新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

一人前のコスメ技術者を目指すいろはね研究員のリアルな日常をお届け

クレンジング開発の裏側②

 

皆さんこんにちは!いろはねです!

前回はクレンジングバーム開発の裏側に迫りました。

今回もその続きになります。

まずは前回のおさらいから参りましょう!

高品質なクレンジングを開発する為に重要なのはなんだったでしょうか?

<其の一>

オイルと相性の良い界面活性剤を選択するべし!

⇒クレンジングバームの品質を大きく左右する2大成分「オイル」と「界面活性剤」。

これらの相性が良くなければクレンジング力を上手く発揮することはできません。

そこで、同じ構造で重合度が異なる界面活性剤を2,3種類用意し、

オイル(エステル油or植物オイル)にそれらがしっかりと相溶するかどうかを確認する実験が必要でした。

私がその時使用したのは、トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルと、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルの2種類でした。

 

<其の二>

クレンジング力を比較するべし!

⇒ オイルと界面活性剤の相性が良かったとしても、クレンジング力がなければ意味がありません。

そこで、エステル油+各界面活性剤でそれぞれクレンジング力テストを行い、良い結果が出た界面活性剤を選択します。

ここで重要となったのが界面活性剤のHLBでした。

私が実験で使用した、

トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルは、HLB 3

トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルは、HLB 8

クレンジング力が高かったのはトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルでした。

HLBは、高い方が親水性であるため、水と馴染みやすく、容易にメイクと乳化し、洗浄後のメイク落ちが良かったのではないかという結論に。

このように、同じ構造で重合度の異なる界面活性剤を選択したことによって、なぜクレンジング力に差が出たのかも比較しやすくなりました。

前回のブログに詳しい内容をまとめておりますので、合わせてお読みください(^^)↓

sawayaka0302.hatenablog.com

さて、エステル油+界面活性剤の高いクレンジング力とベストな組み合わせを見つけられたところで、次のステップへと参ります!

 

~其の三~

界面活性剤の配合量を探るべし!

其の二で界面活性剤の選定をしましたので、今度は配合量を決めていく番です。

ここでのポイントは、

クレンジング力の高さ

洗浄後のしっとり感

これらのバランスが最も良い配合量を定めることです。

クレンジングで最も重要なのはクレンジング力ですが、そこに焦点を当てすぎて配合量を定めてしまうと、洗浄力が強すぎて後肌がパサパサに…それを避けるためにも、この基本ベースをしっかりと見極める必要があります。

〇実験方法〇

私の時は、すでにお手本となる処方がありましたので、それを基準に界面活性剤の配合量を決めました。

(お手本の処方は、界面活性剤の配合量が15%でした)

界面活性剤の配合量を5%・10%・15%と3段階に振り分け、エステル油+界面活性剤+ポリエチレン、と非常にシンプルなクレンジングバームを作成し、使用感の比較を行いました。

結果は…?

・界面活性剤5

⇒洗浄時の乳化力が物足りない

メイクが少し残っているような印象だったが、しっとり感はある

・界面活性剤10

⇒洗浄時の乳化力も程よく、後肌のしっとり感も残っていて非常にバランスが良い

・界面活性剤15

⇒洗浄力が高く、後肌のさっぱり感が非常に爽快であり、個人的には好みであったがポイントとしているしっとり感があまり感じられなかった

この結果から、クレンジング力・しっとり感ともにバランスが良かったのは界面活性剤10%配合のクレンジングバームでした。

このように、非常にシンプルな設計であったこともあり、界面活性剤の能力をダイレクトに観察することができました。

いきなり色々な成分を組み合わせて設計をするのではなく、まずは肝となる成分のみでシンプルに使用感チェックを行ってから、そこに様々な味付けをしていくという手順が化粧品開発において最も重要であると学ぶことができました。

ただ闇雲に配合量を決めてしまうと、クレンジングバームならまだわかりやすいですが、もっと複雑な乳液やクリームなどの乳化アイテムは、後々改良をするときに困ってしまうのです。

もう少し粘度を上げたいな。もう少ししっとりさせたいな。

でも何を変えれば一番影響が出るのか?

何が影響してこの使用感が出ているのか?

原因を見極めるのが非常に難しくなります。

そうすると軸がブレて色々なところに手を付けてしまい、余計にめちゃくちゃな処方になってしまうという悪循環に…

シンプルでかつ高品質な化粧品開発に必要なのは、軸をブレさせない為の基礎実験も非常に重要であるということなのですね!

 

一つ一つ順を追って実験をしていくことで、着々と完成に近づいていく…この感覚に非常にワクワクしたいろはね研究員なのでした。

 

いろはね研究員の師匠こと美里康人先生の専門的でためになるブログと、そのアシスタントゆっきーさんのブログもぜひご覧ください。↓

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