新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

化粧品の品質管理②

 

皆さんこんにちは!

近所ではやっとセミ達が賑やかに鳴き始め、おっ!夏本番きたか!と思いきや…

関東の梅雨明けが8月になるかもしれないというニュースを見て驚愕しております…

じっとりジメジメな毎日が続いていて気分は落ち込みがちですが、

この時期一つだけ良いことと言えば、お肌が乾燥しにくいところですかね(笑)

クーラーの効いた部屋では油断大敵ですが…!

 

さて前回に引き続き、化粧品の品質管理についてお話していきたいと思います!

今回は安定性試験の中から一つ、「加速試験」について、一体どのような試験があるのかをまとめていきたいと思います!

 

<安定性試験>

前回の復習も含めて…

化粧品の安定性は3年以上の品質維持をすることが薬機法において定められています!

しかし、3年以上も試験を行い続けるのは時間やコスト的に厳しいため、

対象の検体を様々な悪環境に投じ、その品質状態を加速させることで3年以上の品質維持ができるかどうかを予測しています!

この試験を一般的に「加速試験」と呼びます!

①環境加速試験(促進試験)

これはGMP基準においてガイドラインが定められています!

試験方法は、

温度40℃

湿度75%RH(±5%)

期間6か月

の環境下に検体を保管することを基準としています!

これに則り、対象の検体が3年以上の品質維持をできるのかどうかを経過観察していきます!

私の場合は、試作品を作った日から、まずは1週間後、1か月後、3か月後…という流れで検体がどのように変化していくのかをデータ化し、細かくチェックしています!

しかし最近では、この6か月という試験期間は長く、メーカーさんによってはさらに過酷な条件を自社基準として設定し、45℃で1か月50℃で3か月といった、

もう少し短いスパンで試験を行うところもあるようです!

その理由としては、化粧品の製造&販売許可の届け出が関わっています!

今まで化粧品の製造&販売許可は認可制だったので、許可が下りるまではある程度時間がありました。

なので、6か月という期間でしっかりと試験を行うことができました。

これが2000年以降に届出制へと変更され、特に問題がなければ届出をした翌日には化粧品の製造&販売が可能になるという制度になりました!

化粧品の販売名を地方自治体の薬務課に届け出れば、翌日からすぐに製造&販売ができるというシステムです!

つまり、昔に比べスピーディーに化粧品の製造&販売が行えるようになったため、

6か月という試験期間を設けることが厳しくなり、さらに過酷な条件を自社で設定し、短い期間で試験を行うメーカーさんが増えているということなのですね!

 

②エマルジョン安定性加速試験

この試験には遠心分離機を用います!

エマルジョンと言えば、乳液やクリームが代表的ですよね!

油と水の相反する物質同士を界面活性剤を用いて乳化することで、エマルジョンが形成されます。

この乳化状態が不十分だと、エマルジョンの粒子が粗い状態となり、時間とともに油と水が分離していってしまうのです!

また、メイク用品などでは液中に粉体成分が分散されているリキッドファンデーションのようなアイテムも粉体成分が沈殿するリスクがあります

分離や沈殿などの現象は、比重の違いによって時間の経過と共に起こります!

エマルジョン安定性加速試験は、遠心分離機を用いることで、その時間を一気に短縮し、強制的にこれらの現象を引き起こす試験なのです!

これによって、分離や沈殿が生じなければ、検体はかなり安定的な状態であるということになります!

 

③過酷試験 

この試験は、検体が様々な悪環境に耐えることができるかを見る試験になります!

どのような悪環境に投じるかというと…

・氷結試験 

水が氷る温度の0℃以下を基準として、-5℃辺りで検体を保管します!

化粧品が寒冷地などで低温下に置かれ、その後室温に戻したときに元の正常な品質を保つことができるかどうかを確認する試験になります。

しかし、このような過酷な状況下に長期間保管されるケースはあまりないため、数日~1か月程度までの短い試験期間となっています!

・低温耐性試験 

この試験は冬場の一般家庭の室温を想定し、5℃程度を基準に6か月間試験が行われます!

・悪環境耐性試験

こちらは、低温5℃と高温40℃を断続的に10サイクル程繰り返して試験を行います

この試験はサイクルテストとも呼ばれ、化粧品の流通では低温と高温にさらされることもあるので、その温度差に耐えることができるかを見る試験になります!

・紫外線暴露試験

直射日光はもちろん、蛍光灯の光からも微弱な紫外線が出ています!

それらに化粧品がさらされても、品質の劣化が起きないか確認する必要があります!

この試験では、自然の太陽光やUV灯などに10日間程化粧品を置き、品質に変化がないかを判断しています!

容器のお話をすると、よく茶色いガラス瓶の容器に入れられている化粧品がありますよね!あれは容器自体が紫外線遮蔽できるタイプになるので、それで中身を紫外線から守っているのですね!

・振動耐性試験

化粧品の流通では、輸送中の振動などによって品質に影響が出ることがあります。

これを予測するために、特別な振動機を用いて、検体に断続的に振動を与え、品質の劣化が起きるかどうかを試験します

 

加速試験だけでもこんなにあるんですよね…!

ここにまとめただけではなく、各メーカーさんは過去のデータを元に、

独自の試験方法を交えて様々な対策をされていると思います!

普段皆さんが使用している化粧品も、これらの試験を乗り越えてきた精鋭部隊ということになるのですね!

化粧品がさらされる様々な環境リスクを想定するからこそ、これだけの試験数があるのだなと感心するいろはね研究員なのでした。

続きはまた次回に!

 

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