泉水にも塩分が含まれているため、一般的なカルボマーの配合量では粘度が出ず、とろみを付与をすることが難しいのです。
それに気づかず、粘度が出ないとカルボマーの量を増やしてしまうと、ポリマー量が多量となり、それが肌に蓄積し、なじませる過程で白くなったり、ポリマーカスがぽろぽろと出てきてしまいます。
それでは品質にかなりの影響が出てしまいますね。
ということで、温泉水の塩分に反応してしまうカルボマーは使えず、逆にそれに影響されない増粘剤はどれなのか?
一から実験を行い、探さなければなりません。
これが温泉水から与えられた二つ目の試練でした。
さて、このように温泉水から数々の試練を与えられた私達ですが、もちろん完全に道が閉ざされてしまったわけではありません!
解決策はもちろんあります。
では果たしてどのような解決策を用いて、温泉水からの試練に立ち向かったのでしょうか?
これについては次回とさせていただきます。
それではまた!
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温泉水からの挑戦状①
皆さんこんにちは!いろはねです!
冬は本当に空気が澄んでいて、雲一つない快晴の日はとっても気持ちが良いですね。
晴れの日最高!
そんなお休みの日は朝早く起きて朝日を身体いっぱいに浴びることから始めます。
そうすると、その日一日明るく元気よく動けるのです。
最近のモーニングルーティーンには欠かせないひと時です。
それでは本題に入りましょう。
題名の通り、今回は温泉水とコスメの関係ついてまとめていきたいと思います。
最近私は温泉水を使ったコスメの開発に色々と取り組んできたのですが、
これがなかなかに難しかったのです…!
「これは、温泉水からの挑戦状だ…!」とふと思い、今回の題名となりました。
皆さんは「温泉水=肌が綺麗になる」といったイメージありませんか?
私も「温泉水」と聞いたら肌に良さそうだなと感じます。
細かい成分はわからなくても、触ってわかるあの肌のツルツル感は一目瞭然!
身体を温めてくれるだけではなく、美容にも良いなんて…
日本の文化はやはり素晴らしい!と心から思ういろはねです。
温泉水コスメと言えば、アベンヌの温泉水ミストなどが有名でしょうか?
という風に、すでに温泉水を配合したスキンケアがたくさんありますから、
まずは温泉水自体が肌にどのような効果を与えてくれるのか、
しっかりとお勉強しなければなりませんね!
〇温泉水が肌にもたらす効果とは?〇
日本には非常に多くの温泉がありますよね。
温泉水には「泉質」というものがあるらしく、
肌への効果がある泉質として出てきたのは、
・塩化物泉
・炭化水素塩泉
・硫酸塩泉
・酸性泉
・硫黄泉
の5種類でした。
他にも温泉水に含まれている成分や温度、pH、色、匂い、味、肌さわりなどの違いによって様々な種類に分類されるそうです。
①豊富なミネラル
温泉水によっては、ナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
泉質としては、「塩化物泉」が代表的ですかね。
塩化物泉は塩分が豊富に含まれている温泉で、
・殺菌・抗菌作用
・血流促進
・痛みを和らげる
などの効果があるとされ、
さらに塩分が肌に付着することによって肌表面に薄い膜を作り、
水分の蒸発を防いでくれる為、肌のうるおいを保ち、しっとりとした肌に仕上げてくれると言われています。
このように、ミネラルが豊富に含まれていることによって肌への様々な効果が期待できます。
②pHの違い
温泉水は大きく「アルカリ性」「中性」「酸性」に分けられます。
化学の授業でおなじみ、この「pH」の違いも、肌へ様々な効果を与えてくれるそうです。
<アルカリ性>
これはだいたいpH7.5~10以上がアルカリ性の温泉水だそうですね。
色々調べてみますと…なんとpHが11以上のアルカリ性の強い温泉もありました。
アルカリ性の温泉水はクレンジング作用があると言われており、
・古い角質などを柔らかくする
・毛穴に詰まった汚れを浮かす
・メラニン分解を促進する
などの効果があるようです。
確かに、アルカリ性の温泉に入ると肌がぬるぬる、すべすべしてきますよね。
そして、出た後にはざらつきが軽減され、ツルツルの肌になっていることがよくあります。
あれは古い角質がほぐされ、落ちていたからだったのですね!
<中性>
これはだいたいpH6~7.5未満が中性の温泉水だそうですね。
中性の温泉は日本で最も多いらしく、肌への刺激が少ないのが特徴です。
肌の弱い方や敏感肌の方でも長時間安心して入ることができます。
<酸性>
これはだいたいpH2未満~6未満が酸性の温泉水だそうですね。
こちらも色々調べてみますと…
なんとpHが1.05の温泉もありました!(秋田県、玉川温泉)
酸性の温泉水は殺菌作用やピーリング作用があると言われており、
・ニキビや水虫、皮膚疾患、切り傷などに良い
・古い角質などを柔らかくする
・古い角質がはがれた新しい肌に、酸性温泉水が刺激を与え、自然治癒力を高める
・ピーリング作用により、くすみ・美白・収れん効果も期待できる
硫黄の香りがする温泉は酸性の温泉が多いそうなので、こちらも肌をツルツルにしたいときは入りに行くのがベストということですね。
温泉水には、ミネラルが豊富に含まれ、pHの違いが美肌の秘訣となることが分かったわけですが…
実は、これらが温泉水から化粧品技術者に向けての挑戦状だったです。
では、化粧品を開発するにあたり温泉水はどのような試練を与えてくるのでしょうか?
これについては、次回をお楽しみに!
それにしても、よく旅行先で温泉に入ると、常連さんかな?と思しきおじいさんおばあさん達がいらっしゃいますが、皆さんとても若々しくてお肌もツルツルな気がします。
毎日温泉に入ることって、実は最強のスキンケアなのかも?と思ったいろはね研究員なのでした。
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください!↓
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肌の感覚は意外と鈍い?⑤
皆さんこんにちは!いろはねです!
この間は節分でしたね。
124年ぶりに節分が2月2日ということを聞いて、なんだか特別な気分になりました。
私はこの歳になっても毎年家族みんなで豆まきをします。
(豆むき出しだと掃除が大変なので、袋に入った状態ですが(笑))
その後年齢分、豆を食べるのですが、20個食べたところでもうギブアップでした…
気持ちだけでも福を身体に取り込んだということでまあ良いでしょう!
毎日を幸せに過ごすためにも、日本の風習は継承していきたいですね。
さて、本題に入ります。
いよいよこの話題も最後となりました。
前回はグリセリンとヒアルロン酸を組み合わせたら使用感はどのようになるのか?
というのをまとめさせていただきました。
グリセリンの配合量が多ければ、べたつきや厚みがしっかりと感じられ、
逆にヒアルロン酸の配合量が多ければ、キシキシとした被膜感がしっかりと感じられ、
配合量の違いによってそれぞれの特徴が大きく表れる結果となりました。
そして、今回は前回の応用編となります。
グリセリンとヒアルロン酸だけではなく、他の代表的な保湿成分も配合し、
簡単な化粧水を作ります。
それの使用感はどんなものなのか!というのをまとめていきたいと思います。
E. 1-②(グリセリン10%)+ 2-②(グリセリン5%+ヒアルロン酸0.05%)
こちらですね。
最も良い配合バランスとして、Eが挙がりました。
これに下記の保湿成分を仲間に入れ、簡単な化粧水を作ります。
・1,3-ブチレングリコール(以下1,3-BGと表記)
・PCA-Na(ピロリドンカルボン酸ナトリウム)
・ベタイン
これら保湿成分の簡単な説明は、こちらの記事に記載しておりますので、
良ければ合わせてお読みください!↓
詳しい配合量は下記の通りです。
①グリセリン 10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 5%
②グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 1%
③グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 4%/PCA-Na 1%
④グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 5%/PCA-Na 2%/ベタイン 1%
計4種類の簡単な化粧水を作りました。
これらの保湿成分が追加されたことによって何が変わるのかを集中して比較しました。
それでは早速本題の結果にいきましょう!
〇結果〇
①グリセリン 10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 5%
⇒1,3-BGが入ったことにより、最も違うなと感じたのは、肌に滑らかに伸びていく感触です。
もともと1,3-BG自体が、グリセリンより軽く、滑らかにスルスルと滑っていくような感触ですので、それが①でも特徴として現れたのではないかと思いました。
グリセリンとヒアルロン酸だけではどうしてもギシギシと肌に引っかかるような感覚が強く、あまり良い使用感とは思わなかったため、1,3-BGが入っただけでここまで感触が良くなるなんて!という驚きもありました。
ほとんどの化粧品に配合されている1,3-BGですが、その保湿性能の高さだけではなく、
感触改良の意味としても配合されているのではないかと感じました。
②グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 1%
⇒①より1,3-BGの配合量が5分の1に減っただけで、またグリセリンとヒアルロン酸の特徴が前に出てきたように感じました。
しかし、1,3-BGが1%配合されているだけでも少し肌への滑らかさというのはあり、
改めて1,3-BGが入ることでの感触の良さというものを感じました。
③グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 4%/PCA-Na 1%
⇒今度はPCA-Naが加わりましたね!
ここでは保湿力の違いを大きく感じました。
PCA-Naが加わったことにより、後肌の保湿感が向上したように感じました。
配合量が分かっているので、数字のマジックということもあり得ますが…
それでも①や②に比べ、明らかに後肌のしっとり感が高まったように感じました。
④グリセリン10%/ヒアルロン酸 0.05%/1,3-BG 5%/PCA-Na 2%/ベタイン 1%
⇒今度はベタインも加わりましたね!
これにより、さらに後肌のしっとり感+吸い付くようなぺたぺた感も感じました。
ここまで保湿成分が揃うと、いよいよ化粧水として形ができてきたのではないかという印象でした。
前回まではグリセリンとヒアルロン酸のみでしたので、それぞれの特徴が前に出すぎて、使用感にまとまりがありませんでしたが、ここまで保湿成分が揃ってくると…
・程良い厚み、とろみ(グリセリン)
・ツルツルと肌へ伸びていき、うるおいをたっぷり閉じ込める(ヒアルロン酸)
・滑らかなテクスチャー(1,3-BG)
・後肌の吸い付くようなしっとり感(PCA-Na、ベタイン)
というように、これらそれぞれの特徴がバランス良く機能することで、
まとまりのある使用感へと近づいたように感じました。
最初1,3-BGだけが加わった時は、感触の違いが大きく出て感動しましたが、
さらにPCA-Naやベタインが加わることによって後肌の吸い付くようなしっとり感が高まるという結果にも驚きました。
化粧品に当たり前のように配合されている保湿成分も、
バラバラにすればそれぞれの特徴が大きく表れる。
そしてそれらをバランス良く配合することで、初めて使用感の良さや保湿力の向上につながるのだなということを、この実験を通して学ぶことができました。
「化粧品は混ぜ物」という言葉をよく聞きましたが、本当にそうだなと心から実感した実験となりました。
ここから代表的な保湿成分を他にも色々と配合して調整すれば、立派な化粧水になる気がした、いろはね研究員なのでした。
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