頭皮に優しいヘアシャンプーの設計②
皆さんこんにちは!いろはねです!
頭皮に優しいヘアシャンプーの設計、第2弾ですね!
前回は、洗浄剤の種類や特徴についてまとめさせていただきました。
頭皮と肌って同じ皮膚でも構造が異なるので、スキンケアメインでお仕事をさせていただいている私からしたら、まだまだヘアケア界隈は未知なる世界です…
そんな私はこの間、ヘアシャンプーを試作する機会がありまして、
その処方設計をする上で、
成分一つ一つに大きな意味があることを知り、ヘアケア部門は想像以上に奥深い…!と感じました。
さて、今回はそんな「頭皮に優しい」ヘアシャンプーの処方設計において、
意識されている基本的なポイントをお話していきたいと思います。
〇処方設計のポイント〇
化粧品の設計はイメージから!
ということで、まずは図にしてから細かいお話に入ろうと思います。
頭皮に優しいヘアシャンプーの設計図はこんな感じです。
①アミノ酸系洗浄成分
ここの設計がヘアシャンプーの特徴を形作ります。(特に泡立ち)
もこもこと泡立つのが良いのか、きめ細かい濃密な泡が良いのか、
高い保湿力が欲しい…など、どのような特徴を出すかによって配合する洗浄成分が決められています。
その為使用するのは1種類だけではなく、2~3種類ほどブレンドして配合されているヘアシャンプーが多いのではないかと思います。
それは洗浄成分ごとに泡立ちや洗浄力、保湿力などの特徴が異なるからなんですね。
例えば、以下の条件でヘアシャンプーを作るとしたら…
・洗浄力が高く、泡立ちが良いもの
・保湿力も欲しい
一つ目の条件には、アミノ酸系洗浄成分の中で最も泡立ちが良く、
洗浄力もやや強いアラニン系をベースにし、
二つ目の保湿力においてはグルタミン酸系を選択してあげるとクリアできますね。
このように、条件を設定してそれに合った洗浄成分を選んで配合比率を考えていきます。
②両性界面活性剤
両性界面活性剤は、カチオン性(プラス)とアニオン性(マイナス)どちらの性質も持つ界面活性剤のことを指します。
アニオン性界面活性剤と併用することによって気泡力が強まり、
きめ細かいクリーミーな泡質を演出できるため、ヘアシャンプーやボディソープ、
洗顔などによく配合されています。
また、アニオン性界面活性剤はその洗浄力の高さから皮膚への刺激性が高いと言われているのですが、この両性界面活性剤を配合することによってその刺激を緩和することができます。
実は、①で挙げたアミノ酸系洗浄成分も洗浄力がありますので、アニオン性です。
もちろんラウリル硫酸系に比べますと、構造的に油分を掴む力が穏やかですし、
保湿成分を残しながら優しく洗い上げてくれる為、大きな刺激があるわけではありませんが…
どうしてもアニオン性ということで、これだけでは髪の毛がキシキシしてしまったり、パサパサになってしまうこともあります。
その欠点を補う為に両性界面活性剤を少し配合し、
刺激の緩和かつ、ある程度のトリートメント効果を期待しているのですね。
③非イオン(ノニオン)界面活性剤
☆気泡力の補助
最も泡立ちが良いとされているアラニン系でも、ラウリル硫酸系などの有名なアニオン性界面活性剤に比べると洗浄力や泡立ちは劣ります。
頭皮に優しいという意味では非常に優秀なのですが、どうしてもアミノ酸系洗浄成分は、全体的にわしゃわしゃとした粗めの泡立ちになってしまうのが欠点です。
そこを補うために、②の両性界面活性剤も配合しているのですが、こちらも頭皮に優しい代わりに洗浄力や泡立ちがそこまで強くはありません。
そのため、①と②を補強するための気包剤が改めて必要ということですね。
ノニオン界面活性剤はイオンを持ちませんので、汚れを落とす効果はありませんが、
起泡性や増泡性に優れている為、①や②の泡立ちの補助剤として配合します。
☆洗浄力の補助
ノニオン界面活性剤は気泡力だけではなく、洗浄力の補助としても活躍します。
洗浄力の高さって皆さんは何で判断しますか?
おそらくほとんどの方が泡立ちの高さで判断するのではないかなと思います。
濃密な泡が立てられれば汚れが落ちるというイメージが強いですよね。
しかし、もう一つ汚れを落とすという意味では、油を浮かして絡め取る「乳化」がありました。
シャンプーによっては乳化力の高いノニオン界面活性剤を味付けに配合したりすることによって、泡立ち以外の洗浄力の補強をし、
洗い上がりのさっぱり感を演出しているものもあります。
④陽イオン(カチオン)界面活性剤
☆トリートメント効果の付与
これの配合比率としては微量です。
ここまでお話してきたベースは、アニオンがメインになっている為、そこへプラスのイオンを持つ界面活性剤を配合することによって、毛髪にそれが吸着するのを狙っています。
☆コアソルベート技術
アニオンとカチオンの反発し合う成分を配合すると、本来は泡も立たなくなりますし、洗浄力も落ちてしまうのですが、アニオンに対してほんの少しカチオンを入れてあげることによって、それらが結合し、水に溶けない不溶性のトリートメント成分が生成されます。
それが「コアソルベート」です。
これがあれば、指通りを良くする有名なシリコーンを配合しなくてもトリートメント効果が得られる為、よく聞くノンシリコンシャンプーにはこの技術が使われています。
頭皮に優しいヘアシャンプーの設計ポイントは以上になります!
これらの配合比率やどのような界面活性剤を使用するかによって、ヘアシャンプーに特徴がつけられているのですね。
残りは、美容成分や香料などが微量に添加されるくらいですかね。
ヘアシャンプーは、それぞれの成分の利点を生かし、欠点は補い合うような、
精巧な設計になっていたのだなと知り、感動したいろはね研究員なのでした。
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