研修記録~保湿成分の特性を肌で感じるー糖類編ー~
皆さん、新年あけましておめでとうございます!いろはねです!
昨年はお忙しい中このブログをお読みくださり本当にありがとうございました。
今年は果たしてどんな一年になるのでしょうか!ドキドキな私ですが、
これからもこちらの奮闘記を温かい目で見守っていただければ幸いです。
本年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
では早速、今年も張り切ってまいりましょう!
今回は前回の続き、~保湿成分の特性を肌で感じる~「糖類編」になりますね。
糖類も化粧品にとって非常に重要な存在です。
主に保湿剤としてよく配合されますが、
「糖」と聞くと、肌につけた時ベタベタしそう…なんて思われる方も多いのではないでしょうか?
実際はどうなのでしょう?気になりますよね!
ということでそれぞれを肌に付けて比較してみました。
〇糖類について〇
まずは、糖類について簡単にまとめていきたいと思います。
以前ポリマーのお話をしたときにも少し触れておりますので、気になる方はぜひ!
糖類は大きく、ブドウ糖や果糖などの単糖類と、ショ糖などの二糖類に分類されます。
また、炭水化物の一種であり、私たちが消化&吸収できる「糖質」としては、
キシリトールやソルビトールなどの糖アルコールが挙げられます。
それぞれの特徴はと言いますと…
単糖類:糖の最小単位であり、これ以上加水分解できないもの
二糖類:二つの単糖類がグリコシド結合した糖
小糖類:単糖類が2~10個ほど結合した糖
多糖類:多数の単糖類が数十~数千個重合してできた糖
糖アルコール:糖質の構造中のアルデヒド基(-CHO基)を還元し、ヒドロキシ基(-OH基)に変換することにより製造される糖
糖アルコールは、構造中に通常のアルコールと同じくヒドロキシ基(-OH基)を有する為、このように呼ばれています。
前回お話しした多価アルコールも構造中にヒドロキシ基(-OH基)を持っていましたね。
糖アルコールは、食品業界では甘味料の一つです。
砂糖の数百倍もの甘味度を持ち、体内で消化されにくい性質を持つ為、多くの食品に使用されています。
このように、糖類も構造の違いによって大まかに分類されています。
〇比較した糖類〇
②トレハロース
⑤ショ糖(スクロース)←おまけ
これら5種類は全て粉末状ですので、それぞれ10%水溶液を作成し、使用感の比較を行いました。
おまけのショ糖は、化粧品に配合されることはありませんが、
なじみ深いものを実際肌につけるとどのような感触なのか?
他の糖類と比較してどのような使用感なのか?
ということが気になりましたので、今回こちらも比較しました。
まず、これらの特徴は…
①キシリトール ⇒ 糖アルコール
・白色の結晶または結晶性の粉末で、においはなく甘みが強い
・あまり化粧品に配合されることは少ないが、配合すると保湿力があるにも関わらず、使用時のべたつきが少ない
②トレハロース ⇒ 二糖類(単糖類のグルコース2分子が結合している)
・高い保水力を持つ
自然界に存在している糖で、キノコ類や植物、微生物の細胞に含まれている。
例えば干し椎茸が水に漬けるだけで元の姿に戻るのは、トレハロースの保水力が影響していると言われている。
・皮膚との親和性及び浸透性は低く、吸湿性もほとんどないが、保湿性は確認されている
③マルチトール ⇒ 糖アルコール
・ソルビトールほどではないが、吸湿性、保湿性に優れている
・温度変化に影響されることが少なく、一定の水分を保持することが可能
・グリセリンとほぼ同じくらいの保湿効果だと言われている
④ソルビトール ⇒ 糖アルコール
・単糖類のグルコースを還元し、得られる糖アルコール
・低カロリーの甘味料としてよく食品に用いられている
・糖アルコールの中でも吸湿性、保水性に優れている
・べたつきが強い
⑤ショ糖(スクロース) ⇒ 二糖類(単糖類のグルコースとフルクトースが結合している)
・食用の甘味料として多量に生産され、使用されている
これらの構造や特徴を知ったところで、実際自分の肌に塗布しました。
①キシリトール ⇒ 糖アルコール
塗布時:ほとんどべたつきを感じなかった
後肌:ほんの少しぺたぺたと肌が張り付く感覚があった
その後どんどん肌がサラサラになり、しっとり感は残らなかったため、保湿成分としては向かないように感じました。
②トレハロース ⇒ 二糖類(単糖類のグルコース2分子が結合している)
塗布時:塗布した瞬間ギシギシと肌に引っかかるような感覚
後肌:キュッととまるような感触とべたつきも少し感じた
肌表面に残る感覚があり、特徴の通り皮膚への浸透性は低いのだな感じました。
③マルチトール ⇒ 糖アルコール
塗布時:肌にキュッキュと引っかかるような感触で、滑らかさはない
後肌:トレハロースよりもべたつきが強いと感じた
他の糖類と違って、塗布後時間が経過してもそのままべたつきが残るような感覚がありました。
グリセリンとほぼ同じくらいの保湿力ということも納得できる結果となりました。
④ソルビトール ⇒ 糖アルコール
塗布時:ギシギシ感はそこまで強くない
後肌:トレハロースと同等のべたつき感だった
特徴では、べたつきが強いということでしたが、マルチトールよりべたつきを感じない結果となりました。
⑤ショ糖(スクロース) ⇒ 二糖類(単糖類のグルコースとフルクトースが結合している)
塗布時:ほかの糖類に比べ、滑らかに伸びていく感覚があった
後肌:砂糖特有のべたつきが非常に強かった
ショ糖はイメージ通り、砂糖特有のべたつきを顕著に感じました。
ということで、以上5つの糖類の比較を行いましたが、
多価アルコールに比べて、構造に大きな違いがあるため、経験の浅い私でもわかる程、
使用感が異なる結果となりました。
実際糖類をつけてみて思ったのは、想像以上にべたつかなかったことです。
確かにイメージ通り、ショ糖は砂糖特有のべたつきを強く感じたのですが、
他の4種類は表面をほどよく保護してくれているなと感じるべたつきでした。
糖類のイメージとは異なる結果となり、非常に勉強になりました。
このように、原料自体に直接触れ、その使用感を比較することは非常に重要で、
試作した化粧品の使用感は、一つ一つの原料が複雑に絡み合って表現されています。
そこで、このしっとり感はどの原料が演出してくれているのだろう。
もう少し使用感を軽くしたいけど、どの成分の配合量をいじろうか…
そんな判断をするのに、研修期間中経験した原料の使用感・特性の比較が非常に役立ちます。
まだまだ未熟な感覚なので、これからどんどん経験を積み、
磨いていきたいと思ういろはね研究員なのでした。
いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください!↓
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