NMNって何?
皆さんこんにちは!いろはねです!
先週は雨続きの毎日でしたね。
気圧の変動に私もタジタジでした…
そこで、自律神経を整えるために、毎晩ゼラニウムとフランキンセンスのブレンドアロマを焚いて寝るようにしましたら、気圧の変動に伴う体調の変化が少なくなりました!
ゼラニウムには自律神経を整える効果が、フランキンセンスにはリラックス効果があると言われています。
そのおかげなのか、前までは頭痛で大変だったのが今はほとんどないのです。
アロマの力は計り知れないなと驚いた今日この頃です。
皆さんもアロマディヒューザーをお持ちであれば、ぜひ!やってみてください。
さて、本題に入りましょう。
少し前から化粧品業界でも話題になっている「NMN」という成分。
皆さんはご存じですか?
私は最近この成分を知ったのですが…
どうやら若返りができるだとか、老化防止してくれるだとか…
これらのワード、かなりインパクトがありますよね。
個人的に、本当にそんな都合の良い成分あるの?と疑ってしまうような…
そんなNMNですが、最近私の周りでもよく耳にするようになり、
実際に原料に触れて実験をするようにもなりましたので、自分で色々調べてみようと思いました!
今回はそれについてまとめていきたいと思います。
〇NMNとは?〇
「ニコチンアミドモノヌクレオチド」の略称です。
ビタミンB3群の中に含まれている物質のこと。
あらゆる生物の細胞に本来存在していて、体内で自然に生成されています。
しかし、老化と共にその生成能力は衰えていってしまいます。
その結果、様々な身体機能が低下していき、老化が始まっていくと言われています。
つまり、NMNは私たちの身体を若く健康に保つために機能してくれている物質ということなのですね。
最近は、NMNカプセルも販売されていて、アメリカや中国、日本の富裕層を中心に、老化を遅らせ、身体機能を若く保つことが期待できるサプリメントとして人気なのだそうです。
〇なぜ若返り成分と呼ばれているのか?〇
最近の研究では、遺伝子解析技術なども大きく進歩し、
その中で老化現象をコントロールする「長寿遺伝子」の存在が分かってきました。
長寿遺伝子(別名:サーチュイン遺伝子)とは、
老化の原因となる活性酸素を消したり、免疫細胞を正常化させる「サーチュイン」という酵素を作りだす遺伝子のことを指します。
この長寿遺伝子は全部で7種類あるのですが、これらは普段十分に機能しておらず、ほぼ眠ったような状態です。
せっかく体の中に備わっているのにほとんど機能していないなんて…
つまり、この長寿遺伝子を人為的に目覚めさせることができれば、老化現象のコントロール=若返りを実現することができるのではないか?!
という推論が立てられたわけなんですね。
そして、この推論を実現したのが、今回話題に挙げた「NMN」だったのです。
NMNは7種類全ての長寿遺伝子を目覚めさせる能力を持つため、
NMNを身体に補充してあげることによって、老化現象により衰えた臓器が蘇ったり、失いつつあるあらゆる身体の機能を補整する効果が得られるのではないかと考えられています。
〇本当に若返り効果はあるの?〇
マウスでの実験にはなりますが、かなりの老化抑制効果が見られたのだそうです。
実験結果としては、生後22か月(人間で言えば60歳)の年老いたマウスに一週間継続してNMNを飲ませたところ、生後6か月(人間では20歳)の身体に若返ったというデータがあるのです。
1週間でマイナス40歳…?
しかも細胞の活性化レベルも、年老いているはずなのに若いマウスと同じレベルに達していたというのです。
凄まじい抗老化効果ですね。
なぜここまで若返ることができたのでしょうか?
これには脳の視床下部が関わっています。
最新の研究で、視床下部は全身の組織に老化を止める強い指令を出すことが分かってきています。
しかし、この機能も歳を取ると共に弱まっていきます。
NMNはこの視床下部をも刺激し、全身の組織への指令を再び強くさせる可能性があることが分かってきたのだそうです。
この研究が進めば、年齢は重ねているけど見た目は若い、なんてことが現実になりつつあるのかもしれません。
ちなみに、今回のNMNについての記事は2015年1月4日にNHKで放送された番組、「NEXT WORLD ―私たちの未来―」を元にまとめさせていただきました。
見ることができる方はお時間がある時にぜひ!
遺伝子やヒトゲノム、医療技術の最前線をここで見ることができます。
NMN配合の化粧品も少しずつ増えてきているようですが、今はまだ、サプリメントで体内へ吸収させる形が主流なのかな?と思います。
そうするとどうしても他の臓器にNMNの効果が割り振られてしまい、肌への効果までは中々到達できないのかもしれません。
なので、化粧品に配合し、皮膚に直接浸透させることができれば、ダイレクトに老化現象で衰えた肌の機能をよみがえらせることができるのかもしれませんね!
そんな高い抗老化効果を持つNMN…これから美容業界ではどのように飛躍していくのでしょうか?
NMNってこんなにすごい成分だったのか…と同時に、遺伝子や抗老化研究の最前線にいる方々の努力によって、このような化粧品に繋がる革新的な成分が発見されているのだなと感動した、いろはね研究員なのでした。
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皮膚の成長因子って何?
皆さんこんにちは!いろはねです!
今回は肌の機能に関するお話をしていきたいと思います。
さて、肌の機能と言えば、皆さんは何を連想するでしょうか?
私は…
<表皮なら>
・外的刺激や異物から肌を守るバリア機能
・うるおい保持機能
・約28日間かけて細胞が生成、成長、アカとなって排出されていくターンオーバー
<真皮なら>
・肌のハリや弾力を司るコラーゲンやエラスチン
などなど…
こうして改めて見ると、皮膚は非常に緻密で精巧に作られており、
毎日休まず様々な機能を働かせて私たちの肌を健やかに保とうとしてくれています。
しかし、紫外線や摩擦などの外的刺激やストレス、加齢などが影響すると、
これらが上手く機能できなくなり、様々な肌悩みやトラブルを引き起こしてしまいます。
化粧品は肌を美しくする、というのが大前提ですが、
肌の構造&機能に絡めて定義しますと、肌の機能を手助けするアイテムとも言えるのではないでしょうか。
そして、この機能自体に働きかけるような成分があるのをご存じでしょうか?
それが、今回題名に掲げた「皮膚の成長因子=グロスファクター(GF)」です!
これは一体何ぞや!というのが今回の内容です。
それでは参りましょう。
<成長因子=グロスファクターとは?>
私達の体内で全ての細胞の増殖をコントロールする働きを持つたんぱく質の一種なのだそうです。
細胞成長因子、細胞増殖因子とも言われています。
そもそも私たちの体(細胞、骨、筋肉)は「ヒト成長ホルモン」というホルモンによって成長します。
しかし、このホルモンは思春期をピークに20代後半から急激に分泌が減少してしまうと言われています。
これにより、様々な老化現象が起きてしまうのですね。
そして、このヒト成長ホルモンを活性化する物質が成長因子なんだそうです。
<成長因子の種類>
成長因子にも様々な種類があるらしく、美肌へ導く代表的な成長因子は以下の4種類になります。
①EGF(ヒトオリゴペプチド-1)
Epidermal Growth Factorの略語。
「上皮細胞増殖因子」や「上皮細胞成長因子」とも呼ばれています。
表皮細胞の成長に重要な役割を担っている53個のアミノ酸から形成されるペプチドです。
つまり、主に表皮細胞に働きかける成長因子ということですね。
そして、表皮細胞の表面に存在するEGFRという受容体と結合することで、加齢ともに乱れてくるターンオーバーを正常化し、細胞の成長や増殖を促します。
これにより、ターンオーバーの乱れからくるシミやくすみ、ごわつき、たるみ、乾燥など様々な肌トラブルを改善する効果があります。
②FGF(ヒトオリゴペプチド-13)
Fibroblast Growth Factorの略語。
「繊維芽細胞成長因子」とも呼ばれています。
154個のアミノ酸から形成されるペプチドです。
主にハリや弾力を司る真皮に働きかける成長因子ですね。
繊維芽細胞を活性化し、増殖を促す為、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの生成を行い、肌の弾力を向上させたり維持させる効果があります。
③IGF(ヒトオリゴペプチド-21)
Insulin-Like Growth Factorの略語。
「インシュリン様成長因子」とも呼ばれています。
損傷を受けた細胞の再生を助け、新しい細胞を生み出してくれる成長因子です。
これによりコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成が促進される為、肌のハリを回復させ、たるみやシワの予防と解消に効果があるとされています。
④TGF(ヒトオリゴペプチド-14)
Transforming Growth Factorの略語。
「トランスフォーミング成長因子」とも呼ばれています。
繊維芽細胞において、コラーゲンとエラスチンを生成するのに必要な因子です。
コラーゲンやエラスチンの構造を強化したり、肌にうるおいを与えて弾力を高めたり、抗炎症作用もある為敏感肌の改善にも効果があると言われています。
以上が代表的な美肌成長因子です。
他にも非常に多くのペプチドが存在します。
これらは単体だけでもそれぞれ大きな効果を持ちますが、
組み合わせることにより相乗効果が加わる為、例えば美容液などにEGF、FGF、IGFの3種類を加えて表皮、真皮、損傷を受けた細胞、3ポイントに同時にアプローチできるよう設計することもあります。
美容成分と言えば、植物エキスなどをよく連想しますが、
成長因子もこのように細胞の機能自体に働きかける効果があるため、美肌効果が期待できますよね!
成長ホルモンは20代後半から急激に分泌が減少してしまうということに衝撃を受けた私もその領域に足を踏み入れました…
スキンケアの仕方を一から考えなければならないなと危機を感じたいろはね研究員なのでした。
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測りこみって大事!
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回はイラストも盛り込んで、乳化技術についてお話させていただきました。
あのイラスト…
作るのとても頑張りましたので、まだお読みになっていない方はぜひ(笑)
私のような素人でも時間をかければなんとか形にすることができたので、パソコンってすごいなと感動した次第です。
そして、プロのイラストレーターの方々をさらに尊敬しました!
さて、今回は私達化粧品技術者のお仕事としてメイン中のメインである、原料の測りこみについてお話していきたいと思います。
化粧品といえば、各商品の全成分表示を見ると非常に多くの成分が配合されていますよね。
水や保湿成分、オイル、界面活性剤、植物エキス、防腐剤…他にも色々と。
私たち化粧品技術者は、これら多くの成分を処方に組み込み、それに従って化粧品原料を測りこみ、試作品を作成していく、ということが日常茶飯事です。
その試作品の出来を社内で評価し、未来の化粧品が決まっていきますので、責任重大です。
だからこそ試作品を作るうえで「正確に化粧品原料を測りこむ」作業は、
気を抜けない非常に大切なお仕事です。
そんな大切な測りこみというお仕事に関して、実際私達がどのようなことに注意しているのかを今回はまとめていきたいと思います。
〇測りこみに大切な事〇
① 実測値を必ずメモ
これはもう初歩的なことなのですが、非常に重要です。
試作品を作成するときは、処方に実際に測りこむ数値を記載しています。
それに従って進めていくのですが、上記でも述べましたように化粧品には非常に多くの成分が配合されているため、一度の試作に測りこむ数は多い時で数十種類にも及びます。
それらを全て間違いなく正確に測る為には、写真のように実測値をメモすることが非常に重要となります。
(写真は左が測りこむ数値、右が実測値のメモになります)
②各原料のロットNo.を必ずメモ
各化粧品原料にももちろんロットNo.が記載されています。
なぜこれもメモをするのかと言いますと、
・測りこみのミスをゼロに
・完成後の状態に何かおかしな点があった場合にその原因を探しやすくなる
といったメリットがあるからですね。
特に二つ目に注目です。
例えば、何度か試作を重ねてきたアイテムで、全く同じ原料を使っているはずなのに今までと使用感が違う…香りが違う…粘度が違う…などのトラブルが生じてしまうことがたまにあるのですね。
この要因としては、
・購入日の古い原料を使用してしまった
・原料自体の保管状態が悪く変質してしまっていた
・同じ原料だけどメーカーによって精製度が異なることによる問題
など様々です。
万が一、試作品の品質がおかしい…となった時、各原料のロットNo.を控えておくことで、どの原料が影響しているのか、後に原因を探る際役立ちます。
試作品を提出する度に品質が異なる、なんてことになっては何が正しい使用感なのか比較することもできませんし、何より試される方々を不安な気持ちにさせてしまいます。
そうならないためにもこの工程を忘れてはいけませんね。
③水の配合量を正確に調整
試作時、粉末状や固形状の原料は加熱して溶かします。
その際、水物系(化粧水、美容液、乳液、クリーム(o/w))の場合は、加熱している間に水が蒸発していってしまうため、最終的に正確な配合量ではなくなってしまいます。
さらに加熱時間や加熱温度などの違いによって、水の蒸発量も毎回変わってきますので、試作する度に粘度や外見に違いが生じたり、最終的には製造現場で製造したものとビーカーワークで作ったものとで状態の差が出てしまったりします。
再現性を取るためにも、蒸発してしまった水を調節してあげる必要があるのですね。
どのようにして調整するかと言いますと…
①空のビーカーの重さを測っておく
②完成した試作品が、
空のビーカーの重さ+本来作ろうとしていたg数(例えば400gなら400g)になればOKです。
しかし、だいたいの場合水が蒸発してしまっているためこれより少ないはずです。
その足りないg数分水を足すことによって、処方通りの配合量に整えることができます。
これらが原料の測りこみをするときに意識しているポイントです。
ここまでしても私は間違えそうになってしまうことがあるため、
試作をするときは、間違いないよな…?とたまに時間を忘れてしまうくらい集中しているときもあります。
今回この内容をまとめたのは、この工程が自分の中で流れ作業にならないようにするためです!
間違いない品質の試作品、化粧品をお客様に提供できるよう、常に全集中ですね!
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クリーム作り~目に見えない世界のお話②~
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回に続きまして、クリーム作りにおいて、目に見えない世界ではこんな現象が起こっているんだ!というお話をしていきたいと思います。
前回は、W/O、O/W型の復習と、乳化技術「転相乳化法」についてお話させていただきました。
今回は、ついに乳化技術の目に見えない部分をイメージ図化して、まとめていきます。
それでは参りましょう!
〇クリーム作り(続き)〇
<クリーム作りの手順~転相乳化法~>
①オイル(植物オイルやエステル油)+界面活性剤を加熱する。(油相)
②水相も加熱する。
③①をホモミキサーにかけながら、②を少しずつ添加していく。
④最後は手撹拌でゆっくり冷却。
という手順になります。
転相乳化法においては、特に③が非常に重要となる工程です。
つまり、ここからが本題です。
この先は③の工程をイメージ図と共にまとめていきたいと思います。
①でオイルと界面活性剤を加熱した際、溶けた界面活性剤は下のイラストのようにバラバラに存在しています。
そしてそこへ加熱した水相を少しずつ添加しますが、まだこの時はW/O型の状態です。
油相に水相が入ることによって、バラバラだった界面活性剤の親水基側が水粒子を守るように少しずつ配向していきます。
最初はまばらに配向していきますが、ホモミキサーの撹拌力によって徐々に水粒子の表面積が小さくなっていくため、界面活性剤はびっしり配向できるようになります。
水相を全て添加した時点で、油と水の割合は水の方が多い状態となっています。
また、この状態でホモミキサーをかけ続けていくと、さらに水粒子が小さくなっていきます。
そして、ある大きさまで小さくなると…
界面活性剤が水粒子の周りに配向することができなくなり、くるっと反転して逆に油を包むのです!
これが「転相」です。
そして、この転相が起こる温度が「転相温度」であり、
こうして高温時W/O型だったエマルションが冷却過程でO/W型へと大きく変化するのですね。
イメージ図化したように、エマルションの世界は目に見えませんが、
実際に転相した瞬間は見ることができるのですよ!
最初はW/O型で疎水的ですので、ぶるっとしていてゲルっぽい状態なのですが、
O/W型へと転相するとつるんとしたツヤのある状態へと大きく変化するため、
おっ!今転相したぞ!となるわけです。
つまり、クリーム作りは温度によって状態が変わっていくため、目を離さずじっと観察する必要があります。
目に見えない世界をこうしてイラストにすると、非常に乳化のメカニズムが分かりやすいですよね。
複雑で奥深い技術だからこそ、このようにイメージすることが非常に大切なのだということが学べたいろはね研究員なのでした。
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クリーム作り~目に見えない世界のお話①~
皆さんこんにちは!いろはねです!
もう完全に夏が到来しましたね!
外は気温が高く室内はエアコンガンガン…という生活が始まりました。
外と中での気温差、そして季節の変わり目、さらにはマスク生活を強いられる毎日…
皆様体調は崩されていませんか?
気候の変動に負けず、頑張りましょうね!
さて、今回はガラッと話題を変えまして、乳化のお話をしていきたいと思います。
乳化といえば、皆さんは乳液やクリームが思い浮かぶでしょうか。
肌を美しく保つために必要な水分と、バリア機能を高めるオイル成分をダブルで効率良く補給できることから、スキンケアには欠かせないアイテムとなっています。
乳化反応は肉眼で見ることのできない、ミクロな世界で繰り広げられています。
今回は、乳化アイテムの代表格であるクリームに焦点を当て、どのようにして完成していくのか、目に見えない世界をイメージ図に起こしていきたいと思います。
それでは参りましょう!
〇乳化技術について〇
乳化の世界は非常に複雑で、奥深い分野になります。
乳化自体はもう皆さんもご存じの通り、本来混じり合わない油と水の相反する成分同士を、界面活性剤によって繋ぎとめ、混ぜ合わせる反応のことです。
この乳化にもいくつか技術がありまして、私もまだまだ勉強中の領域です。
今回焦点を当てるのは「転相乳化法」という技術になります。
これは、エマルションが油中水(W/O)型から水中油(O/W)型に逆転する温度「転相温度」を利用して行う乳化技術です。
この技術は、非常に微細なエマルションの形成が可能で、それによる使用感や安定性の高さが特徴です。
<W/O型?O/W型?>
これは過去のブログにもまとめさせていただきました!
乳化にはエマルションタイプがいくつか存在し、それぞれが持つ特徴を活かして化粧品アイテムが作られています。
このように真逆なタイプなのです。
W/O型は、水をはじく油がベースとなっているため、ウォータープルーフの日焼け止めなどに活用されています。
O/W型は、ほとんどの乳液やクリームが該当します。
<転相?転相温度?>
近年よく乳化に使用される界面活性剤として、ノニオン界面活性剤(非イオン界面活性剤)が挙げられます。
これは、水に溶けた時にイオン化しない親水基を持ち、水の硬度や電解質の影響を受けにくい非常に使いやすい界面活性剤です。
中でも代表的なのが、酸化エチレン(エチレンオキサイド:EO)を付加させたタイプになります。
これの持つ特徴が、転相と深く関わっています。
それは何かと言いますと…
酸化エチレン型ノニオン界面活性剤のHLB(親水性・親油性バランス)は、温度によって大きく影響を受けます。
高温では親油性、低温では親水性を示すのです。
つまり、このタイプの界面活性剤を使用した乳化は、
加熱されたばかりの高温時 ⇒ W/O型
だんだん冷却していき、ある温度に達すると ⇒ O/W型
このように、温度の変化によってエマルション状態が逆転する現象を「転相」
その現象が起こる温度のことを「転相温度」と呼んでいます。
〇クリーム作り〇
さて、少し難しいお話が続きましたが、転相乳化法については理解できたでしょうか?
ここからいよいよ本題に入ります。
今度は、この乳化法をイラスト化していきながら話を進めてまいりましょう。
<クリーム作りの手順~転相乳化法~>
①オイル(植物オイルやエステル油)+界面活性剤を加熱する。(油相)
②水相も加熱する。
③①をホモミキサーにかけながら、②を少しずつ添加していく。
④最後は手撹拌でゆっくり冷却。
という手順になります。
ここでは③の工程が最も重要であり、目が離せないポイントになります!
この先の細かいお話は、次回にいたしましょう。
お楽しみに!
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クレンジング開発の裏側②
皆さんこんにちは!いろはねです!
前回はクレンジングバーム開発の裏側に迫りました。
今回もその続きになります。
まずは前回のおさらいから参りましょう!
高品質なクレンジングを開発する為に重要なのはなんだったでしょうか?
<其の一>
オイルと相性の良い界面活性剤を選択するべし!
⇒クレンジングバームの品質を大きく左右する2大成分「オイル」と「界面活性剤」。
これらの相性が良くなければクレンジング力を上手く発揮することはできません。
そこで、同じ構造で重合度が異なる界面活性剤を2,3種類用意し、
オイル(エステル油or植物オイル)にそれらがしっかりと相溶するかどうかを確認する実験が必要でした。
私がその時使用したのは、トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルと、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルの2種類でした。
<其の二>
クレンジング力を比較するべし!
⇒ オイルと界面活性剤の相性が良かったとしても、クレンジング力がなければ意味がありません。
そこで、エステル油+各界面活性剤でそれぞれクレンジング力テストを行い、良い結果が出た界面活性剤を選択します。
ここで重要となったのが界面活性剤のHLBでした。
私が実験で使用した、
トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルは、HLB 3
トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルは、HLB 8
クレンジング力が高かったのはトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルでした。
HLBは、高い方が親水性であるため、水と馴染みやすく、容易にメイクと乳化し、洗浄後のメイク落ちが良かったのではないかという結論に。
このように、同じ構造で重合度の異なる界面活性剤を選択したことによって、なぜクレンジング力に差が出たのかも比較しやすくなりました。
前回のブログに詳しい内容をまとめておりますので、合わせてお読みください(^^)↓
さて、エステル油+界面活性剤の高いクレンジング力とベストな組み合わせを見つけられたところで、次のステップへと参ります!
~其の三~
界面活性剤の配合量を探るべし!
其の二で界面活性剤の選定をしましたので、今度は配合量を決めていく番です。
ここでのポイントは、
①クレンジング力の高さ
②洗浄後のしっとり感
これらのバランスが最も良い配合量を定めることです。
クレンジングで最も重要なのはクレンジング力ですが、そこに焦点を当てすぎて配合量を定めてしまうと、洗浄力が強すぎて後肌がパサパサに…それを避けるためにも、この基本ベースをしっかりと見極める必要があります。
〇実験方法〇
私の時は、すでにお手本となる処方がありましたので、それを基準に界面活性剤の配合量を決めました。
(お手本の処方は、界面活性剤の配合量が15%でした)
界面活性剤の配合量を5%・10%・15%と3段階に振り分け、エステル油+界面活性剤+ポリエチレン、と非常にシンプルなクレンジングバームを作成し、使用感の比較を行いました。
結果は…?
・界面活性剤5%
⇒洗浄時の乳化力が物足りない
メイクが少し残っているような印象だったが、しっとり感はある
・界面活性剤10%
⇒洗浄時の乳化力も程よく、後肌のしっとり感も残っていて非常にバランスが良い
・界面活性剤15%
⇒洗浄力が高く、後肌のさっぱり感が非常に爽快であり、個人的には好みであったがポイントとしているしっとり感があまり感じられなかった
この結果から、クレンジング力・しっとり感ともにバランスが良かったのは界面活性剤10%配合のクレンジングバームでした。
このように、非常にシンプルな設計であったこともあり、界面活性剤の能力をダイレクトに観察することができました。
いきなり色々な成分を組み合わせて設計をするのではなく、まずは肝となる成分のみでシンプルに使用感チェックを行ってから、そこに様々な味付けをしていくという手順が化粧品開発において最も重要であると学ぶことができました。
ただ闇雲に配合量を決めてしまうと、クレンジングバームならまだわかりやすいですが、もっと複雑な乳液やクリームなどの乳化アイテムは、後々改良をするときに困ってしまうのです。
もう少し粘度を上げたいな。もう少ししっとりさせたいな。
でも何を変えれば一番影響が出るのか?
何が影響してこの使用感が出ているのか?
原因を見極めるのが非常に難しくなります。
そうすると軸がブレて色々なところに手を付けてしまい、余計にめちゃくちゃな処方になってしまうという悪循環に…
シンプルでかつ高品質な化粧品開発に必要なのは、軸をブレさせない為の基礎実験も非常に重要であるということなのですね!
一つ一つ順を追って実験をしていくことで、着々と完成に近づいていく…この感覚に非常にワクワクしたいろはね研究員なのでした。
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クレンジング開発の裏側①
皆さんこんにちは!いろはねです!
今回はクレンジング開発の裏側と題しまして、
クレンジングバームの開発時に学んだ重要なポイントについてまとめていきたいと思います。
クレンジングバームといえば、これまでも何度かブログに書かせていただいておりますが、液状のオイルをポリエチレンで固めた固形タイプのクレンジングというのが一般的になってきましたよね。
そしてオイルだけではなく、そこに界面活性剤が入ることによって、
水で洗い流されるときに乳化され、メイクが落ちるというメカニズムでした。
さて、このクレンジング開発に重要なポイントとは一体なんなのでしょうか…?
~其の一~
オイルと相性の良い界面活性剤を選択するべし!
化粧品の開発をする上で重要なポイント一つ目は、処方の肝となる成分同士の相性を見ることが非常に大切です。
クレンジングの場合であれば「オイル」と「界面活性剤」。
最低限この二つがなければクレンジングは成り立ちません。
つまり、これらの相性が良くなければ、メイクと馴染ませる時や
水で洗い流すときに上手く乳化せず、クレンジング力の低下につながります。
これでは品質に大きく影響してしまいますね。
〇どのように相性を見るのか?〇
①エステル油を用意する。(植物オイルがベースならそれを用意)
⇒私の時は、パルミチン酸エチルヘキシルというエステル油を使いました。
クレンジングオイルなどによく用いられるエステル油です。
②界面活性剤を2,3種類用意する。
⇒私の時は、トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルとトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルの二種類を用意しました。
ここでポイントとなるのが、同じ構造で重合度が異なる界面活性剤を選択することです。
そうすることによって、実験結果の比較がしやすくなります。(後にわかります!)
③オイルとそれぞれの界面活性剤を混合し、80℃まで加熱し、撹拌する。
この時必ず界面活性剤の配合量は統一して実験を行います。
④30℃まで冷却し、撹拌する。
⑤オイルに均一に界面活性剤が相溶しているかどうかを観察する。
⇒相溶は、濁りがなく、透き通った状態になるということです。
この状態になれば相性が良いということが分かります。
オイルと界面活性剤の相性が悪い場合は、上手く相溶せず、濁ってしまったり、分離してしまったりするため、ここの見極めが非常に重要となります。
私の時は、どちらの界面活性剤も綺麗に相溶し、相性が良いという結果が出た為、
次のステップへと進みました。
~其の二~
クレンジング力を比較するべし!
最初の実験で相性の良いオイルと界面活性剤の選別ができたところで、今度はクレンジング力テストを行います。
たとえ相性が良くてもクレンジング力がなければ話になりませんね。
特に私の時は、選択した界面活性剤2種類ともオイルとの相性が良かった為、尚更比較する必要がありました。
〇実験方法〇
①人工皮膚にメイク(ファンデーション・口紅・マスカラ)を均等に塗布する。
②まずはエステル油のみでクレンジング力を見る。
⇒まず、界面活性剤が入っているのと入っていないのとでは、どのように状態が違うのか?これを確かめる必要があります。
ちなみにこの時の結果は、エステル油のみだとメイクを溶かすことはできても
洗浄時ににじむだけで流れ落ちてはいきませんでした。
やはり界面活性剤の力がクレンジングには必要不可欠なのだということが改めてわかりました。
③相性の良いオイル+界面活性剤でクレンジング力を見る。
⇒エステル油のみでのクレンジング力を学んだところで、本題の実験ですね。
私の時は、ここで結果が分かれました。
クレンジング力を比較したところ、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルの方が高かったのです!
特に洗浄後の落ちが良いという結果が出ました。
ここでついに、同じ構造の重合度が異なる界面活性剤を選択したことが活きてきます。
それではなぜ、クレンジング力に差が出たのでしょうか?
それはHLBの違いが関係しています。
HLBとは、Hydrophilic-Lipophilic Balance=親水性親油性バランスの頭文字を取ったもので、界面活性剤の水と油へのなじみやすさの程度を示している数値です。
界面活性剤は、このHLBが低ければ疎水性、高ければ親水性、という基準を持っています。
そして今回使用した界面活性剤は…?
トリイソステアリン酸PEG-5グリセリルが、HLB 3
トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルが、HLB 8
つまり、クレンジング力の高かったトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルはHLBが親水性寄りであるため、洗浄後のメイク落ちが良かったのではないかという考察ができるのですね。
HLBの違いも知れたところで、実際に界面活性剤のみでも触ってみることにしました。
そうしますと、HLB通りの使用感を体験することができたのです。
・トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル
⇒洗い流すときにヌルヌル感がしばらく残る。
・トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル
⇒洗い流した後はヌルヌルせずさっぱりしている。
やはり、親水性の高いトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルの方が水と馴染みやすく、すっきりメイクを落とすことができるということなのですね。
これらの結果から、
クレンジング力の高さを重視⇒トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル
クレンジング後の保湿力を重視⇒トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル
という位置づけで使用すれば良いのではないかということが分かりました。
私の時は、クレンジング力重視の案件でしたので、界面活性剤はトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルを選ぶことになりました。
まずはここまででやっと界面活性剤の選定が終わりましたので、さらに次のステップへと進んでいきます。
それはまた次回にいたしましょう!
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