新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

鉱物油は悪者なの?

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたでしょうか?

残念ながら緊急事態宣言とバッチリ重なってしまい、不自由な連休を過ごされた方、

予定を諦めざるを得なかった方、たくさんいらっしゃったかと思います。

早く心苦しい毎日から脱して自由な生活に戻りたいですね…!

休み明けで少し頭が寝ぼけているいろはねですが、ここでビシッと気を引き締めていきたいと思います。

 

さて、今回はまたガラッと話題を変えまして、鉱物油についてお話したいと思います。

皆さんは「鉱物油」と聞くとどんなイメージを持たれますか?

やはり、なんとなく肌に悪そう…と思われる方がほとんどかもしれませんね。

最近は鉱物油を使用せず、植物油をメインとした自然派な化粧品も多く、

それらには「鉱物油フリー」などの言葉が当たり前のように記載されていますよね。

では、なぜ鉱物油はあまり良いイメージを持たれていないのでしょうか?

鉱物油って肌に悪いんだ…で終わってしまっては化粧品技術者としてありえません。

なぜそのように言われているの?

実際のところ本当に肌に悪いの?

ここの辺りをしっかりと追求しなければなりませんよね。

ということで、今回はこれらについてまとめていきたいと思います。

 

〇鉱物油とは?〇

毎回おなじみ、基礎知識の復習から参ります!

鉱物油とは、石油から精製して得られる成分のことを指します。

化粧品の全成分表示においては、

ミネラルオイルワセリンパラフィン流動パラフィンなどがこれに該当します。

鉱物油は嫌われていると言えど、どれも様々な化粧品に広く使用されています。

ちなみに、石油から精製というのは一体どういうことなのかと言いますと…

石油はそもそも、土壌から採掘された「原油」から不純物が取り除かれたもののことを指します。

つまり、地下で長い年月をかけて変化したもので、自然が生み出した産物なのです。

いわば、生物の化石燃料というところでしょうか。

これを沸点の低い成分から順に分離することを「分留」と呼び、

分留された成分達は、それぞれ様々な分野で活躍しています。

例えば沸点の低い成分は、主に燃料として使われており、

気体⇒メタンガス、プロパンガスなど

液体⇒灯油、ガソリン、軽油重油など

といった感じに分かれます。全部聞いたことのあるものですよね!

このように沸点の低い成分からどんどん分離されていき、沸点の高い成分が残されていきます。精製

この沸点の高い成分が、化粧品にも使用されているミネラルオイルやワセリンなどなど…ということになるのですね。

 

〇鉱物油があまり良いイメージを持たれていない理由とは?〇

ここからが本題です。

ミネラルオイルやワセリンは、石油を分留して精製されていると書きました。

実は…

昔はまだこの精製技術が低く、本来は取り除かれているはずの沸点の低い成分達が不純物として残っていることがありました。

この沸点の低い成分というのは、炭素数(C)の少ない成分のことを指します。

この内、気体であるメタンガスやプロパンガスなどは、

前々回のブログにも書きましたが、

炭化水素の炭素数1からメタン<エタン<プロパン<ブタン<・・・

という風に化学名が決められていましたよね。

つまり、「メタン」ガス、「プロパン」ガスと、いずれも炭素数が1~3と少ないため、気化しやすく一番最初の方に分留されるのです。

この素数が少ない=分子が小さい=皮膚に浸透してしまう恐れがある

という関係性から不純物としてみなされ、

石油由来の鉱物油が危険視されてしまったのです。

 

〇今は安全なの?〇

安全と言われています!

現代では精製技術も格段に進歩し、化粧品に使用される鉱物油は、ほぼ100%に近い精製度で生み出されているのだそうです。

その技術もあってか、特にワセリンは「白色ワセリン」と呼ばれる医薬品の軟膏に使用されている成分もあります。

それほど、不純物のないピュアな成分であり、肌への刺激も少ないということですよね。

鉱物油は非常に安定性が高いというところがメリットなのです。

ただし、一つ懸念点が。

高沸点であり、炭素数の大きいミネラルオイルやワセリンだからこそ、

皮膚表面に留まって保護し、皮膚内の水分蒸散を防いでくれる為、

非常に重宝されているのですが…

皮膚表面に留まることで、毛穴を塞いでしまう場合もあるため、それによって肌トラブルを招いてしまう肌質の方は気を付けなければなりません。

ですが、鉱物油が入っているからと言って全て悪ということではなく、

良い所もあるんだな、ということは知っておいて損はないと思います!

 

それにしても石油って土壌から採掘しているわけですから、いつか枯渇してしまうのではないか?というのは気になるところです。

持続可能な開発目標として今流行りのSDGsに当てはめることはできませんね。

なるべく石油を使用しない技術が、これからどんどん増えていくのだろうなと思った

いろはね研究員なのでした。

  

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